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[HRE13-P03] 石灰岩洞窟における崩壊要因の検討:秋吉台,平尾台,阿哲台の例
キーワード:石灰岩洞窟、断層、崩壊、秋吉台、平尾台、阿哲台
【はじめに】秋吉石灰岩は海山上に形成された石灰岩であり、大陸起源の砕屑粒子の供給がなく、大陸棚で形成された石灰岩に比べ高純度の石灰岩である(脇田, 2020)。また、秋吉石灰岩は著しく緻密かつ塊状無層理の石灰岩層であるため、カルスト景観の発達には石灰岩中に発達した断裂系が影響するとされる(藤井ほか, 1969)。石灰岩洞窟の拡大にも石灰岩の崩壊が起因しているとされており、このような崩壊には断層が関与していることが指摘されている(太田ほか, 1980)。さらに乾・辻(2023)1では、特に連続性が良く破砕幅の大きい断層が崩壊に寄与するとした。しかしながら、このような不連続面を持たない塊状の石灰岩においては力学的計算上崩壊が発生しにくいことも分かってきた(乾・辻;2023)2。このように均質な岩盤において崩壊の発生要因を検討・制約することで、非石灰岩の崩壊要因の検討に寄与できると考えた。辻ほか(2024)、乾ほか(2023)では、秋吉台の石灰岩洞窟を中心に洞内踏査を行い、どのような断層が崩壊に関与するのか、断層の特徴や洞窟の幅、断層と空洞との関係などについて検討した。本研究ではこれらの定性的な仮説に基づき、秋吉台(景清洞、大正洞)、平尾台(牡鹿洞、千仏鍾乳洞)、阿哲台(満奇洞、井倉洞)において崩壊箇所の断層、堆積物の再記載、測量データの定量的な分析を行った。本論では洞窟学的な視点を交え、石灰岩の崩壊に関与する要因を定量的・定性的に検討することを目的とする。
【結果】広い洞窟では、崩壊箇所が多く、狭い洞窟では崩壊箇所が比較的少なく落石・剥離箇所が多い傾向にあった。そのため、本研究では対象の洞窟を、洞幅の広い景清洞、大正洞、満奇洞(以降広い洞窟)と、洞幅の狭い牡鹿洞、千仏鍾乳洞、井倉洞(以降狭い洞窟)に区分した。
広い洞窟で観察される断層の特徴として、複数本の断層が交差する、破砕帯を伴う低角断層が発達する、複数の断層が並列に発達する、天井部に低角な断層が発達するという特徴が観察された。また、崩壊箇所の特徴として、天井部には崩落跡が観察され、洞床には崩落礫堆が形成されていた。
次に狭い洞窟で観察される断層の特徴として、破砕帯を伴う断層が発達する、高角な2本の断層が交差するという特徴が観察された。また、崩壊箇所の特徴として、小規模な落石・剥離が観察され、洞床には崩落礫が点在していた。
堆積産状に関して、広い洞窟の崩壊箇所で崩落礫の上下に河川性の堆積物が観察されたほか、洞壁には溶食痕(ノッチ)があるが、崩落礫には溶食痕(スカラップ)が見られないという産状も観察された。これより、地下水位が低下した後に崩壊が発生したと考えられる。
また、洞窟の大きさ、礫径、断層の密集度などの定量データを用いてグラフを作成し、崩壊箇所と非崩壊箇所での比較、上記の定量データ同士の相関の検討を行った。その結果、広い洞窟のほとんどで、洞幅が大きく断層が密集する箇所では崩壊が多発している傾向が見られた。また、断層の連続性が良いことも崩壊箇所に多く見られる特徴であった。
【考察】定性データおよび定量データから推察される崩壊に関与する要因を以下に列挙する。
(1):断層が存在すること
1-a:破砕幅を伴う断層であること
1-b:複数本の断層が並走/交差すること(断層の密集度)
1-c:連続性が良い断層であること
1-d:天井部に低角断層が発達すること(断層の傾斜角や空間との関)
(2): 一定の空間が存在すること
2-a:洞幅が大きいこと
2-b:堆積物が排出されている
2-c:地下水が排出されている
(1)について、全ての崩壊箇所に断層が関与していることが明らかになった。2-b、2-cについては、地下水位の低下、堆積物の排出後に崩壊が発生したと解釈される箇所が多かったことから、重要な要因として挙げられる。これらの要因が組み合わさることにより、崩壊に至ると考えられる。
【引用文献】乾他(2023),日本洞窟学会第48回大会講演要旨集,10.乾・辻(2023)1,日本地質学会西日本支部第173例回講演要旨,23.乾・辻(2023)2,日本応用地質学会中国四国支部令和5年度研究発表会発表論文集47-52.太田他(1980),河野通弘編,秋吉台の鍾乳洞-石灰洞の科学-,帰水会,9-24,90-116,117-133.小島康司(1989),資源・素材学会誌,105, 919-923.辻他(2024),石灰石,448,26-37.脇田浩二(2020),ペドロジスト,64,25-27.
【結果】広い洞窟では、崩壊箇所が多く、狭い洞窟では崩壊箇所が比較的少なく落石・剥離箇所が多い傾向にあった。そのため、本研究では対象の洞窟を、洞幅の広い景清洞、大正洞、満奇洞(以降広い洞窟)と、洞幅の狭い牡鹿洞、千仏鍾乳洞、井倉洞(以降狭い洞窟)に区分した。
広い洞窟で観察される断層の特徴として、複数本の断層が交差する、破砕帯を伴う低角断層が発達する、複数の断層が並列に発達する、天井部に低角な断層が発達するという特徴が観察された。また、崩壊箇所の特徴として、天井部には崩落跡が観察され、洞床には崩落礫堆が形成されていた。
次に狭い洞窟で観察される断層の特徴として、破砕帯を伴う断層が発達する、高角な2本の断層が交差するという特徴が観察された。また、崩壊箇所の特徴として、小規模な落石・剥離が観察され、洞床には崩落礫が点在していた。
堆積産状に関して、広い洞窟の崩壊箇所で崩落礫の上下に河川性の堆積物が観察されたほか、洞壁には溶食痕(ノッチ)があるが、崩落礫には溶食痕(スカラップ)が見られないという産状も観察された。これより、地下水位が低下した後に崩壊が発生したと考えられる。
また、洞窟の大きさ、礫径、断層の密集度などの定量データを用いてグラフを作成し、崩壊箇所と非崩壊箇所での比較、上記の定量データ同士の相関の検討を行った。その結果、広い洞窟のほとんどで、洞幅が大きく断層が密集する箇所では崩壊が多発している傾向が見られた。また、断層の連続性が良いことも崩壊箇所に多く見られる特徴であった。
【考察】定性データおよび定量データから推察される崩壊に関与する要因を以下に列挙する。
(1):断層が存在すること
1-a:破砕幅を伴う断層であること
1-b:複数本の断層が並走/交差すること(断層の密集度)
1-c:連続性が良い断層であること
1-d:天井部に低角断層が発達すること(断層の傾斜角や空間との関)
(2): 一定の空間が存在すること
2-a:洞幅が大きいこと
2-b:堆積物が排出されている
2-c:地下水が排出されている
(1)について、全ての崩壊箇所に断層が関与していることが明らかになった。2-b、2-cについては、地下水位の低下、堆積物の排出後に崩壊が発生したと解釈される箇所が多かったことから、重要な要因として挙げられる。これらの要因が組み合わさることにより、崩壊に至ると考えられる。
【引用文献】乾他(2023),日本洞窟学会第48回大会講演要旨集,10.乾・辻(2023)1,日本地質学会西日本支部第173例回講演要旨,23.乾・辻(2023)2,日本応用地質学会中国四国支部令和5年度研究発表会発表論文集47-52.太田他(1980),河野通弘編,秋吉台の鍾乳洞-石灰洞の科学-,帰水会,9-24,90-116,117-133.小島康司(1989),資源・素材学会誌,105, 919-923.辻他(2024),石灰石,448,26-37.脇田浩二(2020),ペドロジスト,64,25-27.