10:15 〜 10:30
[HDS09-06] L字情報を活用した地方テレビ局による災害情報発信の実態分析
−令和6年能登半島地震における富山県を事例として−
キーワード:L字情報、災害情報、メディア情報、能登半島地震
わが国では,平成23年東日本大震災以降,地震活動が活発化傾向にある.災害情報の発信にSNSを用いることが流行しているものの、発信される情報の真偽も問われている。一方でテレビは、質の保証があり、プッシュ型で情報が発信されるという特性から、災害時には重要視されている.本研究では、地方局を対象としてテレビを活用し、L字型エリアにおいて、どのような緊急的な情報発信がなされたかについて、その実態を調査するものである。
令和6年元旦に発生した能登半島地震を対象として、富山県の地方局であるKNB放送で発信された緊急的な災害情報を分析する。発災直後から翌日の緊急放送が終わるまでの時間を対象として、テキストデータの内容ならびに放送開始時刻と放送終了時刻をデータ化し、分析することとした。特に、放送開始時刻と放送継続時間の2つの軸を立て、散布図により傾向の概況を捉えることとした。
災害が発生した1月1日のL字画面に各項目の表示開始時間(横軸)と表示継続時間(縦軸)の関係は、図1に示すとおりである。図1に示すように、散布図では、一定の閾値で領域を区切ることで4つの象限に分類した。4象限に対しては、左上から時計回りに①~②と番号を振り分けた。つまり、①は左上に位置し、発災から表示までの時間が早く、かつ情報の表示時間が長いという特徴を有する。②は右上に位置し、発災から表示までの時間が遅く、かつ情報の表示時間が長いという特徴を有する。③は右下に位置し、発災から表示までの時間が遅く,かつ情報の表示時間が短い、また、④は左下に位置し、発災から表示までの時間が早く、かつ情報の表示時間が短いという特徴を有する。これらの4つに、どのような情報が分類されたかを調査した。
災害発生当日を見てみると、①には「【市内電車・富山港線】全線運転見合わせ」というローカルでピンポイントのエリア情報が存在した。これは、管轄エリアが小さいために被害状況把握が早かったものの、運営主体の規模が小さいため、情報の更新は頻度高くなされなかったと推察される。②では、同じく鉄道系の情報であるが,広範囲を管轄する路線の情報が中心となっていた。これは、影響範囲も広いことと、運営主体の規模が大きいことが要因となり、状況把握や意思決定に時間を要し、情報の発信開始が遅くなったと推察される。③には「避難所情報」が含まれていた。避難所は開設状況の把握に時間を要しつつも、避難所開設状況や避難者数が変化することから、頻度高く更新されたと推察される。④には「震度情報」が含まれていた。震度情報は、発災直後において迅速に把握できるが、震度が変わることはなく、更新頻度は極めて低い情報であった。この実態をL字情報としても再現されていたと考えている。
データ上での分析結果をもとに、放送局の担当者へのヒアリングを実施した。これにより、地方の放送局では様々な観点から発信すべき情報種別の優先順位付けを行うとともに、情報提供の継続時間についても検討がなされていた。特に、災害による社会変化が及ぼす受信者のニーズと、放送局のビジネス的な事由が競合し、地方局としては難しい判断がなされていたことが明らかとなった。
今後の巨大災害を想定すれば、キー局だけでなく、多くの地方局もそれぞれの立場から災害情報を発信しなければならない。本研究の成果は、その情報発信における参考情報として活用できると考えている。
令和6年元旦に発生した能登半島地震を対象として、富山県の地方局であるKNB放送で発信された緊急的な災害情報を分析する。発災直後から翌日の緊急放送が終わるまでの時間を対象として、テキストデータの内容ならびに放送開始時刻と放送終了時刻をデータ化し、分析することとした。特に、放送開始時刻と放送継続時間の2つの軸を立て、散布図により傾向の概況を捉えることとした。
災害が発生した1月1日のL字画面に各項目の表示開始時間(横軸)と表示継続時間(縦軸)の関係は、図1に示すとおりである。図1に示すように、散布図では、一定の閾値で領域を区切ることで4つの象限に分類した。4象限に対しては、左上から時計回りに①~②と番号を振り分けた。つまり、①は左上に位置し、発災から表示までの時間が早く、かつ情報の表示時間が長いという特徴を有する。②は右上に位置し、発災から表示までの時間が遅く、かつ情報の表示時間が長いという特徴を有する。③は右下に位置し、発災から表示までの時間が遅く,かつ情報の表示時間が短い、また、④は左下に位置し、発災から表示までの時間が早く、かつ情報の表示時間が短いという特徴を有する。これらの4つに、どのような情報が分類されたかを調査した。
災害発生当日を見てみると、①には「【市内電車・富山港線】全線運転見合わせ」というローカルでピンポイントのエリア情報が存在した。これは、管轄エリアが小さいために被害状況把握が早かったものの、運営主体の規模が小さいため、情報の更新は頻度高くなされなかったと推察される。②では、同じく鉄道系の情報であるが,広範囲を管轄する路線の情報が中心となっていた。これは、影響範囲も広いことと、運営主体の規模が大きいことが要因となり、状況把握や意思決定に時間を要し、情報の発信開始が遅くなったと推察される。③には「避難所情報」が含まれていた。避難所は開設状況の把握に時間を要しつつも、避難所開設状況や避難者数が変化することから、頻度高く更新されたと推察される。④には「震度情報」が含まれていた。震度情報は、発災直後において迅速に把握できるが、震度が変わることはなく、更新頻度は極めて低い情報であった。この実態をL字情報としても再現されていたと考えている。
データ上での分析結果をもとに、放送局の担当者へのヒアリングを実施した。これにより、地方の放送局では様々な観点から発信すべき情報種別の優先順位付けを行うとともに、情報提供の継続時間についても検討がなされていた。特に、災害による社会変化が及ぼす受信者のニーズと、放送局のビジネス的な事由が競合し、地方局としては難しい判断がなされていたことが明らかとなった。
今後の巨大災害を想定すれば、キー局だけでなく、多くの地方局もそれぞれの立場から災害情報を発信しなければならない。本研究の成果は、その情報発信における参考情報として活用できると考えている。