17:15 〜 19:15
[HGM04-P09] 2024年能登半島地震に伴う最大隆起域における多段化した離水波食地形
★招待講演
キーワード:変動地形、海底活断層、海成段丘、能登半島
沿岸陸域の海岸地形から地殻変動を定量的に検討することは,陸域近傍に分布する海域活断層の過去の断層変位の復元に直結する重要な課題である。2024年能登半島地震(M7.6)は、能登半島北岸に沿って延びる海底活断層の活動によって生じたと考えられている。この地震に伴う地殻変動では、半島の北岸〜西岸が広く隆起し、特に北西岸の猿山岬付近では最大規模となる4〜5mの海岸隆起が生じた(牧田ほか 2024;Fukushima et al 2024など)。この地域では地震の発生前には、3面の低位海成段丘が記載され、完新世の断層運動によって海岸隆起が繰り返されたと考えられていた(宍倉ほか,2020)。北西岸に分布する低位段丘面間の比高は2.5m程度とされており、2024年に同地点で生じた4〜5mの海岸隆起の半分程度に過ぎない。2024年地震の隆起量は完新世に繰り返されてきた隆起量と異なるのかは,海底活断層の変位の繰り返しや,多数の海底活断層が分布する海域近傍の陸域の隆起特性を考える上で重要な課題と言えよう。筆者らは、地震後に国土地理院により撮影された空中写真の判読から、猿山岬南方約800mの海岸の一部に、2024年地震発生時までに形成されていたとみられる明瞭な波食棚を確認した。さらに、同地ではその上位にも離水波食棚が発達することが認められた。完新世に2024年地震と同程度の隆起が生じたかを検討するため、2024年9月に同地においてハンドヘルドLiDARを用いた詳細な地形計測調査を行った。
能登半島北西岸の基盤岩は下部中新統の道下層より構成され、本層は海食崖に広く露出する(尾崎,2010)。本層は礫岩主体であるが、下部には厚さ20m程の連続的な凝灰岩を挟む。本研究で確認された明瞭な波食棚は、この凝灰岩が向斜部で海面と接する位置に形成されている。波食棚とみられた平坦面は、塊状の凝灰岩中に節理面や層理面とは無関係にほぼ水平に広がり、平坦面内縁の崖にはノッチを伴うことから、確実な波食棚と考えられる。波食棚の海側は急崖となっており、地震前の中潮位下に生息していたピリヒバの白化遺骸群集が付着していた。ピリヒバの上限は標高5.3m付近に分布し、波食棚はそれより1.7m上に発達する。2024年地震以前の海面高度において、主に高波によって形成された波食棚の可能性が高い。さらに、この波食棚の上位に、いずれも塊状の凝灰岩を侵食して形成された2面の離水波食棚が認められ、それらの標高は下位から13.6m、16.3mである。上位と中位の面の比高は2.7mと小さいが、中位と下位(2024年までの波食棚)の比高は7mであり、2024年地震と同程度かそれよりもやや大きい隆起が生じた可能性がある。
2024年地震に伴う地殻変動は、更新世海成段丘(太田・平川,1979)の高度分布と概ね同様の傾向を示し、同様な地震の繰り返しが長期的な地形発達に寄与している可能性がある。猿山岬南方の深見付近には、標高220mと150mに明瞭な更新世海成段丘が分布しているものの、それらの形成時期は明らかでない。猿山岬南方で見られた上位の離水波食棚の形成時期を完新世海進の最高海面期と仮定すると、完新世と同様の隆起速度が継続した場合のMIS5eの旧汀線高度は200mを超えると予想される。今後、完新世段丘と更新世段丘を合わせて分布と年代に関する調査を行い、海底活断層の運動が長期的にどの程度地形発達に寄与したかを検討する予定である。
能登半島北西岸の基盤岩は下部中新統の道下層より構成され、本層は海食崖に広く露出する(尾崎,2010)。本層は礫岩主体であるが、下部には厚さ20m程の連続的な凝灰岩を挟む。本研究で確認された明瞭な波食棚は、この凝灰岩が向斜部で海面と接する位置に形成されている。波食棚とみられた平坦面は、塊状の凝灰岩中に節理面や層理面とは無関係にほぼ水平に広がり、平坦面内縁の崖にはノッチを伴うことから、確実な波食棚と考えられる。波食棚の海側は急崖となっており、地震前の中潮位下に生息していたピリヒバの白化遺骸群集が付着していた。ピリヒバの上限は標高5.3m付近に分布し、波食棚はそれより1.7m上に発達する。2024年地震以前の海面高度において、主に高波によって形成された波食棚の可能性が高い。さらに、この波食棚の上位に、いずれも塊状の凝灰岩を侵食して形成された2面の離水波食棚が認められ、それらの標高は下位から13.6m、16.3mである。上位と中位の面の比高は2.7mと小さいが、中位と下位(2024年までの波食棚)の比高は7mであり、2024年地震と同程度かそれよりもやや大きい隆起が生じた可能性がある。
2024年地震に伴う地殻変動は、更新世海成段丘(太田・平川,1979)の高度分布と概ね同様の傾向を示し、同様な地震の繰り返しが長期的な地形発達に寄与している可能性がある。猿山岬南方の深見付近には、標高220mと150mに明瞭な更新世海成段丘が分布しているものの、それらの形成時期は明らかでない。猿山岬南方で見られた上位の離水波食棚の形成時期を完新世海進の最高海面期と仮定すると、完新世と同様の隆起速度が継続した場合のMIS5eの旧汀線高度は200mを超えると予想される。今後、完新世段丘と更新世段丘を合わせて分布と年代に関する調査を行い、海底活断層の運動が長期的にどの程度地形発達に寄与したかを検討する予定である。
