日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG21] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:菊地 一輝(中央大学 理工学部)、池田 昌之(東京大学)、川村 喜一郎(山口大学)、清家 弘治(産業技術総合研究所・地質調査総合センター)

17:15 〜 19:15

[HCG21-P01] ベイズ推定と拡散方程式を用いた軽石堆積物の浸透に関する統計モデルの構築

*澤田 笙1Gomez Christopher1、高志 厚井2 (1.国立大学法人 神戸大学、2.国立大学法人 北海道大学)

キーワード:軽石、拡散方程式、ベイズ推定、気泡構造

軽石は高い空隙率と低密度(0.2~0.8g/cm³)で知られる火砕砕屑物の一つである. プリニー噴火やマグマ水蒸気爆発によって分散される軽石の存在は, 地すべりなどの大規模移動現象を悪化させる可能性がある. 北海道胆振東部地震を震源とする地震では, 北海道胆振東部を震源とする地震では, 厚真町周辺で約6,000箇所の斜面崩壊が発生した. この地域は軽石を中心とした火山砕屑物で覆われており, 災害における軽石の影響が指摘されている. 先行研究では, 実験とモデル(ダルシーの法則とフ―リエの法則)に基づいて軽石の水浸透について調査を行い, 結果として浸透速度は軽石のサイズや液体の温度, さらには気泡の連結性や形状に依存して, 時間とともに減少することが示されている. しかし, 軽石の内部構造には不確実性が伴う一方で, 浸透に関する統計的アプローチを採用した研究はほとんどない. よって, 本研究では, 拡散方程式とベイズ推定を統合して, 軽石浸透に関する新モデルを提案した. 研究方法は以下の2つに分かれている. 1. 水吸収実験と乾燥密度測定, 樹脂を用いた内部構造調査: 北海道厚真町の地すべり露頭から採取した122個の軽石山王る(恵庭火山由来のEn-a軽石)を使用した. 試料はピンセットを用いてビーカー内の常温水に浸し, 2-300秒後の水吸収による質量変化を記録した. 全資料で同様のテストを行い, 水吸収後の質量と乾燥質量の比率(無次元質量)を特性として使用した. すべての実験後, ワックスコーディング法と粒子密度測定法を用いて, 平均密度と粒子密度を測定した. また, 樹脂を用いた軽石の内部構造調査を行い, 水吸水との関係について明らかにした. 2. ベイズ推定を用いた水吸収特性のモデル化: 拡散係数, 平均密度, 粒子密度を入力データとして物理モデルを構築し, 事前分布を作成した. 物理モデルは1次元拡散方程式に入力データを代入し, 空間方向に平均化して平均密度に関連する事前分布を作成した. 実験で得られた無次元質量を平均密度で乗算し, 密度変化データを生成後, モデル値と実験値の差を考慮して, 平均0, 実験誤差分散を持つ正規分布として尤度分布を作成した. 最後に得られた事前分布と尤度関数からMCMC法(MHアルゴリズム)を用いて密度変化に関する事後分布を作成した. 結果として, 軽石の密度変化は時間とともに減少し, サイズによる密度差も時間が経つにつれて減少した. モデルは観測値を比較的正確に再現した一方で, 一部のケースでは過大評価または過小評価がみられた. 樹脂を用いた内部構造調査では, 内部構造の違いがモデルの過大評価または過小評価に関連している可能性が示唆され, 構造の変動事に拡散係数を決定することがモデル精度を向上させることが示された.