16:30 〜 16:45
[HGG03-11] 人間ー地生態関係の持続性に関する地球科学と社会科学の相互参照
キーワード:人間ー環境系、地球規模変化、持続性
1. 三角関係の見直し
古市ほか (2024) は,上田ほか (2022, 2023) での議論を土台として,地球科学・社会科学・社会との間での三角関係では,社会と社会科学との関係性と社会と地球科学との関係性とに明らかな相違があることから,三角関係を見直して,地球科学と社会科学ぞれぞれと「社会と自然資源・環境の持続性(Sustainability of human geo-ecological relationships)」との関係を基本とする議論の枠組みを提案した.この「対等な」三角関係は,地球科学が自然資源・環境と社会との関係性を調べることを本来的な目的とはしていないこと,同時に社会科学が自然資源・環境の実態と特徴を調べることを本来的な目的とはしていないこと,しかし両者ともに自然資源・環境の持続性という共通の課題をテーマにしていることを直視し,地球科学・社会科学がお互いの知見を参照し合っていく姿勢を強調している.そのことを通じて,科学の社会貢献(社会実装)という側面では社会実装の制度論や技術論に留まることなくその目的である社会や自然資源の持続性という「概念」に対する様々な議論を可能にし,社会実装の社会文化的な意義や方向性を不断に問い,異なる角度と深度を持った議論が展開されることを可能にすると考えられる.
2. 研究成果の相互参照
古市ほか (2024) では更に,「社会と自然資源・環境の持続性」に対して地球科学と社会科学がどのように知見を参照し合うのか,についてベトナム北部山地流域での「土地利用」(特に棚田)の特徴,変化,影響に関する調査研究事例(関根・磯田 2024, Furuichi et al. 2023, 2024)を参照して検討した.地球科学は,社会科学が社会経済調査データから分析する土地利用変化の社会要因に関する知見や地形プロセス(の変化)が社会に対して及ぼす影響に関する知見を参照し,社会科学は,地球科学がリモートセンシング・データや現地調査から分析する土地利用の変化に関する知見や地形プロセスに関する知見を参照することができる.このような「社会と自然資源・環境の持続性」を捉えるための知見の統合は,これまで地理学が科学における自らの存在意義として取り組んできたアプローチ(Matthews and Herbert 2008)であると言えるのではないか.
3. 相互参照・対話が求められるテーマ
Matthews and Herbert (2008) は自然地理学(地球科学)と人文地理学(社会科学)とが共同で取り組める(取り組むべき)テーマとして: (1) 地域地理学(地誌学)Regional geography;(2) 歴史地理学 Historical geography;(3) 人間ー環境系の地理学 Geography of human-environment interaction;(4) 地球規模変化の地理学 Geography of global change;そして (5) 景観地理学 Landscape geography,という5分野を挙げている.現状や変化に関するメカニズムや歴史の解明に際して求められる科学の細分化という避け難い方向性を認識しつつ,「社会と自然資源・環境の持続性」に深く関わるテーマ(3)やテーマ(4)のように,我々には課題として認識される現状や変化に対して解決策を探らねばならないという現実がある.その現実を直視するのであれば,地球科学・社会科学がお互いの知見を参照し合っていく方向性(姿勢)をより意識的に探り,各テーマに関する視野を広め議論を深めていく必要があるのではないか.
【引用文献】
上田ほか (2022) 日本地球惑星科学連合2022年大会,HGG01-10.
上田ほか (2023) 日本地球惑星科学連合2023年大会,HGG01-09.
古市ほか (2024) 日本地球惑星科学連合2024年大会,HGG02-05.
Furuichi et al. (2023) JpGU2023, HGG01-P03.
Furuichi et al. (2024) JpGU2024, HGG02-P04.
Matthews JA, Herbert DT (2008) Geography: A very short introduction. Oxford University Press.
古市ほか (2024) は,上田ほか (2022, 2023) での議論を土台として,地球科学・社会科学・社会との間での三角関係では,社会と社会科学との関係性と社会と地球科学との関係性とに明らかな相違があることから,三角関係を見直して,地球科学と社会科学ぞれぞれと「社会と自然資源・環境の持続性(Sustainability of human geo-ecological relationships)」との関係を基本とする議論の枠組みを提案した.この「対等な」三角関係は,地球科学が自然資源・環境と社会との関係性を調べることを本来的な目的とはしていないこと,同時に社会科学が自然資源・環境の実態と特徴を調べることを本来的な目的とはしていないこと,しかし両者ともに自然資源・環境の持続性という共通の課題をテーマにしていることを直視し,地球科学・社会科学がお互いの知見を参照し合っていく姿勢を強調している.そのことを通じて,科学の社会貢献(社会実装)という側面では社会実装の制度論や技術論に留まることなくその目的である社会や自然資源の持続性という「概念」に対する様々な議論を可能にし,社会実装の社会文化的な意義や方向性を不断に問い,異なる角度と深度を持った議論が展開されることを可能にすると考えられる.
2. 研究成果の相互参照
古市ほか (2024) では更に,「社会と自然資源・環境の持続性」に対して地球科学と社会科学がどのように知見を参照し合うのか,についてベトナム北部山地流域での「土地利用」(特に棚田)の特徴,変化,影響に関する調査研究事例(関根・磯田 2024, Furuichi et al. 2023, 2024)を参照して検討した.地球科学は,社会科学が社会経済調査データから分析する土地利用変化の社会要因に関する知見や地形プロセス(の変化)が社会に対して及ぼす影響に関する知見を参照し,社会科学は,地球科学がリモートセンシング・データや現地調査から分析する土地利用の変化に関する知見や地形プロセスに関する知見を参照することができる.このような「社会と自然資源・環境の持続性」を捉えるための知見の統合は,これまで地理学が科学における自らの存在意義として取り組んできたアプローチ(Matthews and Herbert 2008)であると言えるのではないか.
3. 相互参照・対話が求められるテーマ
Matthews and Herbert (2008) は自然地理学(地球科学)と人文地理学(社会科学)とが共同で取り組める(取り組むべき)テーマとして: (1) 地域地理学(地誌学)Regional geography;(2) 歴史地理学 Historical geography;(3) 人間ー環境系の地理学 Geography of human-environment interaction;(4) 地球規模変化の地理学 Geography of global change;そして (5) 景観地理学 Landscape geography,という5分野を挙げている.現状や変化に関するメカニズムや歴史の解明に際して求められる科学の細分化という避け難い方向性を認識しつつ,「社会と自然資源・環境の持続性」に深く関わるテーマ(3)やテーマ(4)のように,我々には課題として認識される現状や変化に対して解決策を探らねばならないという現実がある.その現実を直視するのであれば,地球科学・社会科学がお互いの知見を参照し合っていく方向性(姿勢)をより意識的に探り,各テーマに関する視野を広め議論を深めていく必要があるのではないか.
【引用文献】
上田ほか (2022) 日本地球惑星科学連合2022年大会,HGG01-10.
上田ほか (2023) 日本地球惑星科学連合2023年大会,HGG01-09.
古市ほか (2024) 日本地球惑星科学連合2024年大会,HGG02-05.
Furuichi et al. (2023) JpGU2023, HGG01-P03.
Furuichi et al. (2024) JpGU2024, HGG02-P04.
Matthews JA, Herbert DT (2008) Geography: A very short introduction. Oxford University Press.
