日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG34] ラジオアイソトープ移行:福島第一原発事故環境動態からの展開

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:津旨 大輔(筑波大学)、赤田 尚史(弘前大学)、加藤 弘亮(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、乙坂 重嘉(東京大学大気海洋研究所)

17:15 〜 19:15

[MAG34-P06] 3月末に北太平洋亜熱帯モード水に取り込まれたCs-137を想定した場合の日本海への移動

*坪野 考樹1津旨 大輔2猪股 弥生3三角 和弘1 (1.一般財団法人 電力中央研究所、2.筑波大学、3.金沢大学)

キーワード:Cs-137、亜熱帯モード水、日本海、東シナ海

福島第一原子力発電所事故によって北太平洋に供給された放射性セシウム(137Cs)は東シナ海や日本海へ移流したことが報告されている (Inomata et al., 2018).そして,この海域で137Csが検出された密度σΘが25.2kg m-3であったことから,事故時に北太平洋亜熱帯モード水(STMW)に取り込まれた137Cs(Kaeriyama et al., 2014 ; Kumamoto et al, 2014)が東シナ海や日本海に到達したと示されている.本研究では,北太平洋領域モデル(ROMS)を用いて,その137Csの移流拡散について数値計算を行った.STMWの形成海域は北太平洋黒潮・黒潮続流周辺の広い領域であることから,4月1日0時における形成領域を複数の矩形に分けて,その領域かつσΘが25.0~25.4 kg m-3の範囲で137Csを一様に10Bq m-3と設定したのち,そして,複数の矩形領域で設定した137Csの東シナ海,日本海における総量の時系列を検討した.北太平洋領域モデルを,境界条件として気候値を設定し,95, 96, 97, 98年4月を初期値として計算を行った.このことからアンサンブル数は4メンバーとなる.
最初に,矩形の位置に応じて トレーサをdye-01 (0.33±0.03 PBq): 28-35°N,130-140°E,dye-02 (0.36±0.02 PBq): 28-35°N,140-150°E, dye-03 (0.04±0.01 PBq): 35-42°N,140-150°E, dye-04 (0.23±0.05 PBq): 28-42°N,150-160°Eと設定して,それぞれのトレーサの移流拡散について計算した.これらトレーサのインベントリを検討したところ,①dye-04は計算開始後1年で,そのほとんど(約8割)が160°Eより東にある.②dye-01, 02は計算開始後2年後に半分程度が160°Eより東にある.③東シナ海では,dye-01, 02のインベントリは,それぞれ計算開始後1年,2から3年ごろにピークを持つ.そして,ピークの時,それぞれの初期に設定した総量の約1.5%が海域に存在する.④日本海では,dye-01, 02のインベントリは計算開始後1年半ごろから増えだし漸増する(初期に設定した総量の0.2, 0.3%程度).そして,その増加の割合がそれぞれ計算開始後1年,2-4年ごろにピークとなる.ことが分かった.トレーサdye-02の領域を東西で二分して新たに,トレーサdye-06,07と設定してさらに計算を実施した.その結果,東西で設定したトレーサの東シナ海および日本海のインベントリの時系列は両者で大きな違いはなかった.