17:15 〜 19:15
[HDS09-P08] 火山活動の観測情報に対する御嶽山登山者の知識と意識
―アンケート調査に基づく評価―
キーワード:噴火警報、登山中、リアルタイム観測情報
1. はじめに
2014年の御嶽山噴火では登山者63名が犠牲となり、突発的な噴火リスクに対する備えの重要性が改めて浮き彫りとなった。火山活動に関する情報は、登山者の避難行動に直結するため、防災上の重要要素である。近年、気象庁による火山活動に関する解説情報や研究機関によるリアルタイム観測データモニターなど、火山活動情報が充実してきた。しかし、登山者がどの程度火山情報を理解し、それを活用しているかについての実態は十分に把握されていない。本研究では、火山活動の情報に対する平均的な登山者の知識と意識を定量的に明らかにすることを目的とし、アンケート調査を実施した。
2. 調査方法
本調査は、2024年9月28日に地獄谷火口から1㎞程度と距離的に近い王滝頂上と黒沢十字路の2か所において、剣ヶ峰から下山した登山者263名を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は、火山の認知度、火山の活動状況に関する情報収集の実態、噴火警戒レベルと想定火口位置の認知度、観測データの理解度について評価した。
3. 結果と考察
(1) 火山の認知度と噴火リスク意識
調査の結果、「御嶽山が火山である」と認識していた登山者は全員(100%)を占めたが、噴火の可能性を意識していた登山者の割合は剣ヶ峰で約86%、登山道で約81%にとどまった。さらに、登山道では噴火の可能性を「常に考えていた」と回答した割合が約5%減少し、継続的な警戒意識を持つ登山者は限られることが示唆された。
(2) 火山活動情報の収集状況
登山前に火山活動の情報を調べた登山者は約73.4%であったが、登山中に継続して情報を得た登山者は約52.9%に減少した。登山者は出発前には火山情報を確認するものの、登山中の情報取得する人は著しく減少することが分かった。
(3) 噴火警戒レベルおよび想定火口域の認識度
気象庁の噴火警戒レベルを「よく知っている」「やや知っている」と回答した登山者は約80.3%であった。一方、「あまり知らない」「まったく知らない」と回答した登山者も約19.8%存在していた。代わって、想定火口域の位置を正しく把握していた登山者は35%にとどまった。噴火警戒レベルの認知度はあるものの、想定火口の地理的な空間認識など、火山のリスクに関する理解が十分ではないことが示された。
(4) 登山中の火山活動情報の関心度と火山観測データの理解度
火山活動に関する情報を「気象庁の火山情報が発表されたら知りたい」と回答した登山者は約25%に過ぎなかったが、「気象庁の情報に限らず、火山性地震の発生数などのリアルタイム情報を知りたい」と回答した登山者の割合は約71%に達した。これは、登山者が気象庁による公式な噴火警報だけでなく、火山活動の兆候を示すリアルタイムデータへの関心が高いことを示していると考えられる。
そこで、一般の登山者が火山の観測データをどの程度理解できるのかテストを行った。2022年2月23日に噴火警戒レベル2に引き上げられた際の地震波形・傾斜計データについて、正しい画像を選択できた登山者の割合は約19%にとどまった。一方で、火山性地震の日別発生数の推移をグラフで示した場合、登山者の火山活動状況や登山道での防災への意識が向上する可能性が見えてきた。
4. まとめ
本調査の結果、登山者の多くは登山中の火山情報に関心を持ち、噴火警戒レベルの存在を認識しているものの、登山中の情報取得の減少、具体的な火口位置の認識不足、リアルタイム情報提供への高いニーズが課題として明らかになった。特に、火山性地震の発生状況をグラフで提示することで、登山者のリスク意識が向上する可能性が示唆された。今後、分かりやすい情報伝達の仕組みを構築することが求められる。
2014年の御嶽山噴火では登山者63名が犠牲となり、突発的な噴火リスクに対する備えの重要性が改めて浮き彫りとなった。火山活動に関する情報は、登山者の避難行動に直結するため、防災上の重要要素である。近年、気象庁による火山活動に関する解説情報や研究機関によるリアルタイム観測データモニターなど、火山活動情報が充実してきた。しかし、登山者がどの程度火山情報を理解し、それを活用しているかについての実態は十分に把握されていない。本研究では、火山活動の情報に対する平均的な登山者の知識と意識を定量的に明らかにすることを目的とし、アンケート調査を実施した。
2. 調査方法
本調査は、2024年9月28日に地獄谷火口から1㎞程度と距離的に近い王滝頂上と黒沢十字路の2か所において、剣ヶ峰から下山した登山者263名を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は、火山の認知度、火山の活動状況に関する情報収集の実態、噴火警戒レベルと想定火口位置の認知度、観測データの理解度について評価した。
3. 結果と考察
(1) 火山の認知度と噴火リスク意識
調査の結果、「御嶽山が火山である」と認識していた登山者は全員(100%)を占めたが、噴火の可能性を意識していた登山者の割合は剣ヶ峰で約86%、登山道で約81%にとどまった。さらに、登山道では噴火の可能性を「常に考えていた」と回答した割合が約5%減少し、継続的な警戒意識を持つ登山者は限られることが示唆された。
(2) 火山活動情報の収集状況
登山前に火山活動の情報を調べた登山者は約73.4%であったが、登山中に継続して情報を得た登山者は約52.9%に減少した。登山者は出発前には火山情報を確認するものの、登山中の情報取得する人は著しく減少することが分かった。
(3) 噴火警戒レベルおよび想定火口域の認識度
気象庁の噴火警戒レベルを「よく知っている」「やや知っている」と回答した登山者は約80.3%であった。一方、「あまり知らない」「まったく知らない」と回答した登山者も約19.8%存在していた。代わって、想定火口域の位置を正しく把握していた登山者は35%にとどまった。噴火警戒レベルの認知度はあるものの、想定火口の地理的な空間認識など、火山のリスクに関する理解が十分ではないことが示された。
(4) 登山中の火山活動情報の関心度と火山観測データの理解度
火山活動に関する情報を「気象庁の火山情報が発表されたら知りたい」と回答した登山者は約25%に過ぎなかったが、「気象庁の情報に限らず、火山性地震の発生数などのリアルタイム情報を知りたい」と回答した登山者の割合は約71%に達した。これは、登山者が気象庁による公式な噴火警報だけでなく、火山活動の兆候を示すリアルタイムデータへの関心が高いことを示していると考えられる。
そこで、一般の登山者が火山の観測データをどの程度理解できるのかテストを行った。2022年2月23日に噴火警戒レベル2に引き上げられた際の地震波形・傾斜計データについて、正しい画像を選択できた登山者の割合は約19%にとどまった。一方で、火山性地震の日別発生数の推移をグラフで示した場合、登山者の火山活動状況や登山道での防災への意識が向上する可能性が見えてきた。
4. まとめ
本調査の結果、登山者の多くは登山中の火山情報に関心を持ち、噴火警戒レベルの存在を認識しているものの、登山中の情報取得の減少、具体的な火口位置の認識不足、リアルタイム情報提供への高いニーズが課題として明らかになった。特に、火山性地震の発生状況をグラフで提示することで、登山者のリスク意識が向上する可能性が示唆された。今後、分かりやすい情報伝達の仕組みを構築することが求められる。