16:21 〜 16:46
[L02-03] 温暖化による豪雨災害の激甚化:日本全国の河川を対象にした洪水リスク評価
★招待講演
キーワード:洪水災害、気候変動、水文モデル、アンサンブル予測
日本の大雨の頻度は統計的に有意に増加しており、特に強度の強い雨は、1980年頃と比較して、おおむね2倍程度に発生頻度が増加している。極端な豪雨により洪水災害も毎年のように発生している。今後、温暖化の進行に伴い、低頻度極端事象である洪水はさらに頻発化、激甚化することが懸念され、温暖化の適応策を検討するうえでも、その影響を科学的に予測することは極めて重要な課題となっている。
地球全体を対象にした温暖化の影響評価に関しては全球気候モデル(GCM)を活用することが一般的である。一方、ローカルな豪雨の将来変化については、領域気候モデル(RCM)を用いてGCMの結果を物理的にダウンスケーリングする技術が進展している。さらに、極端事象を解析するため、様々な気象のパターンを含むアンサンブル予測が進んでいる。例えば、気象研究所を中心に近年開発されたd4PDF-5kmDDSと呼ばれるプロダクトは、現在気候、2度上昇下、4度上昇下で、それぞれ720年分に相当する気象パターンが空間解像度5 kmで日本域をカバーしている。一方、大気の状態から河川の洪水現象を計算する流出モデルの開発も、より広域、より詳細に分析できるよう進化しており、最近ではLarge Domain Hydrologyと呼ばれる研究の動向の中で、日本全国など広域を対象にした分布型水文モデルの開発が進んでいる。
これまでRainfall-Runoff-Inundation (RRI)モデルという降雨流出と洪水を一体的に解析するモデルを日本全国に展開し、150 mの空間解像度で中小河川も含めた14,000の河川を包含する洪水予測モデルを開発している。d4PDF-5kmDDSの結果から、洪水をもたらすような大雨イベントを網羅的に抽出して全国版のRRIモデルに入力することにより、例えば100年に1回の頻度で発生するような洪水流量を推定することができる。さらに、全球平均気温が2度、4度と上昇した際に、それらの洪水流量がどのように変化するかも推定できるようになってきた。その結果、東北や北海道などで温暖化に伴う洪水流量の増加が顕著であり、多いところでは2度上昇下で、100年に1度の洪水流量が現在気候に比べて1.4倍以上になることも分かってきた。4度上昇下では、その倍率の変化が流域面積にも依存し、特に中小河川ほど洪水の変化倍率が大きくなる地域もある。さらに、洪水をもたらす大雨の成因を分析することができる。例えば、日本海側の東北地方では、梅雨期豪雨の発生により、洪水流量の増加が顕著であることが示されている。
本発表では、上記に関する最新の研究成果を紹介するとともに、筆者らを含む多数の研究者で開発を進めている統合ハザードモデルについても話題提供する。統合ハザードモデルは、河川洪水を解析するRRIモデルの他、全国の沿岸域を解析する高潮モデルも含む。台風の激甚化は、洪水の頻度や強度の増加に結びつくほか、高潮にも影響を及ぼす。温暖化の影響が深刻化すると、これまで深刻な災害現象としては報告事例が少ない、河川洪水と高潮の同時発生に伴う複合災害の発生も懸念される。本発表では、d4PDF5km-DDSを統合ハザードモデルに入力して、高潮・洪水の同時生起に関する分析結果も紹介する。地球温暖化という最も深刻な人為起源の現象と、それにともなう風水害への影響について話題提供する。
地球全体を対象にした温暖化の影響評価に関しては全球気候モデル(GCM)を活用することが一般的である。一方、ローカルな豪雨の将来変化については、領域気候モデル(RCM)を用いてGCMの結果を物理的にダウンスケーリングする技術が進展している。さらに、極端事象を解析するため、様々な気象のパターンを含むアンサンブル予測が進んでいる。例えば、気象研究所を中心に近年開発されたd4PDF-5kmDDSと呼ばれるプロダクトは、現在気候、2度上昇下、4度上昇下で、それぞれ720年分に相当する気象パターンが空間解像度5 kmで日本域をカバーしている。一方、大気の状態から河川の洪水現象を計算する流出モデルの開発も、より広域、より詳細に分析できるよう進化しており、最近ではLarge Domain Hydrologyと呼ばれる研究の動向の中で、日本全国など広域を対象にした分布型水文モデルの開発が進んでいる。
これまでRainfall-Runoff-Inundation (RRI)モデルという降雨流出と洪水を一体的に解析するモデルを日本全国に展開し、150 mの空間解像度で中小河川も含めた14,000の河川を包含する洪水予測モデルを開発している。d4PDF-5kmDDSの結果から、洪水をもたらすような大雨イベントを網羅的に抽出して全国版のRRIモデルに入力することにより、例えば100年に1回の頻度で発生するような洪水流量を推定することができる。さらに、全球平均気温が2度、4度と上昇した際に、それらの洪水流量がどのように変化するかも推定できるようになってきた。その結果、東北や北海道などで温暖化に伴う洪水流量の増加が顕著であり、多いところでは2度上昇下で、100年に1度の洪水流量が現在気候に比べて1.4倍以上になることも分かってきた。4度上昇下では、その倍率の変化が流域面積にも依存し、特に中小河川ほど洪水の変化倍率が大きくなる地域もある。さらに、洪水をもたらす大雨の成因を分析することができる。例えば、日本海側の東北地方では、梅雨期豪雨の発生により、洪水流量の増加が顕著であることが示されている。
本発表では、上記に関する最新の研究成果を紹介するとともに、筆者らを含む多数の研究者で開発を進めている統合ハザードモデルについても話題提供する。統合ハザードモデルは、河川洪水を解析するRRIモデルの他、全国の沿岸域を解析する高潮モデルも含む。台風の激甚化は、洪水の頻度や強度の増加に結びつくほか、高潮にも影響を及ぼす。温暖化の影響が深刻化すると、これまで深刻な災害現象としては報告事例が少ない、河川洪水と高潮の同時発生に伴う複合災害の発生も懸念される。本発表では、d4PDF5km-DDSを統合ハザードモデルに入力して、高潮・洪水の同時生起に関する分析結果も紹介する。地球温暖化という最も深刻な人為起源の現象と、それにともなう風水害への影響について話題提供する。
