09:15 〜 09:30
[HTT17-07] 勾配を用いた歩行空間の評価と動線予測の方法

キーワード:歩行空間、等高線、軌跡、射影変換
1.はじめに
現在、わが国では新型コロナウイルスの収束や円安の影響による訪日外国人が増加している。このため、日常圏とともに観光地とその周辺の歩行空間が重要視されてきている。また、少子高齢化にともなう人口減少から、商店街のシャッター街化や空き家による地域活力の低下が懸念され、都市の魅力向上とにぎわいを創出させることが求められている。
そこで、令和元年6月26日に「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」の提言として、『「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生』がとりまとめられた。これは車中心から人中心のまちなかを目指し、人中心の豊かな生活の実現とイノベーションの創出をするためのプログラムである。
2.目的と方法
人中心とした空間を創るために芝生などを取り入れた緑が利用されているが、居心地がよく歩きたくなる空間の創出には多くの課題がある。そこで、空間構造の中でも歩く魅力を演出する勾配に着目し、人の行動との関係性を明らかにすることを目標とした。
本研究では、居心地の良い空間とは集まりやすい空間だけではなくその空間が歩きやすいことも重要だと考え、人の行動と歩行空間の構造との関係に着目することで、人々が歩きやすい魅力的な歩行空間への創出が可能になると考えた。そのため、車の影響を受けない傾斜のある歩行空間を研究の対象として、人の動きと傾斜の関係を分析し、動線を予測することを目的とした。
本調査では、人々が歩行空間を歩くときに勾配が人の行動にどのような影響を与えているのかを調査することを目的とした。調査対象を京都市にある観光地の円山公園とした。勾配の大部分が3°~6°と緩やかである歩行空間も多い。このことからさまざまな人の往来があり、より人の無意識的な行動パターンを読むことができ、車の影響を受けないことから選定した。
調査方法は、動画を複数回に分けて各回約10分ずつ撮影したのちに人の軌跡をとった。撮影地は5つの道の合流地点である。京都市都市計画図と軌跡の写真を用いて二つの基準点を選定し、基準となる正方形のメッシュを必要な範囲まで作成した。これを用いて軌跡の写真から射影変換をおこない、平面に軌跡を起こした。平面に起こした軌跡と等高線を照らし合わせた。
分析結果、同じ始点から終点の軌跡を見ると時間帯を問わず似たような軌跡をたどっており、歩行範囲がほとんど同じであることが分かった。また等高線に対して垂直に歩く人はまとまっているのに対し、等高線に沿うように歩く場合は広がりやすくなっていた。このことから、等高線に対して垂直方向に歩行する人は、東西を基準線としたときに通過した等高線の似た角度の等高線を歩行すると考える。すなわち、等高線との角度差が少ないほど人は歩きやすいと考えた。
調査結果と考察を踏まえて、われわれは等高線から人の動きが予測できるのではないかと考えた。そこで車の影響を受けない歩行空間を条件に滋賀県大津市の瀬田川沿いにある歩道を実験の対象地とし、本調査と同様に対象地にメッシュを引き、評価をおこなった。メッシュ内を通る等高線を用いて、各メッシュの角度を算出した。次に前後左右の行間と列間ごとに角度差を算出した。このとき、空白マスがあるときは前後左右の角度値が存在するマスとの差を行間と列間の角度差とした。
評価の正誤性を確認するため、現地で動画撮影をおこなった。人が移動すると予測したエリアで33%の人が移動した。しかし、移動すると予測したエリアで移動しないで評価の低いエリアを歩行する人もいる結果となった。等高線だけでなくほかの要素が影響を与えている可能性があることが分かった。
3.まとめ
本研究では、独自の評価方法をもとに歩行空間において、動線予測と勾配との関係を把握することができた。しかし、等高線の評価のみによる動線予測より、歩行空間と歩行空間外の境界線や進行方向のアイストップとの関係など、ほかの要素加えることで実用的なものになると考える。
現在、わが国では新型コロナウイルスの収束や円安の影響による訪日外国人が増加している。このため、日常圏とともに観光地とその周辺の歩行空間が重要視されてきている。また、少子高齢化にともなう人口減少から、商店街のシャッター街化や空き家による地域活力の低下が懸念され、都市の魅力向上とにぎわいを創出させることが求められている。
そこで、令和元年6月26日に「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」の提言として、『「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生』がとりまとめられた。これは車中心から人中心のまちなかを目指し、人中心の豊かな生活の実現とイノベーションの創出をするためのプログラムである。
2.目的と方法
人中心とした空間を創るために芝生などを取り入れた緑が利用されているが、居心地がよく歩きたくなる空間の創出には多くの課題がある。そこで、空間構造の中でも歩く魅力を演出する勾配に着目し、人の行動との関係性を明らかにすることを目標とした。
本研究では、居心地の良い空間とは集まりやすい空間だけではなくその空間が歩きやすいことも重要だと考え、人の行動と歩行空間の構造との関係に着目することで、人々が歩きやすい魅力的な歩行空間への創出が可能になると考えた。そのため、車の影響を受けない傾斜のある歩行空間を研究の対象として、人の動きと傾斜の関係を分析し、動線を予測することを目的とした。
本調査では、人々が歩行空間を歩くときに勾配が人の行動にどのような影響を与えているのかを調査することを目的とした。調査対象を京都市にある観光地の円山公園とした。勾配の大部分が3°~6°と緩やかである歩行空間も多い。このことからさまざまな人の往来があり、より人の無意識的な行動パターンを読むことができ、車の影響を受けないことから選定した。
調査方法は、動画を複数回に分けて各回約10分ずつ撮影したのちに人の軌跡をとった。撮影地は5つの道の合流地点である。京都市都市計画図と軌跡の写真を用いて二つの基準点を選定し、基準となる正方形のメッシュを必要な範囲まで作成した。これを用いて軌跡の写真から射影変換をおこない、平面に軌跡を起こした。平面に起こした軌跡と等高線を照らし合わせた。
分析結果、同じ始点から終点の軌跡を見ると時間帯を問わず似たような軌跡をたどっており、歩行範囲がほとんど同じであることが分かった。また等高線に対して垂直に歩く人はまとまっているのに対し、等高線に沿うように歩く場合は広がりやすくなっていた。このことから、等高線に対して垂直方向に歩行する人は、東西を基準線としたときに通過した等高線の似た角度の等高線を歩行すると考える。すなわち、等高線との角度差が少ないほど人は歩きやすいと考えた。
調査結果と考察を踏まえて、われわれは等高線から人の動きが予測できるのではないかと考えた。そこで車の影響を受けない歩行空間を条件に滋賀県大津市の瀬田川沿いにある歩道を実験の対象地とし、本調査と同様に対象地にメッシュを引き、評価をおこなった。メッシュ内を通る等高線を用いて、各メッシュの角度を算出した。次に前後左右の行間と列間ごとに角度差を算出した。このとき、空白マスがあるときは前後左右の角度値が存在するマスとの差を行間と列間の角度差とした。
評価の正誤性を確認するため、現地で動画撮影をおこなった。人が移動すると予測したエリアで33%の人が移動した。しかし、移動すると予測したエリアで移動しないで評価の低いエリアを歩行する人もいる結果となった。等高線だけでなくほかの要素が影響を与えている可能性があることが分かった。
3.まとめ
本研究では、独自の評価方法をもとに歩行空間において、動線予測と勾配との関係を把握することができた。しかし、等高線の評価のみによる動線予測より、歩行空間と歩行空間外の境界線や進行方向のアイストップとの関係など、ほかの要素加えることで実用的なものになると考える。