09:20 〜 09:35
[MGI28-02] 上部海洋地殻における熱拡散率の推定

キーワード:熱拡散率、国際深海科学掘削計画、インバージョン、海洋地殻
惑星地殻とリソスフェアの熱進化は、どれだけの熱がどれだけの速度で伝達されるかに大きく支配されている。一方で、今日の地球惑星科学で用いられる海洋底下の熱拡散率などの物性値は、コア試料等を利用した実験室での測定値を使って推定しており、地殻内部スケールでの実測値や深さ方向での変化は未だ明らかになっていなかった。本研究では、実測の海洋地殻浅部の温度データから、熱拡散率を推定し、地殻浅部での深さ方向に対しての熱拡散率の変化を明らかにした。
熱拡散率の推定に用いたデータは、ODP Leg 206 (2002),IODP Exp 309, 312 (2005)にて、Hole1256D孔内に計測機器を往復させることで測定された、異なるタイムスタンプの温度データである。掘削孔は、深さ1450mまであり、得られたデータは、海洋地殻上部に相当する。調査で得られた温度プロファイルは、掘削中の冷却水による孔内周辺の温度の擾乱と、掘削終了後の温度の回復の様子を記録していた。孔内周辺温度は、掘削による冷却と回復により、最大で50 ℃ほど変化していた。
熱拡散率の推定には、円筒座標系二次元熱拡散方程式に従う軸対称二次元熱拡散シミュレーションを用いた。この時、中心軸では熱流量ゼロのノイマン境界または冷却水温度を用いたディリクレ境界、並びに、円筒の上端と下端及び円筒外側境界では平衡状態における温度をディリクレ境界として与えた。また熱拡散率には、深さ方向の一次元層構造を仮定した。このシミュレーションにより、上部地殻の冷却および回復の様子を再現し、得られた計算値と、IODPの実測温度データを比較して、逆計算的に熱拡散率を推定した。推定した熱拡散率を用いて計算した孔内温度とIODPの実測温度データの差はRMS値が0.67℃ほどであった。
インバージョンにより推定された熱拡散率プロファイルからは、熱拡散率が深さに対して200m程のスケールで50%ほどの変動を繰り返す挙動が読み取れた。数10m以上のスケールで推定したこの結果は、実験室での測定値である地殻岩石の熱拡散率のおよそ半分である 0.47 ± 0.2 mm2/s となった。このことは、海洋地殻の上部では、これまで考えてきたよりも、熱の変動に対して鈍感であることを示しており、上部地殻が断熱的な働きをする可能性があると示唆するものとなった。
熱拡散率の推定に用いたデータは、ODP Leg 206 (2002),IODP Exp 309, 312 (2005)にて、Hole1256D孔内に計測機器を往復させることで測定された、異なるタイムスタンプの温度データである。掘削孔は、深さ1450mまであり、得られたデータは、海洋地殻上部に相当する。調査で得られた温度プロファイルは、掘削中の冷却水による孔内周辺の温度の擾乱と、掘削終了後の温度の回復の様子を記録していた。孔内周辺温度は、掘削による冷却と回復により、最大で50 ℃ほど変化していた。
熱拡散率の推定には、円筒座標系二次元熱拡散方程式に従う軸対称二次元熱拡散シミュレーションを用いた。この時、中心軸では熱流量ゼロのノイマン境界または冷却水温度を用いたディリクレ境界、並びに、円筒の上端と下端及び円筒外側境界では平衡状態における温度をディリクレ境界として与えた。また熱拡散率には、深さ方向の一次元層構造を仮定した。このシミュレーションにより、上部地殻の冷却および回復の様子を再現し、得られた計算値と、IODPの実測温度データを比較して、逆計算的に熱拡散率を推定した。推定した熱拡散率を用いて計算した孔内温度とIODPの実測温度データの差はRMS値が0.67℃ほどであった。
インバージョンにより推定された熱拡散率プロファイルからは、熱拡散率が深さに対して200m程のスケールで50%ほどの変動を繰り返す挙動が読み取れた。数10m以上のスケールで推定したこの結果は、実験室での測定値である地殻岩石の熱拡散率のおよそ半分である 0.47 ± 0.2 mm2/s となった。このことは、海洋地殻の上部では、これまで考えてきたよりも、熱の変動に対して鈍感であることを示しており、上部地殻が断熱的な働きをする可能性があると示唆するものとなった。