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[HTT16-14] 歯の酸素・ストロンチウム同位体比と井戸水、湧水の酸素同位体比の比較によるバハレーンの古墳被葬者の出身地推定
キーワード:酸素同位体比、ストロンチウム同位体比、人の歯、水、出身地推定
ペルシャ湾岸に所在するバハレーン島は、ティロス文化期(BC200~AD300)にはインドから中東を経由してヨーロッパまでつなぐ海上交易ルートの中継地点として盛え、人の移動が盛んであったとされる。ティロス文化期のバハレーンには多くの古墳が築造されたが、古墳の被葬者がどんな人物であったのかについては分かっていないことも多い。人の往来が盛んであった背景を考えると、古墳被葬者にも地元のバハレーンや周辺のアラブ湾岸諸国出身者だけでなく、遠方からの移入者が存在した可能性が考えられる。その候補の一つがこの時代の交易網で重要な役割を果たしたシリアの都市国家パルミラの交易商人である(図1)。
地球上の水は地理的条件を反映して、地域ごとに特異的な酸素同位体比を持っている。特に歯の酸素同位体比は各歯種の形成される幼少期の飲み水の値を反映し、幼少期の居住地(出身地)の指標となる。同様にストロンチウム同位体比も各地の地質の起源を反映して、土地ごとに異なる値を持っている。ストロンチウムはカルシウムと化学的な性質が似ているため、カルシウムに紛れ込む形で歯に取り込まれ、酸素同位体比と同様にストロンチウム同位体比も出身地の指標となる。本研究では、バハレーンのティロス文化期のマカバ古墳群の被葬者を明らかにすることを目的として、古墳出土人骨の歯エナメル質の酸素・炭素安定同位体分析(GasBench-IRMS)、ストロンチウム同位体分析(MC-ICP-MS)を行い、その幼少期の食習慣と居住地≒出身地を推定した。
しかし、ペルシャ湾岸の降水の酸素同位体比はデータベースが公開されているが、湾岸地域では伝統的に雨水を飲用水とすることは少なく、井戸水や湧水、オアシス水が利用されてきた。そのため本研究ではバハレーン在地の指標としてバハレーンで採取した湧水、井戸水、雨水および市販のミネラルウォーターの酸素同位体比を測定し(Picarro)、古代の飲用水の代替値として、人骨との比較を行った。
分析の結果、マカバ古墳群から出土した成人の多くは飲み水の酸素同位体がバハレーンの井戸水や湧水、降水、在地の指標として分析した遺跡出土のイヌの値よりも低い値を示し、バハレーンよりも内陸または高緯度の地域出身であることが明らかとなった。しかし、マカバ古墳群成人骨が該当する水の酸素同位体比を持つ地域は、シリアだけでなくトルコやイラク、イランを含む同緯度の地域に跨って広がっているため、酸素同位体比だけを指標にして出身地を厳密に絞り込むことは難しい。そのため、ストロンチウム同位体比も加えて、さらなる出身地の絞り込みを試みた。
地球上の水は地理的条件を反映して、地域ごとに特異的な酸素同位体比を持っている。特に歯の酸素同位体比は各歯種の形成される幼少期の飲み水の値を反映し、幼少期の居住地(出身地)の指標となる。同様にストロンチウム同位体比も各地の地質の起源を反映して、土地ごとに異なる値を持っている。ストロンチウムはカルシウムと化学的な性質が似ているため、カルシウムに紛れ込む形で歯に取り込まれ、酸素同位体比と同様にストロンチウム同位体比も出身地の指標となる。本研究では、バハレーンのティロス文化期のマカバ古墳群の被葬者を明らかにすることを目的として、古墳出土人骨の歯エナメル質の酸素・炭素安定同位体分析(GasBench-IRMS)、ストロンチウム同位体分析(MC-ICP-MS)を行い、その幼少期の食習慣と居住地≒出身地を推定した。
しかし、ペルシャ湾岸の降水の酸素同位体比はデータベースが公開されているが、湾岸地域では伝統的に雨水を飲用水とすることは少なく、井戸水や湧水、オアシス水が利用されてきた。そのため本研究ではバハレーン在地の指標としてバハレーンで採取した湧水、井戸水、雨水および市販のミネラルウォーターの酸素同位体比を測定し(Picarro)、古代の飲用水の代替値として、人骨との比較を行った。
分析の結果、マカバ古墳群から出土した成人の多くは飲み水の酸素同位体がバハレーンの井戸水や湧水、降水、在地の指標として分析した遺跡出土のイヌの値よりも低い値を示し、バハレーンよりも内陸または高緯度の地域出身であることが明らかとなった。しかし、マカバ古墳群成人骨が該当する水の酸素同位体比を持つ地域は、シリアだけでなくトルコやイラク、イランを含む同緯度の地域に跨って広がっているため、酸素同位体比だけを指標にして出身地を厳密に絞り込むことは難しい。そのため、ストロンチウム同位体比も加えて、さらなる出身地の絞り込みを試みた。