日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT14] 高精細地形地理情報と地球表層におけるコネクティビティ

2025年5月29日(木) 15:30 〜 17:00 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:早川 裕弌(北海道大学地球環境科学研究院)、Lissak Candide(Universite de Rennes )、小倉 拓郎(兵庫教育大学学校教育研究科)、Gomez Christopher(神戸大学 海事科学部 海域火山リスク科学研究室)、座長:Gomez Christopher(神戸大学 海事科学部 海域火山リスク科学研究室)、早川 裕弌(北海道大学地球環境科学研究院)


16:15 〜 16:30

[HTT14-04] 針葉樹林帯におけるマルチローター型UAVを用いたレーザー測量及び写真測量の比較検討

*西澤 達治1吉本 充宏1本多 亮1秋葉 祐里1、熊本 瑞樹1、中尾 彰宏2、海田 圭太2、土肥 凛2、竹澤 寛2、大長 優3、吉田 光希3、久保田 喜一3 (1.山梨県富士山科学研究所富士山火山防災研究センター、2.東京大学大学院工学研究科、3.NECネッツアイ株式会社)

キーワード:航空測量、フォトグラメトリ―、レーザー測量、点群データ、ドローン、富士山

我々は富士山北麓の針葉樹林帯において、植生などを含む地物表面データを取得する為にマルチローター型UAVを用いてレーザー測量と写真測量を実施した。レーザー測量にはGreenValley International社のLiDAR、LiAir X3C-Hを用いた。LiAirは、波長905nm、チャンネル数32、FOV:360°(水平)×40.3°(垂直)、最大300m距離640,000ポイント/秒のスキャンが可能で、26MPのマッピングカメラを内蔵している。一方、写真測量には3つのカメラ(広角、望遠、熱赤外)が搭載されたDJI社のZenmuse H20Tを用いた。測量地域は富士北麓の標高1,000 mの針葉樹林帯で、主に樹高30~40 mのアカマツが生育している。測量範囲は1辺が約100 mの正方形の内側で、面積は凡そ10,900 m2である。LiAirまたはH20Tをマルチローター型のUAV、DJI社のMatrice 300RTKに搭載し、次の条件で測量を実施した。対地高度:50 m又は100 m、飛行速度:1m/s、サイドラップ率:70%、前後オーバーラップ率:90%。取得したLiDARデータは、GreenValley社の点群解析ソフトLiDAR360を用いて色付き点群データを生成した。一方、PiX4D社の写真測量ソフトPiX4DMapparを用いて、H20Tの広角カメラ(1/2.3インチCMOS、12MP)で撮影した写真からオルソモザイク画像と色付き点群データの生成を行った。また、オープンソースの点群処理ソフトCloudCompareを用いて点群データを可視化し、比較を行った。
まず、飛行高度50 mのレーザー測量で取得した点群データが最も密度が高く、木々の再現性が最もよかった。写真測量から生成した点群データの密度はレーザー測量に比べ劣るが、有人機による航空レーザー測量で取得された山梨県全域の点群データ(山梨県 県土整備部 富士・東部建設事務所)に比べると密度が高い。このように、低高度かつ低速飛行するマルチローター型UAVによるレーザー測量や写真測量は、植生を含めた地物表面データを取得するのに適している。ただし、枝葉に覆われた地表面~樹高までの点群は限られており、それらを補うためには、例えばハンドヘルド型LiDARを用いた測量を行う必要があるだろう。一方、高高度かつ高速飛行する有人機による航空測量は、生成される点群データは相対的に密度が低くなる傾向があるが、マルチローター型UAVに比べ広範囲を測量することが可能で、広域の地形解析に適している。例えば有人機の航空レーザー測量に基づき作成された県全域のDEMを確認すると、今回の測量範囲は幅約500 mの溶岩流地形の上にあることがわかる。つまり地形解析を行う上で、対象とする地形の範囲や精度、また予算に応じて、適切にその測量方法を選択する或いは組み合わせることが重要である。