17:15 〜 19:15
[HTT17-P02] 身近な地域を活かした課題探究・解決型学習は生徒の地域参画を促すか?
キーワード:地域参画、身近な地域の活用、課題探求・解決型学習
持続可能な社会の形成に向けた人文現象の要因として、地域社会・環境に対する住民の態度の変化を捉えることは重要である。その中でも子どもの地域に関する態度は、学校教育における総合的な学習の時間等で実施される課題探求・解決型学習によって醸成することが企図されることが多い。特に、身近な地域を題材とした学習は、地域愛着を高め、地域の自然や文化の維持するための参画行動(以下、地域参画と記述)へと動機づける効果がある。ただし、身近な地域を活用した学習はその地域の環境状況に依存し、そのため、既往研究と共通した効果が期待できるかは検証の余地がある。また、都市近郊の学校では身近な自然が比較的少なく、地域環境を活かした体験活動時間を確保することが難しい。これらのことから、都市近郊の学校で実践される身近な地域を活用した課題探究・解決型学習は、地域参画に効果的なのかを個別具体事例を踏まえながら検証していく必要がある。
そこで本研究では、茨城県鉾田市にある中学校での実践を事例として、その授業実践が地域参画にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とした。当該実践は学年毎に段階的に学習目標が設定され、市内に対する誇りと愛着を高め(第1学年の目標)、市内が持続可能な社会を形成するためのアイデアを考え(第2学年の目標)、持続可能な社会を形成するために自分で実践できる方策を考え、実践を試みる(第3学年の目標)ための学習が計画された。この目標の下、各学年でグループ市内の環境・文化・産業・経済に関する調べ学習をグループ毎に行い、プレゼンテーション形式でまとめるプログラムであった。調査は実践後に行われ、受講した生徒の地域参画に関する態度を心理尺度質問紙によって確認し、地域参画に影響する意識や属性を検討した。
調査の結果、155名の有効回答を得た。心理尺度の回答から算出された「地域参画」、「地域アイデンティティ」、「忠誠的愛郷心」、「地域愛着」について確認すると、当該授業を受けた生徒は全体的に「地域愛着」が高く、特に第1・2学年が高かった。しかしながら、地域参画を従属変数とその他の意識を独立変数とする重回帰分析を行った結果、何れの学年でも「地域参画」を高めることに「地域愛着」は影響していなかった。それに対して、「地域アイデンティティ(自分が地域に所属している意識)」は「地域参画」に有意な影響を示した。また、第3学年のみ「忠誠的愛郷心(地域に誇りを持ち、積極的に擁護する意識)」が地域参画に有意な影響を示した。これらの結果は、当該授業は、学年を経る毎に地域参画への動機づけていることを示唆している。具体的には、地域愛着のみを醸成する学習が必ずしも地域参画に貢献せず、地域への所属意識や誇りを感じるような探究学習が地域参画への態度を高める可能性が高い。ただし、確認された学年間の差異が集団の性質によるものなのか、学習が積み上がったことによるものなのかは確認できなかったため、今後の調査によって明らかにしていきたい。
そこで本研究では、茨城県鉾田市にある中学校での実践を事例として、その授業実践が地域参画にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とした。当該実践は学年毎に段階的に学習目標が設定され、市内に対する誇りと愛着を高め(第1学年の目標)、市内が持続可能な社会を形成するためのアイデアを考え(第2学年の目標)、持続可能な社会を形成するために自分で実践できる方策を考え、実践を試みる(第3学年の目標)ための学習が計画された。この目標の下、各学年でグループ市内の環境・文化・産業・経済に関する調べ学習をグループ毎に行い、プレゼンテーション形式でまとめるプログラムであった。調査は実践後に行われ、受講した生徒の地域参画に関する態度を心理尺度質問紙によって確認し、地域参画に影響する意識や属性を検討した。
調査の結果、155名の有効回答を得た。心理尺度の回答から算出された「地域参画」、「地域アイデンティティ」、「忠誠的愛郷心」、「地域愛着」について確認すると、当該授業を受けた生徒は全体的に「地域愛着」が高く、特に第1・2学年が高かった。しかしながら、地域参画を従属変数とその他の意識を独立変数とする重回帰分析を行った結果、何れの学年でも「地域参画」を高めることに「地域愛着」は影響していなかった。それに対して、「地域アイデンティティ(自分が地域に所属している意識)」は「地域参画」に有意な影響を示した。また、第3学年のみ「忠誠的愛郷心(地域に誇りを持ち、積極的に擁護する意識)」が地域参画に有意な影響を示した。これらの結果は、当該授業は、学年を経る毎に地域参画への動機づけていることを示唆している。具体的には、地域愛着のみを醸成する学習が必ずしも地域参画に貢献せず、地域への所属意識や誇りを感じるような探究学習が地域参画への態度を高める可能性が高い。ただし、確認された学年間の差異が集団の性質によるものなのか、学習が積み上がったことによるものなのかは確認できなかったため、今後の調査によって明らかにしていきたい。