日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT15] Geographic Information Systems and Cartography

2025年5月29日(木) 09:00 〜 10:30 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、Liou Yuei-An(National Central University)、王 汝慈(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、田中 雅大(東京都立大学)、座長:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、田中 雅大(東京都立大学)


09:30 〜 09:45

[HTT15-03] Image on Station Square by Color Analysis

*野坂 太陽1田中 一成2 (1.大阪工業大学大学院工学研究科建築・都市デザイン工学専攻空間デザイン研究室、2.大阪工業大学)


キーワード:オープンスペース、シンボル、地名、マスコットキャラクター

1.はじめに
駅前広場は時代とともにその役割が変化し続けており、国土交通省によると利便性・快適性・安全性・地域性といった要素がバランスよく取り入れられた魅力的で使いやすい場所であることがこの空間に求められている。この研究では、駅前広場における色彩と駅のイメージについて景観の印象評価をおこなうことで、地域性に優れつつ、より象徴的なオープンスペースを作り出すことを目指した。

2.目的と方法
本研究では、駅前広場に対する景観の印象評価をおこなうには、地域性とともに駅と駅周辺の色彩イメージについて着目することが重要であると考えた。
そのため、具体的には駅前広場におけるHTMLカラーコードを用いた物理的特性と、そこで感じる色彩イメージの認知的特性の関係について明らかにすることを目的とする。
方法は、現地調査とアンケート調査を用いた。駅前広場の色彩の抽出には現地調査をおこなった。またアンケート調査では、駅の色彩イメージの抽出をおこなった。

3.予備調査
JR琵琶湖線の長浜駅から草津駅の計18か所の駅前広場を対象に予備調査をおこなった。
全体的な傾向として灰色の色彩、それに類似した色彩が多く抽出された。そして、近江八幡駅東口においては、駅前広場のペーブメントに用いられている赤茶色、薄い赤茶色が特徴的な色彩として抽出された。このことから、駅前広場における特徴的な色彩は人々の印象に残りやすく駅前広場の色彩イメージに大きな影響を与えているのではないのかと考えた。

4.本調査1
本調査1では、近江八幡駅・彦根駅・草津駅の計3駅を色彩イメージの調査対象とした。
その結果、彦根駅では地域のマスコットキャラクターの影響や、近江八幡駅では駅前広場の特徴、草津駅では地名から連想される色彩に影響を受けている可能性が明らかとなった。

5.本調査2
本調査2では、色彩イメージ形成に関する傾向を捉えるため調査対象を拡大しアンケート調査をおこなった。調査対象には、日本各地の主要な駅と有名なものや観光名所などが近い駅、駅名(地名)が特徴的な駅といった30駅とした。
東京駅の色彩イメージでは、茶色やオレンジ系統の色彩が抽出された。東京駅の特徴には、丸の内駅舎の赤レンガ造りの外観が挙げられ、アンケート調査で抽出された色彩と高い一致を示している。このことから東京駅の色彩イメージは東京駅丸の内駅舎といったシンボルに影響を受けている可能性が考えられる。
ユニバーサルシティ駅の色彩イメージには、青色が最も多く抽出された。ユニバーサルシティ駅はUSJの最寄り駅であり、ブランドイメージには青色が使用されている。色彩イメージとUSJのテーマカラーの色彩に整合性がみられることから、駅近くの観光スポットの色彩に影響を受けていると考えられる。
船橋駅の色彩イメージには、黄色が最も多く抽出された。この色彩はこの地域のマスコットキャラクター(ふなっしー)で用いられている色彩と一致している。このことから、この駅の色彩イメージは、マスコットキャラクターに影響を受けていると考えられる。
桜井駅の色彩イメージには、ピンクが最も多く抽出された。これは地名に含まれる「桜」という単語から連想されたためと考えられる。桜は日本ではピンク色のイメージがある。

6.まとめ
本研究より、色彩イメージ形成の傾向として大きく4つの傾向が明らかになった。まず、1つ目は駅前広場のシンボルに影響を受け色彩イメージが形成されるという傾向である。2つ目は、駅近くの観光スポットで用いられている色彩に影響を受けている傾向である。3つ目は、駅周辺のマスコットキャラクターに影響を受けている傾向である。最後に、4つ目として、地名に連想される色に影響を受けている傾向である。今回は4つの傾向が明らかとなったが、その他これらに属さない傾向があると考えられる。本研究の結果は駅前広場の設計、形状やゾーン等に活かすことができる。今後は、より詳細な分析を展開した上で、どのような景観計画が優れているのかなどオープンスペースとしての印象評価や課題の抽出について追及していきたい。