日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG34] ラジオアイソトープ移行:福島第一原発事故環境動態からの展開

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:津旨 大輔(筑波大学)、赤田 尚史(弘前大学)、加藤 弘亮(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、乙坂 重嘉(東京大学大気海洋研究所)、座長:乙坂 重嘉(東京大学大気海洋研究所)、津旨 大輔(筑波大学)

14:35 〜 14:50

[MAG34-04] 森林管理が空間線量率に及ぼす影響の解明とモデル化

*上原 雄正1恩田 裕一2高橋 純子2、中西 美夕1、張 宇攀2、高村 詩央里1 (1.筑波大学 地球科学学位プログラム、2.筑波大学 放射線・アイソトープ地球システム研究センター)


キーワード:空間線量率、森林管理、間伐、実効雨量、土壌含水率

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により東京電力福島第一原子力発電所事故によって、陸域に沈着した137Csのうち約69%が森林域に沈着した。現在,森林域において間伐を用いて、空間線量率を低下させようという試みがされているが、具体的にどれほど森林管理が空間線量率に影響を及ぼすのかわかっておらず、空間線量率を低減させるための最適な森林管理方法が提案されていない。間伐により,日射量、林内雨量の増加が予想され,土壌中の有機物分解が促進され、放射性核種がより深部へと移行し、その結果,空間線量率が低減するのではないかと示唆されている。
また、森林における林内空間線量率予測モデルは多くあるが、放射線源の位置や土壌含水率を単一化し、この点に着眼点を置いてあるモデルは少ない。よって、これらを考慮したうえでの林内空間線量率予測モデルの作成は課題となっている。また、先行研究(Nakanishi et al., 2023)においては、土壌含水率と空間線量率、雨量と土壌含水率の関係性から雨量より各森林における空間線量率を予測するモデルが発表されたが、雨量と土壌含水率の関係については、ヒステリシスの影響によって降雨時の上昇を表現できていなかった。そこで,本研究では間伐を行った調査地に雨量計、土壌含水率計、空間線量率計を設置し、間伐によるこれらの値への影響を観測すること、これらの実測値データからモデルについて、最適なパラメータを求めモデルを作成し、実測値と比較することの2点を行った。
 実測値の比較では、間伐と自然林状態の箇所では、間伐した地域の方がより林内雨量が多いことが確認された。それに伴い、土壌含水率も間伐地域の方が高くなった。空間線量率については、対照区の状態の方が低いという結果であった。しかし、土壌含水率と空間線量率の相関は、間伐区の方が高く土壌含水率の空間線量率に対する寄与率も間伐区の方が高いという結果となった。空間線量予測デルについては、先行研究で特に課題とされていた雨量と土壌含水率の関係について、先行研究と同じく実効雨量法を用いて、半減期を変更することで実効雨量と土壌含水率がよりよい関係を示した。さらに,より長い期間でのモデル予測をするためにこれまで時間雨量を用いていた箇所を日雨量に変更することで、を4か月に及ぶ空間線量率の時間変化を推定することができた。間伐について、樹冠遮断量の減少による林内雨量の増加とそれに伴う土壌含水率の空間線量率に対する影響の効果が確認できた。