日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS07] 地すべりおよび関連現象

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:王 功輝(京都大学防災研究所)、齋藤 仁(名古屋大学 大学院環境学研究科)、千木良 雅弘(公益財団法人 深田地質研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)

17:15 〜 19:15

[HDS07-P09] 冬期に活動する上越市・雁平地すべりの変動特性

*坂井 飛斗1奈良間 千之1井上 穣3、王 純祥2、龍田 栄次2 (1.新潟大学、2.株式会社キタック、3.ナカシャクリエイティブ株式会社)

キーワード:地すべり、新第三紀層、積雪、間隙水圧

新潟県の多雪地域に分布する新第三紀層の地すべりは,降雨や融雪時だけでなく,積雪期にも活動することが報告されている(佐藤ほか,2004).積雪期の地すべり活動には,積雪荷重や,融雪による地下水位の変動などが関与すると考えられている.しかし,これまでの観測事例が少なく,具体的なメカニズムは十分に解明されていない.多雪地域の地すべり特性をより深く理解し,防災対策に活かすためには,さらなる観測データの蓄積が必要である.
井上ほか,(2025)では,雁平地すべりは2010年頃から継続的に活動しており,夏期に比べて冬季に移動量が大きい,多雪年に比べて少雪年に移動量が大きい,融雪時や降雨時に移動量が大きく増加しないという特徴があることが分かった.雁平地すべりは,新潟県上越市の東頸城丘陵に位置する新第三紀層の地すべりであり,1961年から地すべり指定地として管理されている.本研究では,防止工事が行われていないⅢ-Dブロックを調査対象とした.Ⅲ-Dブロックは,全長約800m,幅約150m,すべり面の深さ約7m,勾配約13°の規模を持つ.多雪地域に位置し,2020/2021年の冬期には積雪深が約3mに達した.年間を通じて移動が継続しており,特に積雪期,さらに雪が少ない年に移動量が増加する傾向がある.
本研究では,多雪地域に属する新潟県上越市の雁平地すべりを対象に,移動量や地下水位,間隙水圧,土壌水分,地温,積雪などを観測し,積雪期の地すべり活動の要因を明らかにすることを目的とした.移動量と地下水位の関係を調べるため,手動ボーリング機を用いて深さ11mの掘削を行い,地中伸縮計,間隙水圧計,水位計,土壌水分計,地温計を設置した.また,現地の積雪深を観測するためにタイムラプスカメラを設置し,移動量の連続観測のためにGNSS測量を実施した.観測機器は,最も移動量が大きい移動体の中央部に設置した.地中伸縮計は2024年5月から,その他の機器は2023年12月から観測を開始した.さらに,移動体表面の変化を面的に把握するため,UAVによるLiDAR観測を実施し,積雪前(11月)と消雪後(5月)に点群データを取得した.取得したデータは,中日本航空株式会社のMierreを用いて差分解析を行った.
観測の結果,2024年1月1日に発生した能登半島地震の影響で,雁平地すべりの移動が長期的に沈静化したことが確認された.また,間隙水圧計と水位計の観測から,地下水位が季節ごとに変動することが明らかになった.特に冬期は地下水位が比較的安定し,降雨や融雪の影響を受けにくい傾向が見られた.一方,夏期には地下水位の変動が大きくなり,降雨が増える秋期には地下水位が高くなることが確認された.