17:15 〜 19:15
[HDS09-P05] 日常の生活場面が人々の災害の安全確保行動の選択に及ぼす影響
キーワード:地震、安全確保行動、生態学的経時的評価、日常生活場面
災害に遭遇しても十分な安全確保行動が取られないことは、防災リテラシー研究における大きな課題である。これまでにも、緊急地震速報を受けてもほとんどの人が具体的な対応を取らないことが指摘されている。そこで、生活場面でリアルタイムに計測を行う「生態学的経時的評価(EMA)」を用いた研究を行うことで、人々の安全確保行動を阻害する文脈要因を検討することを目的とした。
心理学の分野では、人々の動機は時間や場面によって変動することが指摘されている。安全確保行動においても、災害に遭遇した文脈によって人々の動機が変動すると考えられる。しかしながら、安全確保行動が文脈によって変動することを仮定した研究は行われてこなかった。本研究では、EMAを用いたリアルタイムな計測により、生活場面の時間帯や状況によって安全確保行動の選択がどのように変動するかを検討する。
2024年8月に、性別×年代の層からほぼ同数となるように募集された149名がEMAに参加した。EMAは、平日・週末のいずれかの連続した2日間に、朝、昼、夜の時間帯にランダムに実施され、合計6回の測定を行った。測定項目は、震度6強の地震に遭遇した場面での安全確保行動の選択や、その調査時点の状況変数である。本研究では、692件の観測データ(回答率77%)が得られた。
Table 1に参加者の個人属性を示す。調査時点で遭遇した地震災害の対応行動について、主に取られていたのは、情報確認行動(選択率: 58%~69%)、周囲の様子の確認行動(選択率: 53%~66%)であった(Figure 1)。その次に、安全確保行動が取られていた(選択率: 28%~38%)。とくに、情報行動では、家にいる人の方が他の場所にいる人よりも各時間帯での選択率は高かった(Figure 2)。周囲の様子の確認行動では、場所による選択率の違いは見られなかった(Figure 3)。安全確保行動では、家にいる人の選択率が高く、他の場所の人は時間帯により選択率が変動していた(Figure 4)。
次に、対応行動の後の避難行動について、その場に留まる行動(選択率: 49%~60%)が最も多かった(Figure 5)。屋外の指定避難場所への避難(選択率: 9%~15%)や、屋内の指定避難場所への避難(選択率: 3%~7%)といった具体的な避難行動の選択は少なかった。また、朝(χ2(30) = 60.25, p < .01)、昼(χ2(30) = 52.43, p < .01)、夜(χ2(30) = 45.23, p = .03)の時間帯で回答者がいる場所によって行動選択率が異なっていた。とくに、その場に留まる行動は、自宅にいる人の選択率は安定して高く、他の場所では時間帯によって選択率が異なっていた(Figure 6)。屋外の指定された場所への避難は、回答者がいる場所による違いはみられたものの、夜においてその選択率は低くなっていた(Figure 7)。屋内の指定された場所への避難行動は、夜の時間帯において屋内や屋外にいる人の選択率が高くなっていた(Figure 8)。
本研究では、生活場面のリアルタイムな状況で測定を行うことで、文脈的要因が行動選択に及ぼす影響を検討した。地震発生直後の対応行動について、多くの人は安全確保行動よりも、地震情報や周囲の様子の確認行動を取っていた。また、朝・昼・夜といった時間帯に加えて、災害に遭遇した場所が行動選択に影響を与える傾向があった。これは、身を守ることよりも、周囲の文脈に応じて危険性を確認する行動が優先されやすいことを示唆している。
地震発生後の避難行動についても、どこかに避難するよりも、その場に留まる選択が好まれていた。これらの行動選択においても、自宅にいるといった場所が影響を与えていた。これまで、心理学の分野では、人の行動選択は一貫しているのではなく、時間や場面によって変動することが指摘されている。本研究では、災害関連行動において、文脈が行動選択に重要な影響を及ぼすことを示した。特に、時間や場所に行動が左右されることから、このような文脈を加味した防災リテラシーの構築が求められる。
心理学の分野では、人々の動機は時間や場面によって変動することが指摘されている。安全確保行動においても、災害に遭遇した文脈によって人々の動機が変動すると考えられる。しかしながら、安全確保行動が文脈によって変動することを仮定した研究は行われてこなかった。本研究では、EMAを用いたリアルタイムな計測により、生活場面の時間帯や状況によって安全確保行動の選択がどのように変動するかを検討する。
2024年8月に、性別×年代の層からほぼ同数となるように募集された149名がEMAに参加した。EMAは、平日・週末のいずれかの連続した2日間に、朝、昼、夜の時間帯にランダムに実施され、合計6回の測定を行った。測定項目は、震度6強の地震に遭遇した場面での安全確保行動の選択や、その調査時点の状況変数である。本研究では、692件の観測データ(回答率77%)が得られた。
Table 1に参加者の個人属性を示す。調査時点で遭遇した地震災害の対応行動について、主に取られていたのは、情報確認行動(選択率: 58%~69%)、周囲の様子の確認行動(選択率: 53%~66%)であった(Figure 1)。その次に、安全確保行動が取られていた(選択率: 28%~38%)。とくに、情報行動では、家にいる人の方が他の場所にいる人よりも各時間帯での選択率は高かった(Figure 2)。周囲の様子の確認行動では、場所による選択率の違いは見られなかった(Figure 3)。安全確保行動では、家にいる人の選択率が高く、他の場所の人は時間帯により選択率が変動していた(Figure 4)。
次に、対応行動の後の避難行動について、その場に留まる行動(選択率: 49%~60%)が最も多かった(Figure 5)。屋外の指定避難場所への避難(選択率: 9%~15%)や、屋内の指定避難場所への避難(選択率: 3%~7%)といった具体的な避難行動の選択は少なかった。また、朝(χ2(30) = 60.25, p < .01)、昼(χ2(30) = 52.43, p < .01)、夜(χ2(30) = 45.23, p = .03)の時間帯で回答者がいる場所によって行動選択率が異なっていた。とくに、その場に留まる行動は、自宅にいる人の選択率は安定して高く、他の場所では時間帯によって選択率が異なっていた(Figure 6)。屋外の指定された場所への避難は、回答者がいる場所による違いはみられたものの、夜においてその選択率は低くなっていた(Figure 7)。屋内の指定された場所への避難行動は、夜の時間帯において屋内や屋外にいる人の選択率が高くなっていた(Figure 8)。
本研究では、生活場面のリアルタイムな状況で測定を行うことで、文脈的要因が行動選択に及ぼす影響を検討した。地震発生直後の対応行動について、多くの人は安全確保行動よりも、地震情報や周囲の様子の確認行動を取っていた。また、朝・昼・夜といった時間帯に加えて、災害に遭遇した場所が行動選択に影響を与える傾向があった。これは、身を守ることよりも、周囲の文脈に応じて危険性を確認する行動が優先されやすいことを示唆している。
地震発生後の避難行動についても、どこかに避難するよりも、その場に留まる選択が好まれていた。これらの行動選択においても、自宅にいるといった場所が影響を与えていた。これまで、心理学の分野では、人の行動選択は一貫しているのではなく、時間や場面によって変動することが指摘されている。本研究では、災害関連行動において、文脈が行動選択に重要な影響を及ぼすことを示した。特に、時間や場所に行動が左右されることから、このような文脈を加味した防災リテラシーの構築が求められる。