日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 防災リテラシー

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:高橋 誠(名古屋大学大学院環境学研究科)、木村 玲欧(兵庫県立大学)、座長:木村 玲欧(兵庫県立大学)、高橋 誠(名古屋大学大学院環境学研究科)

11:15 〜 11:30

[HDS09-09] 過疎高齢漁村地域の津波防災と持続可能性─三重県大紀町錦の事例─

*室井 研二1高橋 誠1、中世古 二生 (1.名古屋大学大学院環境学研究科)

キーワード:災害リスク軽減、津波避難、過疎高齢化、持続可能性

防災リテラシーは基本的には防災に関する知識に関係する概念である。特に、南海トラフ地震対策に関しては地震の発生メカニズムに関する専門知の社会還元や、防災意識や避難行動の向上に資するリテラシーの解明が重要な課題とされている。しかし、今日の日本では大震災のみならず人口減少による地域の消滅が危惧される地域が少なくない(増田 2014)。災害や防災も地域が存続して初めて意味をもつことを鑑みるなら、防災リテラシーも地域の持続可能性との関わりを視野に入れた防災のあり方を問う必要がある。
 三重県南部沿岸地域は上記のようなジレンマが先鋭に顕在化している地域である。本報告で事例に取り上げる大紀町錦地区は1990年代以降、町が主導する形で先進的な津波防災を推進してきた地域である(Nakaseko et al. 2008; Takahashi et al. 2008)。しかし、近年では極度の過疎高齢化により錦の地域防災は停滞した状態に陥った。高齢小世帯が主流化した現状では緊急時の要支援者避難対策はもはや困難との認識から、現在、町は80代以上の高齢者を海抜20mの高台に事前に移転させる事前避難計画の策定を進めている。事業計画の策定に先立ち、町は錦在住の後期高齢者を対象に高台移転に関する意向調査を実施した。本報告ではこのアンケート調査の分析を踏まえて高台移転計画が直面している課題、さらには過疎高齢化が進む漁村地域における津波防災と地域の持続可能性の関係について検討する。