日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR05] 第四紀:ヒトと環境系の時系列ダイナミクス

2025年5月29日(木) 10:45 〜 12:15 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:白井 正明(東京都立大学)、横山 祐典(東京大学 大気海洋研究所 )、吾妻 崇(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、里口 保文(滋賀県立琵琶湖博物館)、座長:石輪 健樹(国立極地研究所)、西澤 文勝(神奈川県立生命の星・地球博物館)

11:15 〜 11:30

[HQR05-09] 熱海市伊豆山地区土砂災害の盛土と土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫

*北村 晃寿1,2 (1.静岡大学理学部地球科学教室、2.静岡大学防災総合センター)

キーワード:熱海市伊豆山地区土砂災害、盛土、土石流堆積物、軟質泥岩礫

2021年7月3日に熱海市伊豆山地区の逢初川源頭部にあった盛土が崩壊し,土石流となり,死者28人,全・半壊家屋64棟の被害を出した.この土砂災害に関して,著者と共同研究者は地球科学的調査を行い,以下のことを明らかにした.
①崩壊した黒色盛土の大部分は1950年代から2011年3月初旬までの堆積物を含み,古生代末期―中生代の放散虫化石を含むチャート岩片,鮮新統最上部―下部更新統の海成層由来の軟質泥岩礫,1950年以後に生息していた淡水産二枚貝シジミ類の貝殻,現世・中期完新世の海生貝類の貝殻などを含む.
②黒色の盛土に含まれるチャート岩片は多摩川河口から供給された可能性がある.
本研究では,盛土と土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫の密度などの物性について検討するとともに,礫から発見された二枚貝化石の種同定を行った.加えて,地山由来の火山岩礫の密度を測定した.その結果,次のことが分かった.
①軟質泥岩礫の乾燥・湿潤密度は約1.4~1.9g/cm3,1.7~2.2g/cm3,含水率は20.6~45.2%である.一方,火山岩礫の乾燥密度は2.1~3.2g/cm3である.よって,軟質泥岩礫の乾燥密度は火山岩礫のそれより小さく,湿潤密度は一部重なるものの火山岩礫の乾燥密度より小さい.
②土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫から見つかった二枚貝化石はPortlandia sp.に同定される.同属の産出報告は,大磯丘陵の海成鮮新・更新統からはなく,相模原市陽原と愛川町六ツ倉に露出する大塚層から報告されている.したがって,軟質泥岩礫の採集地としては相模原市に分布する大塚層の可能性が高い.