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[HGG02-P02] バングラデシュのブタの遊牧-デルタの地誌学の構築を探る-
キーワード:デルタ、遊動、ブタ、地理
世界の河川の下流域には、広大なデルタがみられる地域が知られている。なかでも熱帯モンスーンアジアは、メコン、チャオプラヤ、イラワジ、ガンジスほか、多数のデルタが広がる地域である。これまで熱帯アジアのデルタの地誌学においては米が主食として共通する文化地域であることから水田稲作活動に注目することが多かった。しかしながらここでは、国土の大部分をデルタが占めるバングラデシュのベンガルデルタにおけるブタ飼育に注目する。筆者は、国の北部に調査地域を設定して、2024年12月に複数のブタの群れの位置と群れの移動についての調査を行なった。その結果、この時期には、収穫後のデルタで放牧されていた群れ、デルタにつながる丘陵地や定期市に近接する地域で放牧している群れを確認できた。また、ブタの餌資源としては、収穫後の水田のこぼれた米粒、水田の畔に自生する半栽培のタロの茎が重要であることが明らかになった。これらの事例をふまえて、乾燥地域におけるラクダやヤギの遊牧とは異なり、デルタでのブタ遊牧が成立している自然的、文化的な条件について考察する。そして、移動する生き物や人の視点からデルタの地誌学を構築する際の枠組みについて議論をする。