16:30 〜 16:45
[HDS10-11] 令和6年度能登半島地震津波の波源遠方地域における津波高増に関する検討
キーワード:令和6年度能登半島地震、散乱、エッジ波、舳倉島
はじめに
2024年1月1日に能登半島でMw7.5の地震が発生した.この地震に伴い日本海側の広範囲で津波が観測された.これまでに,いくつかの津波発生のメカニズムに関する検討が行われてきた(例えば,Satake et al., 2024; Masuda et al., 2024).有川ら(2024)は,国土交通省(2014)が提案した断層モデルF43とF42の一部断層が破壊された場合に,上越市および佐渡島で観測される局所的な津波高さを説明できる可能性を示した.さらに,Kurihara et al.(2024)は断層モデルに加えて海底地すべりによる津波の発生を考慮することで上越市の観測波形や新潟や佐渡島沿岸の津波高を説明できる可能性を示した.一方,東北日本海沿岸や山陰沿岸においては,地震発生から3時間以降で最大波が観測されており,この要因については明らかにされていない.そこで本研究では,秋田県から鳥取県までを含む広域での津波数値解析を実施し,波源遠方における後続相における最大波の発生過程を明らかにすることを目的とする.
研究手法
本研究では,秋田県から鳥取県までの日本海側の広域における津波数値解析を実施した.津波数値解析はJAGURS(Baba et al., 2019)を用いた.海底地形モデルは野ら(2016)を用い,空間格子は6秒角とした.計算領域は南西端座標を(35.35N,132.48E),北東端座標を(41.2705N,140.6305E)とした.断層モデルには有川ら(2024)で提案されたモデルを用いた.解析では,秋田県や鳥取県での後続波について分析するため,計算時間を24時間とした.解析結果との比較に用いた観測データは全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)を使用した.
解析結果
秋田のNOWPHAS波浪計で観測された波形から,秋田では17:25頃に第1波(約6 cm),17:45頃に第2波(約12 cm)を観測した.また,地震発生から3時間後に最大の津波が生じ,19:30頃に約14 cmを観測した.次に,鳥取のNOWPHAS波浪計では,17:20頃に第1波(約4cm),18:45頃に第3波(約10 cm)を観測した.鳥取では4時間後の20:40頃に約27 cmを観測した.このように,秋田,鳥取では第1波に比べて第2波以降の振幅が大きい.数値解析結果から,第1波に比べて第2波の最大振幅が大きい要因としては能登半島の北側に位置する舳倉島による後方散乱の影響によるものと考えられる.舳倉島周辺の地形で発生した後方散乱波により,約100分後に秋田に,約150分後に鳥取に到達している.これらの到達時刻は秋田の第2波,鳥取の第3波の最大が到達した時刻とおおよそ一致している.地震発生の3時間以降の津波最大振幅については,海底地形の影響で海岸沿いに伝播するエッジ波が励起され,男鹿半島や境港などの湾曲した海岸線形状により反射波が生じ,それらが重なり合って津波高が増大したと考えられる.
まとめ
本研究では,波源遠方地域における,後続波が増大する要因について検討を行った.日本海側の広域での計算結果から,秋田と鳥取の第2,3波は舳倉島の散乱の影響が大きく,3~5時間後の最大振幅については,エッジ波の励起とそれによる反射の重ね合わせにより津波高が増大したと考えられる.
2024年1月1日に能登半島でMw7.5の地震が発生した.この地震に伴い日本海側の広範囲で津波が観測された.これまでに,いくつかの津波発生のメカニズムに関する検討が行われてきた(例えば,Satake et al., 2024; Masuda et al., 2024).有川ら(2024)は,国土交通省(2014)が提案した断層モデルF43とF42の一部断層が破壊された場合に,上越市および佐渡島で観測される局所的な津波高さを説明できる可能性を示した.さらに,Kurihara et al.(2024)は断層モデルに加えて海底地すべりによる津波の発生を考慮することで上越市の観測波形や新潟や佐渡島沿岸の津波高を説明できる可能性を示した.一方,東北日本海沿岸や山陰沿岸においては,地震発生から3時間以降で最大波が観測されており,この要因については明らかにされていない.そこで本研究では,秋田県から鳥取県までを含む広域での津波数値解析を実施し,波源遠方における後続相における最大波の発生過程を明らかにすることを目的とする.
研究手法
本研究では,秋田県から鳥取県までの日本海側の広域における津波数値解析を実施した.津波数値解析はJAGURS(Baba et al., 2019)を用いた.海底地形モデルは野ら(2016)を用い,空間格子は6秒角とした.計算領域は南西端座標を(35.35N,132.48E),北東端座標を(41.2705N,140.6305E)とした.断層モデルには有川ら(2024)で提案されたモデルを用いた.解析では,秋田県や鳥取県での後続波について分析するため,計算時間を24時間とした.解析結果との比較に用いた観測データは全国港湾海洋波浪情報網(NOWPHAS)を使用した.
解析結果
秋田のNOWPHAS波浪計で観測された波形から,秋田では17:25頃に第1波(約6 cm),17:45頃に第2波(約12 cm)を観測した.また,地震発生から3時間後に最大の津波が生じ,19:30頃に約14 cmを観測した.次に,鳥取のNOWPHAS波浪計では,17:20頃に第1波(約4cm),18:45頃に第3波(約10 cm)を観測した.鳥取では4時間後の20:40頃に約27 cmを観測した.このように,秋田,鳥取では第1波に比べて第2波以降の振幅が大きい.数値解析結果から,第1波に比べて第2波の最大振幅が大きい要因としては能登半島の北側に位置する舳倉島による後方散乱の影響によるものと考えられる.舳倉島周辺の地形で発生した後方散乱波により,約100分後に秋田に,約150分後に鳥取に到達している.これらの到達時刻は秋田の第2波,鳥取の第3波の最大が到達した時刻とおおよそ一致している.地震発生の3時間以降の津波最大振幅については,海底地形の影響で海岸沿いに伝播するエッジ波が励起され,男鹿半島や境港などの湾曲した海岸線形状により反射波が生じ,それらが重なり合って津波高が増大したと考えられる.
まとめ
本研究では,波源遠方地域における,後続波が増大する要因について検討を行った.日本海側の広域での計算結果から,秋田と鳥取の第2,3波は舳倉島の散乱の影響が大きく,3~5時間後の最大振幅については,エッジ波の励起とそれによる反射の重ね合わせにより津波高が増大したと考えられる.