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[HGM04-P06] Sentinel-2画像から算出したNDVI比による北海道カラマツ林における地すべりの移動速度推定

キーワード:地すべり、NDVI比、Sentinel-2、カラマツ、UAV、航空レーザー
地すべりは地質が脆弱な地域一帯に数多く存在する。各地すべりの移動速度はまちまちであるものの、通常は緩慢であるため、地表には森林が存在することが多い。しかし中には顕著な移動を示し続ける地すべりもあり、それらは土地改変や豪雨や地震などの誘因により突如加速し、周囲に被害をもたらす可能性がある。森林地であっても、遠隔からそのような地すべりを簡易的に抽出できれば、監視もしくは対策対象とすることで、被害を未然に防ぐことが出来る。そこで本研究では、オープンソースの衛星画像から算出したNDVIから地すべりの移動速度を推定する可能性について検討する。
ここで、まず地すべり上の立木は、地すべり土塊が移動することで傾くことから、その傾きの度合いは、土塊の移動履歴を反映していると考えた。森林の高木層を形成する樹木の活性が、樹幹が傾くほど低下するのであれば、それらの個々の立木が示すNDVIの値も低下するはずである。このNDVI値が、衛星画像から算出されるNDVI値と関係があるのであれば、衛星画像から地すべり土塊の移動履歴が推定できることになる。また移動履歴が、詳細な地形記録に基づき可能な限り正確に追跡できれば、記録が残る期間における地すべり土塊の移動速度も算出できるはずである。これまで移動が見られた地すべりでは周囲と比較してNDVIが低いとする研究報告はあるものの、その履歴や土塊の移動速度との関係までは求められてこなかった。
本研究で対象とするのは、北海道平取町に位置するオタリマップ地すべりである。オタリマップ地すべりは風化岩すべりであり、すべり面は地上から約8 mの深さにある(北海道森林管理局、2017)。面積は3 haで、移動速度が異なる7つのブロックから構成されている。現地では航空レーザー測量が2010年および2014年には有人飛行にて(北海道開発局)、2021年からはUAVにより実施されており、各ブロックの2010から2024年までの年平均速度は、0.14から0.60 m/yearである。オタリマップ地すべりと隣接して、現在移動が止まっている地すべり地形(以下、休止地すべり)がある。対象地の一帯は1956年にカラマツが植栽されており、現在の高木層を形成している。オタリマップ地すべり内のカラマツには樹幹の傾きや倒木が多く見られ、その位置には規則性はないが、休止地すべり上のカラマツは約5 mおきに生育し、直立している。解析対象とする立木は、2024年6月に取得したUAVによる空撮画像にて、オタリマップ地すべり内で判別可能であった全てのカラマツ77本と、休止地すべり内から無作為に抽出したカラマツ20本である。これら97本については、樹幹の傾きを2024年8月から9月に現地で地上レーザー計測により求めた。また、2021年から2024年の6月にUAVで取得した画像を用い、それらのカラマツの樹冠が示すNDVIを算出した。そして、休止地すべり地におけるカラマツの平均NDVIに対する比(以下、NDVI比)を各カラマツについて求めると同時に、各ブロックのそれらのカラマツの平均NDVI比も計算した。また同様に、2021年以降の6月のSentinel-2の衛星画像(解像度:10 m)からも各ブロック及び休止地すべりにおけるNDVIを算出し、NDVI比を求めた。
結果として、2010年からの移動距離が大きいブロックほど、その上に生育するカラマツが傾く傾向が見られた。また各カラマツの傾きと2024年6月のUAVによる画像から算出したNDVI比には、負の相関がみられた。2021年から2024年の6月の各カラマツ及び、同位置にあるSentinel-2画像から求めたNDVI比はほぼ同値であり(R2 = 0.91)、ここで衛星画像より地すべりの移動履歴を推測できる可能性が示された。各ブロックにおいて、2010年から2024年までのそれぞれの移動距離, D (m)は、2024年6月の衛星画像から求めたNDVI比, sを用いてD = -46.9s + 53.2 (R2 = 0.81), また年平均移動速度, V(m/year)は V = -3.35s + 3.80と表すことが出来た。
以上から、カラマツ造林地では、衛星画像から算出したNDVIから地すべり土塊の移動速度を推定できることが示唆された。今後は、対象地域を含め他の地域でのデータの蓄積を進めることで、衛星画像から算出したNDVIと、地すべり土塊の移動履歴および速度との関係をより明らかにしていく予定である。
ここで、まず地すべり上の立木は、地すべり土塊が移動することで傾くことから、その傾きの度合いは、土塊の移動履歴を反映していると考えた。森林の高木層を形成する樹木の活性が、樹幹が傾くほど低下するのであれば、それらの個々の立木が示すNDVIの値も低下するはずである。このNDVI値が、衛星画像から算出されるNDVI値と関係があるのであれば、衛星画像から地すべり土塊の移動履歴が推定できることになる。また移動履歴が、詳細な地形記録に基づき可能な限り正確に追跡できれば、記録が残る期間における地すべり土塊の移動速度も算出できるはずである。これまで移動が見られた地すべりでは周囲と比較してNDVIが低いとする研究報告はあるものの、その履歴や土塊の移動速度との関係までは求められてこなかった。
本研究で対象とするのは、北海道平取町に位置するオタリマップ地すべりである。オタリマップ地すべりは風化岩すべりであり、すべり面は地上から約8 mの深さにある(北海道森林管理局、2017)。面積は3 haで、移動速度が異なる7つのブロックから構成されている。現地では航空レーザー測量が2010年および2014年には有人飛行にて(北海道開発局)、2021年からはUAVにより実施されており、各ブロックの2010から2024年までの年平均速度は、0.14から0.60 m/yearである。オタリマップ地すべりと隣接して、現在移動が止まっている地すべり地形(以下、休止地すべり)がある。対象地の一帯は1956年にカラマツが植栽されており、現在の高木層を形成している。オタリマップ地すべり内のカラマツには樹幹の傾きや倒木が多く見られ、その位置には規則性はないが、休止地すべり上のカラマツは約5 mおきに生育し、直立している。解析対象とする立木は、2024年6月に取得したUAVによる空撮画像にて、オタリマップ地すべり内で判別可能であった全てのカラマツ77本と、休止地すべり内から無作為に抽出したカラマツ20本である。これら97本については、樹幹の傾きを2024年8月から9月に現地で地上レーザー計測により求めた。また、2021年から2024年の6月にUAVで取得した画像を用い、それらのカラマツの樹冠が示すNDVIを算出した。そして、休止地すべり地におけるカラマツの平均NDVIに対する比(以下、NDVI比)を各カラマツについて求めると同時に、各ブロックのそれらのカラマツの平均NDVI比も計算した。また同様に、2021年以降の6月のSentinel-2の衛星画像(解像度:10 m)からも各ブロック及び休止地すべりにおけるNDVIを算出し、NDVI比を求めた。
結果として、2010年からの移動距離が大きいブロックほど、その上に生育するカラマツが傾く傾向が見られた。また各カラマツの傾きと2024年6月のUAVによる画像から算出したNDVI比には、負の相関がみられた。2021年から2024年の6月の各カラマツ及び、同位置にあるSentinel-2画像から求めたNDVI比はほぼ同値であり(R2 = 0.91)、ここで衛星画像より地すべりの移動履歴を推測できる可能性が示された。各ブロックにおいて、2010年から2024年までのそれぞれの移動距離, D (m)は、2024年6月の衛星画像から求めたNDVI比, sを用いてD = -46.9s + 53.2 (R2 = 0.81), また年平均移動速度, V(m/year)は V = -3.35s + 3.80と表すことが出来た。
以上から、カラマツ造林地では、衛星画像から算出したNDVIから地すべり土塊の移動速度を推定できることが示唆された。今後は、対象地域を含め他の地域でのデータの蓄積を進めることで、衛星画像から算出したNDVIと、地すべり土塊の移動履歴および速度との関係をより明らかにしていく予定である。
