10:45 〜 11:00
[L03-01] 人新世と炭素14
★招待講演
キーワード:人新世、炭素14年代測定、化石燃料
「人新世」とは、数百万年という時間が経過した後においても、人類の活動が地球の地質や生態系に地球規模で観測されうるような痕跡を残すようになった時代、またそのことを意識すべき時代、を指す言葉である。この「人新世」を完新世に続く新たな地質時代として位置づける議論が約15年前から行われてきたが、2023年7月、国際地質科学連合の国際層序委員会に属する第四紀層序小委員会によって否決された。もし、この提案が可決されていれば、1952年に「人新世」が始まり、氷河期が終わった11,700年前から現在まで続く完新世が終了していたことになる。
しかし、「人新世」の開始時期については諸説があり、急激に気候変動が進行した1950年代のほか、約12,000年前の農耕革命、18世紀後半の産業革命、大気圏核実験によって人工的に炭素14(14C)が生成され、その濃度が大気中でピークに達した1964年などが提案されている。このため、「人新世」の開始を1952年という具体的な年代とし、地質時代区分として特定するよりも、地質学史上のイベントとして捉え、より掘り下げた包括的な定義を模索するべきだという意見も出されている。「人新世」を創設することは、人類の活動が地球環境を変えているということを宣言することでもあり、その正確な定義には慎重な評価が必要である。さらに、「人新世」がいつ始まったのかという点においては、より広範なフィールド調査と慎重な議論が必要である。
この地質学史上のイベント、そして「人新世」の開始時期を探る上で14Cは重要な役割を果たしている。例えば、正確な年代を求めるためには、微量試料に対する高精度・高確度な年代測定が可能な14Cが鍵となる。また、産業革命による化石燃料の使用に伴う大気中14C濃度の低下(14Cを用いた起源解析が可能)や、1964年の14C濃度ピーク(CO2の大気循環解析が可能)も、人類の影響を理解する上で14Cが極めて重要であることを示している。本発表では、「人新世」の議論において14Cがどのように貢献できるか、いくつかの例を挙げるとともに、今後の「人新世」の新たな展開を考察する。
しかし、「人新世」の開始時期については諸説があり、急激に気候変動が進行した1950年代のほか、約12,000年前の農耕革命、18世紀後半の産業革命、大気圏核実験によって人工的に炭素14(14C)が生成され、その濃度が大気中でピークに達した1964年などが提案されている。このため、「人新世」の開始を1952年という具体的な年代とし、地質時代区分として特定するよりも、地質学史上のイベントとして捉え、より掘り下げた包括的な定義を模索するべきだという意見も出されている。「人新世」を創設することは、人類の活動が地球環境を変えているということを宣言することでもあり、その正確な定義には慎重な評価が必要である。さらに、「人新世」がいつ始まったのかという点においては、より広範なフィールド調査と慎重な議論が必要である。
この地質学史上のイベント、そして「人新世」の開始時期を探る上で14Cは重要な役割を果たしている。例えば、正確な年代を求めるためには、微量試料に対する高精度・高確度な年代測定が可能な14Cが鍵となる。また、産業革命による化石燃料の使用に伴う大気中14C濃度の低下(14Cを用いた起源解析が可能)や、1964年の14C濃度ピーク(CO2の大気循環解析が可能)も、人類の影響を理解する上で14Cが極めて重要であることを示している。本発表では、「人新世」の議論において14Cがどのように貢献できるか、いくつかの例を挙げるとともに、今後の「人新世」の新たな展開を考察する。
