17:15 〜 19:15
[HSC06-P01] 地球表層環境において溶存マグネシウムイオンは炭酸塩とケイ酸塩のどちらを選択するのか?

地球温暖化対策の一つとして二酸化炭素回収・貯留(CCS)への期待が高まっている。二酸化炭素を地下に貯留すると、その一部が地層水に溶解して炭酸となり周囲の岩石に含まれる鉱物を溶解させる。溶出するイオンのうちMg、Fe、Ca等の2価陽イオンと結合することで、二酸化炭素が炭酸塩鉱物として固定されることが期待されている。一般にCCSで対象となる砂岩は、これらの2価陽イオンに乏しく、鉱物化はあまり期待できない。一方で、超苦鉄質岩や苦鉄質岩は2価陽イオンに富むため、特に地殻での産出量の観点から玄武岩が注目され、Deccan Trapsプロジェクトのように玄武岩を利用したCCSの大規模実証実験が進んでいる。玄武岩を用いたCCS環境下には溶存2価陽イオンだけでなく溶存Siが豊富に存在するため、炭酸塩固定のカウンターイオンとして考えられている2価陽イオンの内、特にMgイオンが炭酸塩化せずMgシリケート水和物(M-S-H)化することが懸念されている。
そこで本研究では、地球表層環境において溶存マグネシウムイオンは炭酸塩とケイ酸塩のどちらを選択するのかを明らかにするため、二酸化炭素共存下でのM-S-Hの合成実験と変質実験を行った。
本研究では、まずpH条件の異なる(pH=8,10,11,12)常温(25℃)大気条件下でのM-S-H(Mg/Si=1.5)合成実験を行った。また、合成したM-S-H(Mg/Si=1.5)を用いて高い二酸化炭素条件下(二酸化炭素濃度が20%、相対湿度50%雰囲気下)に30日間設置する変質実験も実施した。なお、合成実験では、Mg源としてMgCl₂·6H₂Oを、Si源としてTEOS(Tetraethyl orthosilicate)を用い、生成物の同定にはX線回折(XRD)およびラマン分光を用いた。
常温大気条件下での合成実験の結果、どのpH条件においてもMg炭酸塩の生成は認められず、pH8では非晶質Si、pH 10以上の条件下ではM-S-Hの生成が認められた。今までのM-S-Hの合成実験は、大気中に存在する二酸化炭素の影響を排除するために、窒素などで充填されたグローブボックス内で実施されてきたが、溶存Mgイオン濃度が高い場合であっても、大気中に存在する二酸化炭素濃度程度ではMg炭酸塩の形成は期待できないことが明らかとなった。また、この結果は、熱力学的な解析によっても支持されるものであった。一方、比較的高い二酸化炭素条件下での変質実験の結果、相対湿度50%雰囲気下であっても、30日後にはM-S-Hが消失し、Mg炭酸塩鉱物であるネスケホナイト(MgCO₃·3H₂O)の生成が確認された。これは、二酸化炭素濃度を20%に維持した環境に試料を設置したために、粉体試料に吸着した吸着水に二酸化炭素が溶け込んでpHが下がり、M-S-Hが溶解してMgイオンが溶存して溶存二酸化炭素と共にネスケホナイトが生成されたものと考えられる。この結果についても、熱力学的な解析によって支持されるものであった。
本発表では、上記の合成実験および変質実験の結果を示す他に、それらの実験結果を解釈するために実施した熱力学的解析を、様々な温度、pH、溶存MgやSi濃度条件下および玄武岩間隙水中の条件下に展開した時の結果を示し、地球表層環境において溶存マグネシウムイオンは炭酸塩とケイ酸塩のどちらを選択するのかについて議論する。
そこで本研究では、地球表層環境において溶存マグネシウムイオンは炭酸塩とケイ酸塩のどちらを選択するのかを明らかにするため、二酸化炭素共存下でのM-S-Hの合成実験と変質実験を行った。
本研究では、まずpH条件の異なる(pH=8,10,11,12)常温(25℃)大気条件下でのM-S-H(Mg/Si=1.5)合成実験を行った。また、合成したM-S-H(Mg/Si=1.5)を用いて高い二酸化炭素条件下(二酸化炭素濃度が20%、相対湿度50%雰囲気下)に30日間設置する変質実験も実施した。なお、合成実験では、Mg源としてMgCl₂·6H₂Oを、Si源としてTEOS(Tetraethyl orthosilicate)を用い、生成物の同定にはX線回折(XRD)およびラマン分光を用いた。
常温大気条件下での合成実験の結果、どのpH条件においてもMg炭酸塩の生成は認められず、pH8では非晶質Si、pH 10以上の条件下ではM-S-Hの生成が認められた。今までのM-S-Hの合成実験は、大気中に存在する二酸化炭素の影響を排除するために、窒素などで充填されたグローブボックス内で実施されてきたが、溶存Mgイオン濃度が高い場合であっても、大気中に存在する二酸化炭素濃度程度ではMg炭酸塩の形成は期待できないことが明らかとなった。また、この結果は、熱力学的な解析によっても支持されるものであった。一方、比較的高い二酸化炭素条件下での変質実験の結果、相対湿度50%雰囲気下であっても、30日後にはM-S-Hが消失し、Mg炭酸塩鉱物であるネスケホナイト(MgCO₃·3H₂O)の生成が確認された。これは、二酸化炭素濃度を20%に維持した環境に試料を設置したために、粉体試料に吸着した吸着水に二酸化炭素が溶け込んでpHが下がり、M-S-Hが溶解してMgイオンが溶存して溶存二酸化炭素と共にネスケホナイトが生成されたものと考えられる。この結果についても、熱力学的な解析によって支持されるものであった。
本発表では、上記の合成実験および変質実験の結果を示す他に、それらの実験結果を解釈するために実施した熱力学的解析を、様々な温度、pH、溶存MgやSi濃度条件下および玄武岩間隙水中の条件下に展開した時の結果を示し、地球表層環境において溶存マグネシウムイオンは炭酸塩とケイ酸塩のどちらを選択するのかについて議論する。