日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG24] 気候変動への適応とその社会実装

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:山野 博哉(東京大学・国立環境研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)

17:15 〜 19:15

[HCG24-P07] 東アジアにおける気候変動適応のための都市緑化による雨水貯留・冷却効果の評価

*青木 文弥1大楽 浩司1 (1.筑波大学)

キーワード:気候変動、都市緑化、グリーンインフラ

近年の世界的な気候変動と急速な都市化によって、都市におけるさまざまな環境問題のリスクが高まっている。グリーンインフラの一つである都市の緑化には降った雨を土壌に保持し、流出を抑制する雨水貯留効果と、蒸発散などにより気温低減を図る冷却効果という2つの環境改善効果があり、気候変動適応策として注目されている。これら2つの効果をそれぞれ単独で評価した研究は多く存在するが、2つの効果の相乗作用や、相対的な性能の評価に取り組んだ研究はほとんどないのが現状である。どちらか片方の効果から不利益を受けたりすることなく、お互いの効果を効率的に発揮して実効性のある緑化を行うには、2つの効果を相対的に評価することが必要と考えられる。
そこで本研究では気候変動適応策としての都市緑化による雨水貯留効果と冷却効果について、異なる緑化条件や地域気候間での効果度の違い、相対的な関係性を明らかにすることを目指した。都市化の進展が顕著である東アジアの諸都市を対象に、簡易的な陸面モデルSMBMを用いて対象都市における都市緑化を再現し、雨水貯留効果と冷却効果を概念的に評価した。
今回得られた結果から、乾燥地域では雨水貯留効果が優勢であるのに対して、湿潤地域では冷却効果が優勢であることがわかった。そして雨水貯留効果と冷却効果は気候に依存しており、トレードオフ関係にあることが示唆された。また公園緑地のような土壌厚が大きい植栽基盤ほど両者の効果度を高めることができることが確認された。さらに屋上緑化で用いられるような保水性の高い土壌や灌水についてもモデルで再現し、これらを導入することで効果度を改善させることができるとわかった。
本研究の結果は、緑化の普及を進めようとしている自治体や企業などがその地域ごとの特性や影響等の視点からより具体的な取り組みの計画を立てていく前段階として、緑化の貯留・冷却という2つの環境改善効果の有効性や関係性を概念的に示すうえで有用なものであると考える。