09:45 〜 10:00
[HQR05-04] H/V単点微動測定による筑波山北西域の基盤伏在構造マッピング
キーワード:単点微動測定、H/Vスペクトル比、表層地質、関東平野、筑波山
平野地下浅部に伏在すると推定された基盤の構造をマッピングすることを目的として稠密な単点微動測定を実施した.対象地域は筑波山の北西山麓から桜川低地を経て真壁台地に至る東西約6 km,南北約6 kmの領域である.この領域内の約300地点で微動を測定し水平動成分と鉛直動成分の周波数スペクトル比(H/Vスペクトル比)を求めた.また補足的に極小微動アレイ探査を実施した.さらに公開されているボーリング柱状図データを参照し,H/Vスペクトル比から表層のS波速度構造モデルを作成した.次にニューラルネットワークを用いた機械学習手法を採用し全地点のS波速度構造モデルを求めた.解析の結果,筑波山北西斜面に露頭する基盤岩体が桜川を越えて北西方向にも伏在しており,その一部が地表に露頭していることを説明可能な3次元浅部基盤構造モデルを構築することができた.
筑波山を構成する深成岩類は北西部では山麓縁辺部にまで露頭し,その延長は山体の西縁を南流する桜川の河床部にまで達していることが知られている.一方桜川の約2 km北西に位置する筑西市宮山地区には花こう岩の孤立岩体が露頭している.この岩体は長軸(NNW-SSE)方向約80 m,短軸約50 m,最大比高約20 mの岩株状の産状を示すが,全域が遺跡指定されているため岩石採取を伴う地質学的検討が行なわれてこなかった.
これに対し単点微動測定は代表的な物理探査手法の一つであり,遺跡指定地においても非破壊かつ短時間で地盤の動的特性を推定することが可能である.この微動測定には応用地質社製の3成分独立型地震波形測定システムAtomを使用した.同システムは3成分速度型地震計(固有周波数2 Hz)と3チャンネルのGPS内蔵データロガー(McSEIS-AT)より構成される.サンプリング間隔は4 msecとし,各点で15-30分間程度の微動を測定した.これまでの測定結果から,使用した速度型地震計は0.1-50 Hzの周波数帯域において成分間の出力特性がフラットであることが検証済みである.
現地測定は2023年11月~2025年2月にかけて実施した.この間に対象サイト内314地点において順次微動データを取得した.各測点での微動測定にあたっては,舗装上あるいは未舗装農道路肩部等に上記の3成分地震計を設置し,連続16分以上を目安としてデータを取得した.移動・設置・測定・撤収を含めた各測点のサイクルタイムは25分程度であった.
測定データをオンサイトあるいは室内でWi-Fi接続でPCにダウンロードし,Geometrics社が提供する専用処理解析ソフトウエアシステムSeisImagerを用いてH/Vスペクトルを求めた.また解析結果は京都大学防災研究所が運営する公開型データベース(https://SeisImager.com)にアップロードしており,マップ上表記された個別サイトのH/Vスペクトルをポップアップ表示することだけでなく,誰もが個別地点データをダウンロードすることも可能である.
H/Vスペクトル比のピーク周波数を0.1-60 Hz間で求め,それを地図上にプロットした(附図).同図は測定地点をHVSRピーク周波数によって色分け区分しているが,宮山周辺に高周波数ピークを示す点が孤立集中していることがわかる.また筑波山中腹の薬王院から尾根に沿って高周波数ピークを示す地点が桜川の西側の押尾集落付近まで伸長している.桜川市桃山地区周辺においても,尾根の北西延長方向に高周波数ピーク呈示地点が分布するが桜川の右岸側までは伸長しない.一方筑西市宮山地区の孤立岩体は周辺の浅所に伏在する基盤岩体の一部が露頭したものであるという3次元的な基盤構造を推定することが可能である.なお肉眼観察では宮山岩体は粗粒の黒雲母花こう岩質であり,酒寄・椎尾地区に露頭する細粒-中粒の片状黒雲母花こう岩とは岩相を異にする.
筑波山を構成する深成岩類は北西部では山麓縁辺部にまで露頭し,その延長は山体の西縁を南流する桜川の河床部にまで達していることが知られている.一方桜川の約2 km北西に位置する筑西市宮山地区には花こう岩の孤立岩体が露頭している.この岩体は長軸(NNW-SSE)方向約80 m,短軸約50 m,最大比高約20 mの岩株状の産状を示すが,全域が遺跡指定されているため岩石採取を伴う地質学的検討が行なわれてこなかった.
これに対し単点微動測定は代表的な物理探査手法の一つであり,遺跡指定地においても非破壊かつ短時間で地盤の動的特性を推定することが可能である.この微動測定には応用地質社製の3成分独立型地震波形測定システムAtomを使用した.同システムは3成分速度型地震計(固有周波数2 Hz)と3チャンネルのGPS内蔵データロガー(McSEIS-AT)より構成される.サンプリング間隔は4 msecとし,各点で15-30分間程度の微動を測定した.これまでの測定結果から,使用した速度型地震計は0.1-50 Hzの周波数帯域において成分間の出力特性がフラットであることが検証済みである.
現地測定は2023年11月~2025年2月にかけて実施した.この間に対象サイト内314地点において順次微動データを取得した.各測点での微動測定にあたっては,舗装上あるいは未舗装農道路肩部等に上記の3成分地震計を設置し,連続16分以上を目安としてデータを取得した.移動・設置・測定・撤収を含めた各測点のサイクルタイムは25分程度であった.
測定データをオンサイトあるいは室内でWi-Fi接続でPCにダウンロードし,Geometrics社が提供する専用処理解析ソフトウエアシステムSeisImagerを用いてH/Vスペクトルを求めた.また解析結果は京都大学防災研究所が運営する公開型データベース(https://SeisImager.com)にアップロードしており,マップ上表記された個別サイトのH/Vスペクトルをポップアップ表示することだけでなく,誰もが個別地点データをダウンロードすることも可能である.
H/Vスペクトル比のピーク周波数を0.1-60 Hz間で求め,それを地図上にプロットした(附図).同図は測定地点をHVSRピーク周波数によって色分け区分しているが,宮山周辺に高周波数ピークを示す点が孤立集中していることがわかる.また筑波山中腹の薬王院から尾根に沿って高周波数ピークを示す地点が桜川の西側の押尾集落付近まで伸長している.桜川市桃山地区周辺においても,尾根の北西延長方向に高周波数ピーク呈示地点が分布するが桜川の右岸側までは伸長しない.一方筑西市宮山地区の孤立岩体は周辺の浅所に伏在する基盤岩体の一部が露頭したものであるという3次元的な基盤構造を推定することが可能である.なお肉眼観察では宮山岩体は粗粒の黒雲母花こう岩質であり,酒寄・椎尾地区に露頭する細粒-中粒の片状黒雲母花こう岩とは岩相を異にする.