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[HSC06-03] 安山岩‐CO2‐水相互作用における炭酸塩沈殿の実験的制約条件

キーワード:CO2鉱物化、CCS、安山岩-CO2-水相互作用、バッチ試験
気候変動対策の一環である CCS(二酸化炭素回収・貯留)における新たなCO2貯留法として、 岩石層に圧入したCO2を炭酸塩鉱物として貯留するCO2鉱物化が提案されている。火山岩の一種である安山岩はCO2の貯留層として期待されているが、安山岩を用いたCO2鉱物化を実験データに基づき議論した研究は未だに行われておらず、CO2鉱物化の素材としての安山岩の有用性は未だに不明である。そこで、本研究では岩石試料を用いた攪拌型バッチ試験を行い、形成した鉱物の組織や岩石中に固着したCO2量を定量した。
本研究では、岩石試料として新潟県の長岡地域で採取された2種類の安山岩試料(Andesite_N1、Andesite_N2)と、宮城県の蔵王地域で採取された安山岩試料(Andesite_Z)と、アイスランドで採取された玄武岩試料(Basalt)を用意した。Andesite_N1とAndesite_N2には、天然の環境で形成した方解石がわずかに含まれていた。一方で、Andesite_Zにはかんらん石が含まれていた。粉末状の岩石試料(2.0g)とmilli-Q水(50mL)、ガス状のCO2を用いて、攪拌型バッチ試験を実施した。実験中の圧力は20 MPa、温度は150℃及び200℃とし、10日間にわたる実験を行った。実験後の溶液試料と岩石試料に対し、ICP-OES、EPMA、TG-MS、TPD-MSによる分析を行った。
ICP-OESによる溶液分析の結果、安山岩試料(Andesite_Z、Andesite_N1、Andesite_N2)を用いた200℃での実験後の溶液中には、同試料を用いた150℃での実験後の溶液に比べ、Ca2+とMg2+の濃度が高かった。一方で、玄武岩試料(Basalt)を用いた実験後の溶液では、200℃の実験後の溶液に含まれているCa2+とMg2+の濃度が150℃での実験に比べ、低かった。この違いは、母岩の溶解および炭酸塩鉱物の形成速度の差によるものと考えられる。
EPMAを用いた岩石試料の分析の結果、岩石-CO2-水の相互反応により形成したと考えられる、炭酸塩鉱物と粘土鉱物(スメクタイト)の存在が確認された。炭酸塩鉱物は、一次鉱物の表面に付着する形で析出し、明瞭な結晶形を示した。一方、粘土鉱物は、一次鉱物の周囲を取り囲むように析出し、細い線状の形態を示した。各試料内の炭酸塩鉱物にはその化学組成に違いがあり、安山岩試料中に含まれていた炭酸塩鉱物はCaとMgの割合が高く(Ca0.57-0.95Mg0.04-0.42Fe0.00-0.11:カルサイト-ドロマイト)、玄武岩試料中に含まれていた炭酸塩鉱物はMgとFeの割合が高かった(Ca0.15-0.27Mg0.39-0.48Fe0.28-0.45:マグネサイト)。組成の違いは、母岩の鉱物組成や溶解特性に起因するものと考えられる。
TG-MS分析の結果では、どの試料においても300~900℃の範囲にかけて質量減少が見られた。また、全ての試料において、200℃で行った実験試料の質量減少量は、同試料を用いた150℃での実験の質量減少量に比べ、1.4~2.4倍多くなった。さらに、TPD-MSを用いて各試料に固着したCO2量を定量した。その結果、Andesite_N1を用いた200℃での実験で固着したCO2量は0.38 mmol/gであり、Basaltを用いた150℃での実験での0.45 mmol/gと同程度であることが確認された。TG-MS分析の結果は、高温であるほど一次鉱物の溶解が促進され、それに伴い二次鉱物の沈殿が進行することを示しており、岩石-CO₂-水の相互反応における鉱物の溶解・沈殿プロセスが温度に依存する可能性を示唆している。また、TPD-MSの結果は、安山岩においても適切な条件下ではCO2鉱物化が進行し、玄武岩と同等の量のCO2を貯留するポテンシャルがあることを示唆している。
本研究の結果から、安山岩を用いたCO₂鉱物化は、適切な温度条件下では玄武岩と同程度に進行する可能性があることが示された。これは、CO₂鉱物化の素材として、安山岩の活用を検討する価値があることを示唆している。今後は、地球化学モデリングの活用や母岩の鉱物組成の詳細な解析を通じて、炭酸塩鉱物の形成タイムスケールや化学組成の違いを明らかにしていく予定である。
本研究では、岩石試料として新潟県の長岡地域で採取された2種類の安山岩試料(Andesite_N1、Andesite_N2)と、宮城県の蔵王地域で採取された安山岩試料(Andesite_Z)と、アイスランドで採取された玄武岩試料(Basalt)を用意した。Andesite_N1とAndesite_N2には、天然の環境で形成した方解石がわずかに含まれていた。一方で、Andesite_Zにはかんらん石が含まれていた。粉末状の岩石試料(2.0g)とmilli-Q水(50mL)、ガス状のCO2を用いて、攪拌型バッチ試験を実施した。実験中の圧力は20 MPa、温度は150℃及び200℃とし、10日間にわたる実験を行った。実験後の溶液試料と岩石試料に対し、ICP-OES、EPMA、TG-MS、TPD-MSによる分析を行った。
ICP-OESによる溶液分析の結果、安山岩試料(Andesite_Z、Andesite_N1、Andesite_N2)を用いた200℃での実験後の溶液中には、同試料を用いた150℃での実験後の溶液に比べ、Ca2+とMg2+の濃度が高かった。一方で、玄武岩試料(Basalt)を用いた実験後の溶液では、200℃の実験後の溶液に含まれているCa2+とMg2+の濃度が150℃での実験に比べ、低かった。この違いは、母岩の溶解および炭酸塩鉱物の形成速度の差によるものと考えられる。
EPMAを用いた岩石試料の分析の結果、岩石-CO2-水の相互反応により形成したと考えられる、炭酸塩鉱物と粘土鉱物(スメクタイト)の存在が確認された。炭酸塩鉱物は、一次鉱物の表面に付着する形で析出し、明瞭な結晶形を示した。一方、粘土鉱物は、一次鉱物の周囲を取り囲むように析出し、細い線状の形態を示した。各試料内の炭酸塩鉱物にはその化学組成に違いがあり、安山岩試料中に含まれていた炭酸塩鉱物はCaとMgの割合が高く(Ca0.57-0.95Mg0.04-0.42Fe0.00-0.11:カルサイト-ドロマイト)、玄武岩試料中に含まれていた炭酸塩鉱物はMgとFeの割合が高かった(Ca0.15-0.27Mg0.39-0.48Fe0.28-0.45:マグネサイト)。組成の違いは、母岩の鉱物組成や溶解特性に起因するものと考えられる。
TG-MS分析の結果では、どの試料においても300~900℃の範囲にかけて質量減少が見られた。また、全ての試料において、200℃で行った実験試料の質量減少量は、同試料を用いた150℃での実験の質量減少量に比べ、1.4~2.4倍多くなった。さらに、TPD-MSを用いて各試料に固着したCO2量を定量した。その結果、Andesite_N1を用いた200℃での実験で固着したCO2量は0.38 mmol/gであり、Basaltを用いた150℃での実験での0.45 mmol/gと同程度であることが確認された。TG-MS分析の結果は、高温であるほど一次鉱物の溶解が促進され、それに伴い二次鉱物の沈殿が進行することを示しており、岩石-CO₂-水の相互反応における鉱物の溶解・沈殿プロセスが温度に依存する可能性を示唆している。また、TPD-MSの結果は、安山岩においても適切な条件下ではCO2鉱物化が進行し、玄武岩と同等の量のCO2を貯留するポテンシャルがあることを示唆している。
本研究の結果から、安山岩を用いたCO₂鉱物化は、適切な温度条件下では玄武岩と同程度に進行する可能性があることが示された。これは、CO₂鉱物化の素材として、安山岩の活用を検討する価値があることを示唆している。今後は、地球化学モデリングの活用や母岩の鉱物組成の詳細な解析を通じて、炭酸塩鉱物の形成タイムスケールや化学組成の違いを明らかにしていく予定である。