日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 防災リテラシー

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:高橋 誠(名古屋大学大学院環境学研究科)、木村 玲欧(兵庫県立大学)

17:15 〜 19:15

[HDS09-P09] 活火山のない地域における御嶽山の火山防災に関する意識の調査‐愛知県の大学生を対象とした予備的検討

*堀井 雅恵1山岡 耕春2,3金 幸隆4國友 孝洋5工藤 健6 (1.名古屋大学大学院環境学研究科、2.名古屋大学名誉教授、3.原子力規制委員会、4.名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山研究センター御嶽山火山研究施設、5.御嶽山科学研究所、6.中部大学工学部)

キーワード:火山防災、防災リテラシー、理科教育、御嶽山

2014年の御嶽山の噴火では、火口付近にいた63名(行方不明者含む)の登山者が犠牲になった(1)。以降、火山周辺の住民だけでなく、観光客・登山者に対する火山防災の必要性が国や自治体で議論され、火山防災のあり方が見直された。一般に火山噴火は他の自然災害に比べて頻度が小さく、被害が地域限定的である。火山のない地域の住民は火山防災を考える機会があまりないが、登山者、観光客として火山地域を訪れた際に被災する可能性もありうる。愛知県には活火山はないが、愛知県から御嶽山に訪れる登山者は多く、2014年の噴火においても多くの人が被害を受けた。噴火後に御嶽山の登山者に対して行われたアンケートにおいても愛知県からの登山者の割合が高いことが示されている(2)。
本発表では、愛知県の大学生を対象に、御嶽山の火山防災についての意識や火山現象の用語の認知度について予察的に行ったアンケート調査について報告する。
対象は中部大学で教養科目として地球科学に関する科目を受講している1-4年の学生である。調査はGoogle フォームを用いて無記名で行った。2025年2月時点で49名の回答(受講者の10%程度)があった。回答者の属性に関する設問では性別、出身県、所属学科について聞いた。回答者の出身県は愛知県が73%ついで岐阜県が12%であった。
御嶽山についての設問では、2014年噴火に関する認知度、噴火後に設置された名古屋大学御嶽山火山研究施設(3)、御嶽山火山マイスター制度(4)、王滝村(やまテラス王滝)と木曽町(さとテラス三岳)の二か所の御嶽山ビジターセンターについての認知度、噴火後の御嶽山登頂、登山以外の目的での御嶽山地域への来訪について聞いた。また、御嶽山の噴火後の対策について思うことを自由記述してもらった。
2014年噴火に関する認知度は「よく知っている」「ある程度知っている」「聞いたことはある」を合わせると89.8%であり、比較的高かった。被害状況についても火口付近にいた登山者が犠牲になったことを67.3%が認識していた。一方で火山研究施設、マイスター制度、ビジターセンターについては、「知らない、聞いたことがない」がそれぞれ、83.7%、87.8%、79.6%を占め、認知度が低かった。また、回答者に噴火後に御嶽山の山頂まで登山した人はいなかった。登山以外での御嶽山地域への来訪についても79.6%が「わからない、行った事がない」と回答した。自由記述については噴火後の対策についてシェルターに言及した記述が複数見られた。
また、溶岩流、火山灰などの火山現象についての認知度を調査し、中部地域の山岳や有名な火山から活火山を選んでもらう設問も用意した。これは火山に関する知識を確かめ、他の地域と比較を行うためである。溶岩流(91.8%)、噴石(100%)、火山灰(99%)、火山ガス(97%)、火砕流(87.8%)の認知度が比較的高いのに対し、融雪型火山泥流(22.4%)、噴火後土石流(53.1%)、山体崩壊・岩なだれ(57.1%)、空振(26.5%)の認知度は低かった。回答者の傾向としてあまり御嶽山地域を訪れていないにもかかわらず、2014年噴火に関しては認知度が高いことが分かった。
今後、アンケート項目を検討するとともに例数を増やし、クロス統計や自由記述の質的解析、他地域との詳細な比較も行いたい。

(1)及川輝樹, 山岡耕春, 吉本充宏, 中田節也, 竹下欣宏, 前野深, 石塚吉浩, 小森次郎, 嶋野岳人, 中野俊 (2015) 御嶽山2014年噴火, 火山, 60 (3), 411-415.
(2)金幸隆, 山岡 耕春, 竹脇 聡, 田ノ上 和志, 野田 智彦 (2023) 御嶽山噴火を想定した登山者参加型の避難訓練に基づく避難行動に関するアンケート調査, JpGU2023, HDS08-01.
(3)國友孝洋, 田ノ上和志, 山岡耕春(2018)名古屋大学御嶽山火山研究施設, 日本火山学会講演予稿集, P71.
(4)窪田 優希, 田ノ上 和志 (2018) 御嶽山火山マイスターが創る新たな“火山防災”の取組, 日本火山学会講演予稿集, P119.