日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS11] 人間環境と災害リスク

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:佐藤 浩(日本大学文理学部)、山崎 新太郎(京都大学防災研究所)、畑山 満則(京都大学防災研究所)、中埜 貴元(国土交通省国土地理院)


17:15 〜 19:15

[HDS11-P04] 常時微動観測を用いた茨城県下妻市鬼怒地区・常総市吉野地区の旧河道周辺における地盤構造の推定

*赤澤 光樹1小荒井 衛1先名 重樹2 (1.茨城大学、2.防災科学技術研究所)

キーワード:常時微動観測、液状化、2011年東北地方太平洋沖地震、旧河道

2011年東北地方太平洋沖地震によって関東平野広域で液状化が発生し,下妻市鬼怒地区と常総市吉野地区でも液状化被害が発生した.鬼怒地区では主に旧河道上で液状化被害が発生しており, 旧河道上の中でもより攻撃斜面側で地盤沈下や家屋傾倒被害, 噴砂が顕著である傾向が見られた.中埜ほか(2017)では地中レーダー探査が実施され, 旧河道の攻撃斜面側で旧河床深度が深いことが確認でき, 攻撃斜面側において液状化被害の増大性との関係が示唆された.吉野地区では自然堤防と後背低地の境界部分の道路や旧河道周辺, 三日月湖として残っている旧河道のポイントバー上に位置している地域で液状化被害が発生した.本研究では常時微動観測を用いて, 下妻市鬼怒地区・常総市吉野地区の旧河道上・旧河道付近の地盤構造を推定し, 液状化被害と地盤構造との関係性を考察した.
本研究では常時微動観測(微動アレイ)を実施することで, 地盤のS波速度構造などを調べた. S波速度は柔らかい地盤では伝播速度が遅くなるため, 地盤災害を引き起こす軟弱な地盤を検出することができる.この性質を利用して, 旧河道とその周辺で特に軟弱な地盤が集中している地域と, 軟弱層の厚さを推定した.本研究では下妻市鬼怒地区で計50点, 常総市吉野地区で計17点の観測を実施した.また, 下妻市鬼怒地区の旧河道上にあり, 液状化被害があった地域のボーリングデータを用いて, 液状化した地盤のS波速度構造の特徴についても考察した.
下妻市鬼怒地区で常時微動観測を実施し解析したS波速度構造から深度10mまでのS波速度構造断面図を作成して考察を行った.その結果, 旧河道の攻撃斜面側では軟弱な層が厚く堆積しており, 旧河道内でも特に液状化リスクが高い可能性がある.また, 旧河道のより蛇行部の断面図ほど攻撃斜面側が局所的に削られている傾向も見られた.これらの傾向は旧河道に水が通っていた時期に河道が屈曲部で攻撃斜面を削った結果このような傾向になっていると考える.旧河道上のボーリングデータから, 実際に液状化したと思われる砂層が深度8m以浅で存在しており, 砂層の下にはシルト層が卓越していることがわかった.このボーリングデータとS波速度構造を比較すると, 層相が上位の砂層から下位のシルト層に変化する深度でS波速度が上位より小さい逆転層が分布している.このことから, 地震発生時に揺れが軟弱な層であるシルト層で増幅し, その上の砂層で液状化を引き起こしたと考えられる.また, この比較で得られたS波速度の対応から砂層の下端の傾きと家屋の傾倒方向が一致している可能性があり, 地震発生時に液状化した砂層が流動して, 砂層が傾いている方向に流れたことで, 家屋が向き合う方向に傾倒したのではないかと考える.常総市吉野地区では液状化発生地点付近のS波速度構造をまとめた結果, 明瞭な逆転層がみられた.

引用文献
・中埜貴元, 小荒井衛, 須貝俊彦, 吉田剛(2017):物理探査による利根川・鬼怒川旧河道の液状化発生域の浅部地下構造の推定, 地学雑誌, 126(6), 749-765.