17:15 〜 19:15
[HDS09-P07] 防災気象情報の不確実性評価と避難判断根拠としての活用可能性
キーワード:防災気象情報、防災リテラシー、洪水リスク
近年,わが国では気象災害が激甚化・頻発化しており,風水害による犠牲者が後を絶たない.犠牲者を少しでも減らそうと,気象庁と内閣府は5段階の大雨警戒レベルを導入し,避難情報や警報・注意報などの防災気象情報と住民がとるべき行動を結びつけ,住民の直感的な避難を促している.
確実な避難を実現するためには,正確な気象予測とそれに基づいた防災気象情報の発表が不可欠である.気象予測技術は年々向上しているものの完全・完璧とは言い切れない.気象予測が外れれば,それを元に発表される防災気象情報の不確実性が増し,十分なリードタイム(避難猶予時間)を確保できず,逃げ遅れのリスクも高まる.リードタイムを確保するために,発災の確度が低い時点で情報を発表すれば,情報の空振りが増え,利用者の情報に対する信頼が低下する可能性もある.
地域ごとに発表される防災気象情報の不確実性を調査し,事前に不確実性を把握することで,住民側の防災気象情報に対する信頼度は下がりきらないと考える.また,予測の不確実性が特に高い地域を抽出できれば,地域ごとに情報の受け止め方を提案することや,避難の際にどれほど信頼度を持って情報を活用するべきかの指標を提供できると考える.
そこで本研究では,以下の2点に着目し不確実性の把握を試みる.
①最大5日前から警報級の現象が発生する可能性を予測する早期注意情報の不確実性評価を行う.
②洪水害の危険性を示す流域雨量指数の6時間先までの予測データを用いて,リードタイムに応じた不確実性の評価を行う.また,不確実性評価をもとに河川を分類し,流域雨量指数予測の避難判断根拠としての活用可能性を考察する.
警報が発表される可能性を「中」「高」の2段階で示す早期注意情報(警報級の可能性)の不確実性を調査した.使用データは2017年から2023年に発表された大雨警報が発表される可能性を最大5日前から予測する早期注意情報(警報級の可能性)である.不確実性評価には,適中率と捕捉率を用いた.適中率は,大雨警報が発表されると予想したときに,実際に大雨警報が発表された割合であり,捕捉率は,大雨警報が発表されたときにそれを事前に予測できていた割合である.適中率と捕捉率を確度「中」以上と確度「高」に分けて,リードタイム5日前から算出した.
流域雨量指数は洪水害の相対的な危険度を表す指標で,洪水キキクルや洪水注意報・警報の基準に利用されている.気象庁が提供する全国8,358地点の流域雨量指数予測値と実況値を収集した.リードタイムごとの河川の不確実性の大きさに応じたパターン分類を実施し,河川を3カテゴリーに分類することができた.それぞれのカテゴリーに対して,避難判断根拠としての流域雨量指数予測の活用可能性を評価した.結果として,リードタイムが長くなるほど精度が悪くなる河川が多かった.このような河川においては,周辺に住む住民のうち,避難に時間を要するような高齢者は,不確実性の高い段階から避難する必要があるため,空振りとなるリスクを理解した避難が必要である.
最後に,早期注意情報(警戒レベル1)と流域雨量指数予測(警戒レベル2~4)の不確実性を掛け合わせ,レベル5(災害発生)に至るまでに,すべての予測が当たる確率を算出した.
防災気象情報は住民が迅速かつ的確に避難判断を行うために必要不可欠な要素である.本発表では,防災気象情報の不確実性を定量的に評価し,より実効性の高い避難行動を促すための情報活用策について考察し,その結果を報告する.
確実な避難を実現するためには,正確な気象予測とそれに基づいた防災気象情報の発表が不可欠である.気象予測技術は年々向上しているものの完全・完璧とは言い切れない.気象予測が外れれば,それを元に発表される防災気象情報の不確実性が増し,十分なリードタイム(避難猶予時間)を確保できず,逃げ遅れのリスクも高まる.リードタイムを確保するために,発災の確度が低い時点で情報を発表すれば,情報の空振りが増え,利用者の情報に対する信頼が低下する可能性もある.
地域ごとに発表される防災気象情報の不確実性を調査し,事前に不確実性を把握することで,住民側の防災気象情報に対する信頼度は下がりきらないと考える.また,予測の不確実性が特に高い地域を抽出できれば,地域ごとに情報の受け止め方を提案することや,避難の際にどれほど信頼度を持って情報を活用するべきかの指標を提供できると考える.
そこで本研究では,以下の2点に着目し不確実性の把握を試みる.
①最大5日前から警報級の現象が発生する可能性を予測する早期注意情報の不確実性評価を行う.
②洪水害の危険性を示す流域雨量指数の6時間先までの予測データを用いて,リードタイムに応じた不確実性の評価を行う.また,不確実性評価をもとに河川を分類し,流域雨量指数予測の避難判断根拠としての活用可能性を考察する.
警報が発表される可能性を「中」「高」の2段階で示す早期注意情報(警報級の可能性)の不確実性を調査した.使用データは2017年から2023年に発表された大雨警報が発表される可能性を最大5日前から予測する早期注意情報(警報級の可能性)である.不確実性評価には,適中率と捕捉率を用いた.適中率は,大雨警報が発表されると予想したときに,実際に大雨警報が発表された割合であり,捕捉率は,大雨警報が発表されたときにそれを事前に予測できていた割合である.適中率と捕捉率を確度「中」以上と確度「高」に分けて,リードタイム5日前から算出した.
流域雨量指数は洪水害の相対的な危険度を表す指標で,洪水キキクルや洪水注意報・警報の基準に利用されている.気象庁が提供する全国8,358地点の流域雨量指数予測値と実況値を収集した.リードタイムごとの河川の不確実性の大きさに応じたパターン分類を実施し,河川を3カテゴリーに分類することができた.それぞれのカテゴリーに対して,避難判断根拠としての流域雨量指数予測の活用可能性を評価した.結果として,リードタイムが長くなるほど精度が悪くなる河川が多かった.このような河川においては,周辺に住む住民のうち,避難に時間を要するような高齢者は,不確実性の高い段階から避難する必要があるため,空振りとなるリスクを理解した避難が必要である.
最後に,早期注意情報(警戒レベル1)と流域雨量指数予測(警戒レベル2~4)の不確実性を掛け合わせ,レベル5(災害発生)に至るまでに,すべての予測が当たる確率を算出した.
防災気象情報は住民が迅速かつ的確に避難判断を行うために必要不可欠な要素である.本発表では,防災気象情報の不確実性を定量的に評価し,より実効性の高い避難行動を促すための情報活用策について考察し,その結果を報告する.