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[MGI28-08] Os同位体比に基づくメッシニアン塩分危機における大西洋-地中海間の海洋システム変動

キーワード:メッシニアン塩分危機、Os同位体比、地中海、海洋循環
メッシニアン塩分危機(Messinian Salinity Crisis, MSC;5.97–5.33 Ma)は、地中海内の塩分濃度が急上昇し、120万 km³を超える大規模な塩塊が形成されたイベントである [1]。MSCの要因として、後期中新世における南スペインおよび北モロッコの大西洋-地中海接続の徐々な閉鎖が挙げられる。このような劇的なイベントが発生した要因として、ジブラルタル海峡周辺におけるゲートウェイの閉鎖に伴い、地中海と北大西洋の海水の交換が遮断され、地中海の海水の蒸発が卓越したことが挙げられる [2]。一方で、鮮新世以降のジブラルタル海峡周辺の海洋循環に着目すると、地中海から北大西洋に流れ込む塩分濃度が高い水塊 (Mediterranean Outflow Water; MOW) が、大西洋地中海水 (AMW) の形成と、北大西洋深層水 (North Atlantic Deep Water; NADW) の維持に影響を与えていると考えられている [3]。そのため、MSC前後のジブラルタル海峡周辺における水文学的変化を明らかにすることで、地中海における古海洋環境の変遷だけでなく、地中海が大西洋の熱塩循環や地球規模での物質循環に与える影響を評価できる可能性がある。
そこで本研究では、International Ocean Discovery Program (IODP) Expedition 401 により掘削されたジブラルタル海峡近辺の2地点 (Sites U1610, U1611) の海底堆積物コア試料を対象としてOs(オスミウム)同位体比分析を行い、MSC時における大西洋-地中海間の海水の交換の実態を明らかにすることを目的とした。海水のOs同位体比(187Os/188Os)は、大陸風化や火山活動のバランスによって変動し、地球表層の物質循環を解析するための指標として利用される。特に、Osの滞留時間 (~104年) は、海洋深層循環よりも長く (~103 年)、MSCのタイムスケール (~105年) よりも短いため、地中海-大西洋間の海水交換の評価指標として有効と考えられる [4]。また、本研究で対象とする堆積物コア試料は、いずれもMiocene後期からPliocene最初期にかけての炭酸塩質あるいは砕屑性成分から構成されている [5]。本発表では、研究対象地点のOs同位体比分析結果と、同時代の中央地中海・東地中海 [4] および太平洋 [6–8] の海水Os同位体比を比較検討し、MSCにおける大西洋-地中海間の海水制限/再開のタイミングについて議論する。
[1] Roveli et al. (2014) Marine Geology, 352, 25-58. [2] Meijer & Krijgsman (2005) Earth and Planetary Science Letters, 240(2), 510-520. [3] Rogerson et al. (2012) Reviews of Geophysics, 50(2). [4] Kuroda et al. (2016) Paleoceanography, 31(1), 148-166. [5] Flecker et al. (2024) Expedition 401 Preliminary Report: Mediterranean–Atlantic Gateway Exchange. International Ocean Discovery Program. [6] Holm-Nielsen et al. (2009) Bioresource technology, 100(22), 5478-5484. [7] Ravizza (1993) Earth and Planetary Science Letters, 118(1-4), 335-348. [8] Pegram & Turekian (1999) Geochimica et Cosmochimica Acta, 63(23-24), 4053-4058.
そこで本研究では、International Ocean Discovery Program (IODP) Expedition 401 により掘削されたジブラルタル海峡近辺の2地点 (Sites U1610, U1611) の海底堆積物コア試料を対象としてOs(オスミウム)同位体比分析を行い、MSC時における大西洋-地中海間の海水の交換の実態を明らかにすることを目的とした。海水のOs同位体比(187Os/188Os)は、大陸風化や火山活動のバランスによって変動し、地球表層の物質循環を解析するための指標として利用される。特に、Osの滞留時間 (~104年) は、海洋深層循環よりも長く (~103 年)、MSCのタイムスケール (~105年) よりも短いため、地中海-大西洋間の海水交換の評価指標として有効と考えられる [4]。また、本研究で対象とする堆積物コア試料は、いずれもMiocene後期からPliocene最初期にかけての炭酸塩質あるいは砕屑性成分から構成されている [5]。本発表では、研究対象地点のOs同位体比分析結果と、同時代の中央地中海・東地中海 [4] および太平洋 [6–8] の海水Os同位体比を比較検討し、MSCにおける大西洋-地中海間の海水制限/再開のタイミングについて議論する。
[1] Roveli et al. (2014) Marine Geology, 352, 25-58. [2] Meijer & Krijgsman (2005) Earth and Planetary Science Letters, 240(2), 510-520. [3] Rogerson et al. (2012) Reviews of Geophysics, 50(2). [4] Kuroda et al. (2016) Paleoceanography, 31(1), 148-166. [5] Flecker et al. (2024) Expedition 401 Preliminary Report: Mediterranean–Atlantic Gateway Exchange. International Ocean Discovery Program. [6] Holm-Nielsen et al. (2009) Bioresource technology, 100(22), 5478-5484. [7] Ravizza (1993) Earth and Planetary Science Letters, 118(1-4), 335-348. [8] Pegram & Turekian (1999) Geochimica et Cosmochimica Acta, 63(23-24), 4053-4058.