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[HDS10-P06] 津波の波動特性を考慮した12世紀北海道南西沖地震の断層モデル検証

キーワード:地震、津波、北海道南西沖、12世紀、グリーン関数
12世紀に日本海の北海道南西沖で大規模な地震および津波が発生した可能性が先行研究で指摘されている。先行研究が津波堆積物の分布範囲と津波の数値計算に基づき構築した断層モデルは、2枚の断層面から成るモーメントマグニチュード7.9の逆断層型地震となっている。また、そのうちの1枚の断層の平均すべり量は最低18m必要であるとされている。しかし、この値は周辺地域で過去に発生した他の大地震のすべり量や、スケーリング則から予想されるすべり量、今後日本海で発生する可能性のある最大クラスの地震に対して想定されているすべり量を大きく上回る値となっている。定量的な観測が欠乏している12世紀地震の推定においては、大きな不確実性が存在することが推察される。また、12世紀地震の規模が、現在想定されている今後発生する可能性のある最大クラスの地震の規模を上回るものだったのかどうかという問いは、日本海における地震・津波防災においても重要である。本研究では、先行研究によって構築された12世紀地震の断層モデルによる津波を詳細に分析し、18mの平均すべり量が12世紀地震・津波の再現に必要かどうかを明らかにすることを研究の目的とする。
先行研究によって同定された津波堆積物のうち、北海道南西部に位置する檜山地方及び奥尻島の津波堆積物は比較的内陸に分布していたことを踏まえ、この二つの地域に着目しながら先行研究で構築された断層モデルを用いて津波の数値計算を実施した。津波堆積物点付近の沿岸域で津波波形を推定し、津波の最大水位が出現するタイミングを分析した。その結果、北海道奥尻島においては津波の第一波目ではなく、後続波である第二波目によって最大水位が形成されること、檜山地方では第一波目によってそれが形成されていることがわかった。さらに、波源域内の各小領域が最大水位形成にどのように影響するのかを分析するため、津波の波源域にガウス分布の単位波源を仮定し、津波堆積物点付近の沿岸域にてそれによるグリーン関数を推定した。断層モデルを用いて津波の数値計算によって得られた最大水位出現時間におけるグリーン関数の値を、そのグリーン関数の波源位置にプロットすることで各小波源位置の最大水位への寄与度を俯瞰した。その結果、波源域内の特に北側の領域における初期水位が奥尻島での最大水位形成に大きく寄与していることがわかった。
これらの結果を踏まえ、最大水位形成に大きく影響する領域に大きな初期水位を与えるように断層モデルのすべり分布を試行的に仮定し、非線形長波理論で津波の伝播・浸水計算を行った。その結果、平均すべり量が結果として18mから低減するすべり分布モデルでも、津波堆積物の分布範囲を浸水させることが可能であることがわかった。すなわち、必ずしも18mの平均すべり量は必要ではないことがわかった。しかしながら、本研究で仮定した断層モデルの平均すべり量は、想定されている今後発生する可能性のある最大クラスの地震に対する断層モデルの平均すべり量を依然として上回っていた。津波の波動特性や地震特性などを踏まえながら、今後想定される最大クラスの地震についてさらに詳細な検討が必要である。
先行研究によって同定された津波堆積物のうち、北海道南西部に位置する檜山地方及び奥尻島の津波堆積物は比較的内陸に分布していたことを踏まえ、この二つの地域に着目しながら先行研究で構築された断層モデルを用いて津波の数値計算を実施した。津波堆積物点付近の沿岸域で津波波形を推定し、津波の最大水位が出現するタイミングを分析した。その結果、北海道奥尻島においては津波の第一波目ではなく、後続波である第二波目によって最大水位が形成されること、檜山地方では第一波目によってそれが形成されていることがわかった。さらに、波源域内の各小領域が最大水位形成にどのように影響するのかを分析するため、津波の波源域にガウス分布の単位波源を仮定し、津波堆積物点付近の沿岸域にてそれによるグリーン関数を推定した。断層モデルを用いて津波の数値計算によって得られた最大水位出現時間におけるグリーン関数の値を、そのグリーン関数の波源位置にプロットすることで各小波源位置の最大水位への寄与度を俯瞰した。その結果、波源域内の特に北側の領域における初期水位が奥尻島での最大水位形成に大きく寄与していることがわかった。
これらの結果を踏まえ、最大水位形成に大きく影響する領域に大きな初期水位を与えるように断層モデルのすべり分布を試行的に仮定し、非線形長波理論で津波の伝播・浸水計算を行った。その結果、平均すべり量が結果として18mから低減するすべり分布モデルでも、津波堆積物の分布範囲を浸水させることが可能であることがわかった。すなわち、必ずしも18mの平均すべり量は必要ではないことがわかった。しかしながら、本研究で仮定した断層モデルの平均すべり量は、想定されている今後発生する可能性のある最大クラスの地震に対する断層モデルの平均すべり量を依然として上回っていた。津波の波動特性や地震特性などを踏まえながら、今後想定される最大クラスの地震についてさらに詳細な検討が必要である。