17:15 〜 19:15
[HQR05-P09] グラフ理論に基づく対比モデルの効率的な構築・管理手法の提案
キーワード:対比モデル、年代モデル、深度管理、アプリケーション
堆積物に記録された時系列情報を精密に読み解くには、試料の連続性が重要である。しかし、技術的な制約から、掘削によって必要な層準を一度に採取することは難しく、実際の堆積物試料の多くは複数のセクションから構成される。このような複数回の掘削によって採取された試料は、セクション間に生じた間隙のために、分析に十分な連続性を確保できないことも多い。
近年では、複数孔から試料を採取し、それらをつなぎ合わせることで、連続的な堆積物試料を再構築する手法も採用されている(水月湖プロジェクトやIODPなど)。複数の掘削孔から採取されたこうした堆積物は、それぞれ独立した掘削深度を持つ。これらの試料をつなぎ合わせて、一つの連続試料として扱うためには、深度を統一した精密な“対比モデル“を構築する必要がある。対比モデルの定義には様々な物がある。ここでは、福井県水月湖の年縞堆積物を例に、Nakagawa et al. (2012, QSR)の定義に従い、議論する。
福井県水月湖では、1993年以降、複数回にわたり大規模な掘削が行われてきた。特に2006年以降は複数孔からの掘削が行われ、採取した各セクションを精密に対比することで、すべてのセクションを統一された深度で表現可能な対比モデルの構築が行われてきた。これまで、堆積物試料の深度や年代は、事前に計算された一部の深度情報を含む対比モデルに基づき、対比モデルの管理アプリ”Level Finder” (http://polsystems.rits-palaeo.com/)を用いて、半動的に計算されてきた。しかし、一部の深度は事前に手動で計算が必要など、対比モデルの構築や表現に設計上の制限があった。そこで本研究では、対比モデルの効率的な構築・管理を実現するために、動的構築に適したグラフ理論に基づくモデル化手法を提案する。また、本手法を検証するために、対比モデルの構築と管理を同時に行うことができる実証アプリ“Level Compiler” (https://github.com/keitaroyamada/Level-Compiler)を新規に設計・構築したので紹介する。
対比モデルは、各セクションに含まれる葉理同士の接続によって構築されるため、非常に複雑なネットワーク構造を持っている。そこで本研究では、この構造を単純化するために、それぞれの葉理をノードとして、葉理同士の深度方向及び水平方向のつながりをエッジとみなすことで、深度方向の有向グラフとしてモデル化することに成功した。本モデルはエッジの長さを調整することで、侵食や堆積イベントを表現することも可能で、様々な堆積環境にも応用できると考えられる。また、本モデルは本質的に有向グラフであることから、既存の探査アルゴリズムを応用可能である。本研究では、対比モデルに対して深さ優先探査アルゴリズムを適用することで、動的な深度計算を可能とし、効率的なコアモデルの構築や深度・年代計算を実現した。
近年、分析技術の発達に伴い、様々な分析が行われるようになってきた。これに伴い、試料確保を目的としたパラレルコアの採用など、試料間の対比とその深度・年代の管理がこれまで以上に重要になりつつある。本研究で提案するモデル化手法と、それを実装したアプリ”Level Compiler”は、このような堆積物試料の精密な深度管理とその可視化を実現する有効な手段の一つと考えている。特に、直感的な操作が可能な”Level Compiler”は、第四紀堆積物をはじめとした様々な試料の深度や年代管理の効率化に寄与できるのではないかと考えている。
近年では、複数孔から試料を採取し、それらをつなぎ合わせることで、連続的な堆積物試料を再構築する手法も採用されている(水月湖プロジェクトやIODPなど)。複数の掘削孔から採取されたこうした堆積物は、それぞれ独立した掘削深度を持つ。これらの試料をつなぎ合わせて、一つの連続試料として扱うためには、深度を統一した精密な“対比モデル“を構築する必要がある。対比モデルの定義には様々な物がある。ここでは、福井県水月湖の年縞堆積物を例に、Nakagawa et al. (2012, QSR)の定義に従い、議論する。
福井県水月湖では、1993年以降、複数回にわたり大規模な掘削が行われてきた。特に2006年以降は複数孔からの掘削が行われ、採取した各セクションを精密に対比することで、すべてのセクションを統一された深度で表現可能な対比モデルの構築が行われてきた。これまで、堆積物試料の深度や年代は、事前に計算された一部の深度情報を含む対比モデルに基づき、対比モデルの管理アプリ”Level Finder” (http://polsystems.rits-palaeo.com/)を用いて、半動的に計算されてきた。しかし、一部の深度は事前に手動で計算が必要など、対比モデルの構築や表現に設計上の制限があった。そこで本研究では、対比モデルの効率的な構築・管理を実現するために、動的構築に適したグラフ理論に基づくモデル化手法を提案する。また、本手法を検証するために、対比モデルの構築と管理を同時に行うことができる実証アプリ“Level Compiler” (https://github.com/keitaroyamada/Level-Compiler)を新規に設計・構築したので紹介する。
対比モデルは、各セクションに含まれる葉理同士の接続によって構築されるため、非常に複雑なネットワーク構造を持っている。そこで本研究では、この構造を単純化するために、それぞれの葉理をノードとして、葉理同士の深度方向及び水平方向のつながりをエッジとみなすことで、深度方向の有向グラフとしてモデル化することに成功した。本モデルはエッジの長さを調整することで、侵食や堆積イベントを表現することも可能で、様々な堆積環境にも応用できると考えられる。また、本モデルは本質的に有向グラフであることから、既存の探査アルゴリズムを応用可能である。本研究では、対比モデルに対して深さ優先探査アルゴリズムを適用することで、動的な深度計算を可能とし、効率的なコアモデルの構築や深度・年代計算を実現した。
近年、分析技術の発達に伴い、様々な分析が行われるようになってきた。これに伴い、試料確保を目的としたパラレルコアの採用など、試料間の対比とその深度・年代の管理がこれまで以上に重要になりつつある。本研究で提案するモデル化手法と、それを実装したアプリ”Level Compiler”は、このような堆積物試料の精密な深度管理とその可視化を実現する有効な手段の一つと考えている。特に、直感的な操作が可能な”Level Compiler”は、第四紀堆積物をはじめとした様々な試料の深度や年代管理の効率化に寄与できるのではないかと考えている。