17:15 〜 19:15
[HDS09-P01] 令和6年能登半島地震における避難実態の調査分析
〜富山県を事例として〜
キーワード:避難、令和6年能登半島地震、位置情報データ、富山県
令和6年に発生した能登半島地震では、富山県内で震度5強を観測するとともに、津波警報が発令された。このため、多くの住民が車での避難を実施し、至る所で渋滞が発生した。2011年東日本大震災の際にも同様に、車での避難途上で渋滞に巻き込まれ命を落とすケースが確認されており、問題視されていた。このような中で、原則、徒歩での避難が言われているものの、富山では徒歩で避難できる場所も少なく、車利用が多くなったと考えられている。また、津波警報が注意報に変わるまでに9時間を要しており、長時間にわたって継続的に避難することが求められていた。しかしながら、津波警報が解除されるのを待つことなく、途中で避難をやめて次の行動に移す住民も多くいた。
そこで、本研究では住民の避難実態を定量データと定性データの2つから調査分析することとする。具体的には、定量データでは携帯電話やスマートホンから取得される位置情報データを対象として、富山市内で時系列的にどのような移動がなされていたかを調査する。また定性データとしては、富山県を対象とし、ウェブアンケートによって住民の避難行動を調査する。特に、避難開始の条件だけでなく、避難継続および避難解除に至る条件についても調査する。これにより、住民は何を考えて避難をやめたかを解明する。
定量データとしての位置情報データを対象とした分析では、渋滞の確認だけでなく、沿岸部では近場に集合している状況が確認された。また、2〜3時間をピークとして避難された様子が確認されたが、その後は避難をやめて地域に分散していく様子が確認された。この調査分析によって、津波警報が解除される9時間を待たずに、避難した住民が避難をやめる行動をとっていたと推察された。
この位置情報データの分析結果を受けて、ウェブアンケート調査による定性データ分析では、「避難開始判断」「避難継続判断」「避難解除判断」の3つの判断ポイントについて調査し分析を実施した。アンケート調査では、事前にスクリーニング調査を実施し、能登半島地震発生時に富山に居住していたこと、能登半島地震を知っていることを条件とした。回収された2,000件のうち、1,522件が該当した。これら1522件の回答者に対して本調査を実施した。本調査では、2024年11月21日~12月4日までの2週間で1,049件(68.9%)の有効回答を得た。本調査の質問は、前述の3つの判断ポイントに基本属性項目を加えた計29問で構成した。
まず避難開始判断においては、海からの距離が影響しており、海から離れるほど避難開始の意識は低いことが明らかとなった。この結果から、今回の避難は揺れに対する避難よりも、津波に対する避難が多かったことが分かった。避難継続判断においては、緊急的に避難した場所に依ることが明らかとなった。安定した場所であれば長時間の避難を実施するものの、近所での一時避難では滞在意識は低いことが分かった。避難解除判断においては、「まわりの人の行動に誘発される」、根拠なく「安全と判断」したことに基づいて判断されていたことが明らかとなった。これは、同調性バイアスと正常性バイアスが顕著に表れたといえる。また、「疲労」「食事・トイレ」などの身体的・生理的な状態から、避難解除する判断に至っていた。
これらの調査分析から、長期化する「リスク」が限界を与えており、情報に加えて身体的・生理的な状態を支援する仕組みが必要であると考えられる。今後、巨大災害の発生が危惧されるわが国においては、警報解除に至るまで長時間を要する地域も発生する。これらの地域で確実に命をまもるためにも、本研究の成果は一助を担っていると考えている。
そこで、本研究では住民の避難実態を定量データと定性データの2つから調査分析することとする。具体的には、定量データでは携帯電話やスマートホンから取得される位置情報データを対象として、富山市内で時系列的にどのような移動がなされていたかを調査する。また定性データとしては、富山県を対象とし、ウェブアンケートによって住民の避難行動を調査する。特に、避難開始の条件だけでなく、避難継続および避難解除に至る条件についても調査する。これにより、住民は何を考えて避難をやめたかを解明する。
定量データとしての位置情報データを対象とした分析では、渋滞の確認だけでなく、沿岸部では近場に集合している状況が確認された。また、2〜3時間をピークとして避難された様子が確認されたが、その後は避難をやめて地域に分散していく様子が確認された。この調査分析によって、津波警報が解除される9時間を待たずに、避難した住民が避難をやめる行動をとっていたと推察された。
この位置情報データの分析結果を受けて、ウェブアンケート調査による定性データ分析では、「避難開始判断」「避難継続判断」「避難解除判断」の3つの判断ポイントについて調査し分析を実施した。アンケート調査では、事前にスクリーニング調査を実施し、能登半島地震発生時に富山に居住していたこと、能登半島地震を知っていることを条件とした。回収された2,000件のうち、1,522件が該当した。これら1522件の回答者に対して本調査を実施した。本調査では、2024年11月21日~12月4日までの2週間で1,049件(68.9%)の有効回答を得た。本調査の質問は、前述の3つの判断ポイントに基本属性項目を加えた計29問で構成した。
まず避難開始判断においては、海からの距離が影響しており、海から離れるほど避難開始の意識は低いことが明らかとなった。この結果から、今回の避難は揺れに対する避難よりも、津波に対する避難が多かったことが分かった。避難継続判断においては、緊急的に避難した場所に依ることが明らかとなった。安定した場所であれば長時間の避難を実施するものの、近所での一時避難では滞在意識は低いことが分かった。避難解除判断においては、「まわりの人の行動に誘発される」、根拠なく「安全と判断」したことに基づいて判断されていたことが明らかとなった。これは、同調性バイアスと正常性バイアスが顕著に表れたといえる。また、「疲労」「食事・トイレ」などの身体的・生理的な状態から、避難解除する判断に至っていた。
これらの調査分析から、長期化する「リスク」が限界を与えており、情報に加えて身体的・生理的な状態を支援する仕組みが必要であると考えられる。今後、巨大災害の発生が危惧されるわが国においては、警報解除に至るまで長時間を要する地域も発生する。これらの地域で確実に命をまもるためにも、本研究の成果は一助を担っていると考えている。