09:15 〜 09:30
[HDS07-02] Monitoring of active landslides in the Southern Japanese Alps using D-InSAR and optical satellite images: A case study of the Morokozawa landslide

キーワード:差分干渉SAR、地すべり、変動観測、諸子沢地すべり
はじめに
地すべりは土砂災害を引き起こすため,地すべり変動のモニタリングが重要である.近年,干渉SARを用いることで,現地調査が困難な場所や広範囲に分布する地すべりの活動性の把握が可能となってきた(例えば,Nishiguchi et al., 2017;宇佐見 2024).
現在,ALOS-2の打ち上げから約10年が経過し,同一の斜面を経年的に高い精度で観測できるようになりつつあり,ALOS-4の利用も期待されている.しかし,広域を対象とした地すべりの変動検出の研究は多くなく,さらなる事例の蓄積が必要である.そこで,本研究では関連する研究の少ない南アルプスを対象に,干渉SARを用いて地すべりの空間分布と活動性を時系列で解明することを目的とする.本発表では,その中の一事例として静岡市の諸子沢地すべりを対象とし,大規模な地すべり発生前の斜面の変動を時系列で明らかにする.対象地域は地すべりが頻発する地域である.
手法
本研究では,観測期間が2014年10月28日から2023年8月8日までの,PALSAR-2データを合計29シーン使用した.RINC ver 0.45(Ozawa et al., 2016)を用いて干渉SAR解析を行い,28枚の干渉画像から時系列の変動と平均変位速度を計算した.また,高頻度観測可能な光学衛星であるPlanetScopeの衛星画像を用いて,2016年から2023年8月までの諸子沢地すべりの経年的な変化を観測した.
本発表の対象地域である諸子沢地すべりは,2023年8月頃に大規模な地すべりの発生が確認された.しかし,それに至る地すべり発生日時や発生以前の詳細な斜面変動は明らかになっていない.
結果・考察
解析の結果,地すべり範囲やその周辺の斜面において,2016年から継続的な変位が見られた.地すべりの斜面は,斜面の上部の平均変位速度が0cm/yr程度である一方で,斜面の下部は5cm/yr程度の平均変位速度であり,斜面上部と比較して,斜面の下部が活動的であったことが明らかとなった.
また,2023年6月27日と2023年8月8日のペアにおいて解析されたD-InSARの結果からは,地すべり範囲は周囲と比較して干渉性が悪く,顕著な変動が検出されなかった.一方で,ほぼ同時期に観測された高解像度の光学衛星画像からは,裸地面積が急速に拡大していることが確認できた.以上のことから,諸子沢地すべりでは,地すべりが確認された1ヶ月以上前には,D-InSARで正確に観測できないほど活発な斜面変位が起こっていたことが示唆された.今後はD-InSARでの結果の検証と、対象範囲を広げて活動的地すべりの検出が課題である.
謝辞
本研究で用いたPALSAR-2データはPIXEL(PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land surface)において共有しているものであり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とPIXELとの共同研究契約に基づきJAXAから提供されたものである.PALSAR-2データの所有権はJAXAにある.本研究は東京大学地震研究所共同利用(2021-B-03)の援助をうけた.
引用文献
Nishiguchi, T., Tsuchiya, S. and Imaizumi, F. 2017. Detection and accuracy of landslide movement by InSAR analysis using PALSAR-2 data. Landslides 14: 1483-1490.
Ozawa, T., Fujita, E. and Ueda, H. 2016. Crustal deformation associated with the 2016 Kumamoto Earthquake and its effect on the magma system of Aso volcano. Earth Planets and Space 68: 16.
宇佐見星弥 2024. 国土地理院の時系列干渉SAR画像に基づく北海道の活動性地すべり地形データマップの作成と精度検証. E-journal GEO 19: 132-144.
地すべりは土砂災害を引き起こすため,地すべり変動のモニタリングが重要である.近年,干渉SARを用いることで,現地調査が困難な場所や広範囲に分布する地すべりの活動性の把握が可能となってきた(例えば,Nishiguchi et al., 2017;宇佐見 2024).
現在,ALOS-2の打ち上げから約10年が経過し,同一の斜面を経年的に高い精度で観測できるようになりつつあり,ALOS-4の利用も期待されている.しかし,広域を対象とした地すべりの変動検出の研究は多くなく,さらなる事例の蓄積が必要である.そこで,本研究では関連する研究の少ない南アルプスを対象に,干渉SARを用いて地すべりの空間分布と活動性を時系列で解明することを目的とする.本発表では,その中の一事例として静岡市の諸子沢地すべりを対象とし,大規模な地すべり発生前の斜面の変動を時系列で明らかにする.対象地域は地すべりが頻発する地域である.
手法
本研究では,観測期間が2014年10月28日から2023年8月8日までの,PALSAR-2データを合計29シーン使用した.RINC ver 0.45(Ozawa et al., 2016)を用いて干渉SAR解析を行い,28枚の干渉画像から時系列の変動と平均変位速度を計算した.また,高頻度観測可能な光学衛星であるPlanetScopeの衛星画像を用いて,2016年から2023年8月までの諸子沢地すべりの経年的な変化を観測した.
本発表の対象地域である諸子沢地すべりは,2023年8月頃に大規模な地すべりの発生が確認された.しかし,それに至る地すべり発生日時や発生以前の詳細な斜面変動は明らかになっていない.
結果・考察
解析の結果,地すべり範囲やその周辺の斜面において,2016年から継続的な変位が見られた.地すべりの斜面は,斜面の上部の平均変位速度が0cm/yr程度である一方で,斜面の下部は5cm/yr程度の平均変位速度であり,斜面上部と比較して,斜面の下部が活動的であったことが明らかとなった.
また,2023年6月27日と2023年8月8日のペアにおいて解析されたD-InSARの結果からは,地すべり範囲は周囲と比較して干渉性が悪く,顕著な変動が検出されなかった.一方で,ほぼ同時期に観測された高解像度の光学衛星画像からは,裸地面積が急速に拡大していることが確認できた.以上のことから,諸子沢地すべりでは,地すべりが確認された1ヶ月以上前には,D-InSARで正確に観測できないほど活発な斜面変位が起こっていたことが示唆された.今後はD-InSARでの結果の検証と、対象範囲を広げて活動的地すべりの検出が課題である.
謝辞
本研究で用いたPALSAR-2データはPIXEL(PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land surface)において共有しているものであり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とPIXELとの共同研究契約に基づきJAXAから提供されたものである.PALSAR-2データの所有権はJAXAにある.本研究は東京大学地震研究所共同利用(2021-B-03)の援助をうけた.
引用文献
Nishiguchi, T., Tsuchiya, S. and Imaizumi, F. 2017. Detection and accuracy of landslide movement by InSAR analysis using PALSAR-2 data. Landslides 14: 1483-1490.
Ozawa, T., Fujita, E. and Ueda, H. 2016. Crustal deformation associated with the 2016 Kumamoto Earthquake and its effect on the magma system of Aso volcano. Earth Planets and Space 68: 16.
宇佐見星弥 2024. 国土地理院の時系列干渉SAR画像に基づく北海道の活動性地すべり地形データマップの作成と精度検証. E-journal GEO 19: 132-144.