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[HQR05-P16] カマン・カレホユック遺跡及び周辺における微粒炭量の変化と人間活動との関係

キーワード:微粒炭、カマン・カレホユック遺跡、人間活動
微粒炭は,植物の燃焼によって生成される微細な炭化植物片の総称で,大きさによって125㎛〜1㎜のMacro-charcoal,125㎛未満のMicro-charcoalに分けられる.微粒炭は,主に火災によって生成されるため,柱状試料中の微粒炭の個数を連続的に分析すると,その長期トレンドやピークから,過去の長期的な火災頻度の増減や短期的な火災イベントの有無などを復元することが可能である(Whitlock and Larsen, 2001など).特に本研究で用いるMacro-charcoalは,風による長距離運搬がされにくく,10 km以内の火災イベントを捉えることができる(Ohlson and Tryterud, 2000など).トルコ・中央アナトリア地方に位置するカマン・カレホユック遺跡には,紀元前3000年以降の文化層が堆積している.既に青銅器時代以降の編年が構築され,人間生活の変遷が捉えられていることに加え,遺跡内部の堆積物には大火災層と呼ばれるイベント層が4層含まれている(Omura, 2011).本研究では,同遺跡内部及び周辺におけるMacro-charcoalの量と人間生活との関係を考察することを目的とし,遺跡周辺に分布する湿地堆積物中の微粒炭量の時代変化を復元した.
本研究で用いたコア試料は,2023年8月16日にカマン・カレホユック遺跡から北に約100 mのKL23-01地点Hole Bから,パーカッションピストンコアラー(PPC)及びパーカッションライナーコアラー(PCL)によって採取されたコア長512 cmのコアである.PPCは連続的に試料を採取できるのに対し,PCLは1 mずつ採取するため再堆積等が発生する.試料は,塊状の灰〜黒色砕屑物からなり,泥を含む極細粒砂~粗粒砂で構成される.堆積物中には黒色層が存在し,礫も散在された.また炭や土器片と思われる人工物なども産出した.このコアの221層準から1 cm3の堆積物を採取し,篩分け法により湿潤試料を開口径250 µmと125 µmのふるいで分け,250 µm以上と250-125 µmの粒子に含まれる微粒炭を全て数えた.それぞれの個数をカウントした.
コア中の微粒炭量は0〜1262個/cm³の値を示し,全体としては60個程度の値が多くみられた.長期的には,深度495 cm以深と280 cm以浅ではおおむね20個以下と非常に低い値を示すのに対し,495–280 cmでは増減を繰り返しながら多くの層準で50個以上の産出が認められた.このコア深度495–280 cmの微粒炭量の値は,砂及び砂質泥の層準で30–50個程度のやや低い値になり,泥では50個以上の値が見られることから,砂層では水流により運搬された,もしくは,希釈され値が低くなっていると考えられる.微粒炭量の含有量が高い深度495–280 cmの区間は,およそ前期青銅器時代〜鉄器時代初期に相当する.遺跡内の前期青銅器時代の建築層からは炉跡が発見されており(Wrigh et al., 2017),当時すでに遺跡内で植物の燃焼が行われていたと考えられる.深度495〜280 cmに認められる微粒炭の増加は,青銅器時代の人が遺跡もしくは周辺湿地において植物を燃焼させた生活の影響を反映している可能性がある. また,深度495 cm以深は明褐色の粘土が堆積し,微粒炭量は少ないが、暗褐色の堆積物から明瞭な境界を伴って移り変わるとともにその量は増加する.
微粒炭量の長期的な傾向に対して,層厚1–3 cm程度で値が大きく突出する層準が少なくとも6層準認められた.これらのうち,250個以上の値は,深度454–453,443–439,433–428,426–424,393–392,302–301㎝のいずれも泥層で見られた.これらは前後の微粒炭量より一時的に極端に大きな値を示すことから,微粒炭量が増加するイベントが生じた可能性がある.最も上位の302 cmでは,全個数に対する250 µm以上の個数の占める割合が他のイベント層に比べて高く,相対的に大きな破片が保存される堆積過程を経たと推察される.6つのイベントはいずれも中〜後期青銅器時代及び前期鉄器時代に認められる.遺跡内では,前期青銅器〜鉄器時代の大火災層が4層認められており,コアの堆積年代が確定次第,岩相や堆積構造も含めて火災層との関連を議論する.
本研究で用いたコア試料は,2023年8月16日にカマン・カレホユック遺跡から北に約100 mのKL23-01地点Hole Bから,パーカッションピストンコアラー(PPC)及びパーカッションライナーコアラー(PCL)によって採取されたコア長512 cmのコアである.PPCは連続的に試料を採取できるのに対し,PCLは1 mずつ採取するため再堆積等が発生する.試料は,塊状の灰〜黒色砕屑物からなり,泥を含む極細粒砂~粗粒砂で構成される.堆積物中には黒色層が存在し,礫も散在された.また炭や土器片と思われる人工物なども産出した.このコアの221層準から1 cm3の堆積物を採取し,篩分け法により湿潤試料を開口径250 µmと125 µmのふるいで分け,250 µm以上と250-125 µmの粒子に含まれる微粒炭を全て数えた.それぞれの個数をカウントした.
コア中の微粒炭量は0〜1262個/cm³の値を示し,全体としては60個程度の値が多くみられた.長期的には,深度495 cm以深と280 cm以浅ではおおむね20個以下と非常に低い値を示すのに対し,495–280 cmでは増減を繰り返しながら多くの層準で50個以上の産出が認められた.このコア深度495–280 cmの微粒炭量の値は,砂及び砂質泥の層準で30–50個程度のやや低い値になり,泥では50個以上の値が見られることから,砂層では水流により運搬された,もしくは,希釈され値が低くなっていると考えられる.微粒炭量の含有量が高い深度495–280 cmの区間は,およそ前期青銅器時代〜鉄器時代初期に相当する.遺跡内の前期青銅器時代の建築層からは炉跡が発見されており(Wrigh et al., 2017),当時すでに遺跡内で植物の燃焼が行われていたと考えられる.深度495〜280 cmに認められる微粒炭の増加は,青銅器時代の人が遺跡もしくは周辺湿地において植物を燃焼させた生活の影響を反映している可能性がある. また,深度495 cm以深は明褐色の粘土が堆積し,微粒炭量は少ないが、暗褐色の堆積物から明瞭な境界を伴って移り変わるとともにその量は増加する.
微粒炭量の長期的な傾向に対して,層厚1–3 cm程度で値が大きく突出する層準が少なくとも6層準認められた.これらのうち,250個以上の値は,深度454–453,443–439,433–428,426–424,393–392,302–301㎝のいずれも泥層で見られた.これらは前後の微粒炭量より一時的に極端に大きな値を示すことから,微粒炭量が増加するイベントが生じた可能性がある.最も上位の302 cmでは,全個数に対する250 µm以上の個数の占める割合が他のイベント層に比べて高く,相対的に大きな破片が保存される堆積過程を経たと推察される.6つのイベントはいずれも中〜後期青銅器時代及び前期鉄器時代に認められる.遺跡内では,前期青銅器〜鉄器時代の大火災層が4層認められており,コアの堆積年代が確定次第,岩相や堆積構造も含めて火災層との関連を議論する.