日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG25] 圏外環境における閉鎖生態系と生物システムおよびその応用

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:加藤 浩(三重大学 研究基盤推進機構 先端科学研究支援センター)、安部 智子(東京電機大学理工学部)、篠原 正典(帝京科学大学)、座長:篠原 正典(帝京科学大学)、中根 昌克(日本大学)、地子 智浩(一般財団法人 電力中央研究所)、安部 智子(東京電機大学理工学部)、遠藤 良輔(大阪公立大学)

13:47 〜 14:02

[HCG25-01] 宇宙・月面人工生命維持システムに関する気になるトピックス

*中根 昌克1 (1.日本大学)

キーワード:環境制御・生命維持システム、現地資源利用、循環シミュレーション

Environmental Control and Life Support System (ECLSS)は、系内で人間の生存に必要な物質を供給し、人間が生存できる環境を維持する。そのなかでもControlled/Closed Life Support System (CELSS)は、系内での必要な物質をできうる限り再生し循環を行いつつ環境を維持することを目標としており、最終的に目指すべきECLSSの形といえる。
 アメリカを中心に進んでいるアルテミス計画に追随する形でここ近年、日本国内で様々な動きが起きている。アルテミス計画において、日本は月周回ゲートウェイの国際居住モジュール(I-Hab)内のECLSS技術の開発および実装を担っており、また同計画内において日本人宇宙飛行士2人の月面着陸、月面探査車(ルナ・クルーザー)の運用、ゲートウェイへの物資補給なども日本の役割とされている。また、国土交通省は「宇宙建設革新プロジェクト」として月面での無人建設技術の開発を推進している。このように、今まで宇宙開発のプレイヤーでなかった組織や宇宙開発から遠ざかっていた組織がこの分野に算入している。
 また月面開発、さらには火星開発において現地資源利用(In-Situ Resource Utilization; ISRU)の研究も大きく進展している。日本国内でISRUを考慮してECLSS物質循環をシミュレーションしている研究は少ないが、米国や欧州ではそのような研究が多く発表されている。またその背景として、ドイツのStuttgart大学が開発した数値計算コードV-Habが米国でも広く使われるようになったことも、この動きに拍車をかけている。このISRUに植物による食糧生産を含めたシミュレーションも行われている。また、日本のスタートアップ企業であるSpaceData社のSpace Station OSというオープンソースソフトウェアにおいても、ECLSSに関する部門が立ち上がりその開発が始まろうとしている。
 アウトリーチの面では、JAXA 桜井誠人博士などを中心としたECLSS-Labが、ECLSSに興味を持つ様々な分野の学生・社会人を糾合して非常に大きな団体として成長している。
 本発表では、ここ数年におきているECLSS関連の動きをレビューし、その中でも特に数値計算に関する話題について論議する。