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[MGI28-P01] 日本海珪質堆積物コアのスミアスライド画像を用いた岩相の自動判別技術
キーワード:スミアスライド、岩相判別、人工知能(AI)、珪質堆積物、日本海
近年の人工知能(AI)分野の発展に伴い,地質学分野においてもAIの導入が徐々に進められてきた.特に,粒子の形状からAIが自動的に分類を行う技術についてはすでに実用段階にある.こうしたAIの導入は,限られた人的リソースを補い,これまでにないスピードでのデータ収集を可能にすることが期待される.
本研究ではさらなるAIの可能性を拓くべく,ある程度決まった形態を有する“粒子”に対してではなく,より不確かさの大きな“粒子の集合体”に対して,AIによる自動分類技術の適用を目指した.対象としたのは,スミアスライドを用いた堆積物の岩相判別である.これは,特に細粒な未固結堆積物の岩相記載を行う上で必要不可欠な作業工程であるにもかかわらず,多大な人的リソースが必要であり,判別基準にも少なからず個人差が生じ得る.このスミアスライドの岩相判別をAIによって自動化することで,判別にかかる人的リソースの削減やより統一的な判別基準の実現が期待される.
AIによる自動岩相判別モデルの作成にあたっては,中新世の日本海深海堆積物コアから作成したスミアスライドを使用した.これは,堆積物の岩相変化が珪藻軟泥~粘土と比較的単純であり,AIモデルの検証に最適であると判断したためである.スミアスライドは,2024年7月に実施されたリポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)ReC23-03「中新世日本海の古気候と古海洋」にて,国際深海科学掘削計画(IODP)および国際深海掘削計画(ODP)サイトU1430,U1425,794,797の日本海深海堆積物コアから,計536枚を本研究用に作成した.スミアスライドはバーチャルスライドスキャナーNanoZoomer S360(浜松ホトニクス)を用いて画像化し,約0.9 mm四方のタイル画像に切り分けたものをAI自動岩相判別の対象物とした.このうちU1430 Hole Aから作成された106枚のスライド(38,288枚のタイル画像)を教師データとし,AI分類モデル作成ソフトウェアGSJ Particle Analyzer(宮川ほか, 2024)を用いて,clay,diatomaceous clay,clayey diatom ooze,diatom ooze,tephraの5つの岩相を判別するAIモデルの構築を行った.
完成したAI自動岩相判別モデルは,学習に使用していない検証用教師データでの正答率が90%を超えた.また,1枚のスミアスライドから分割した全タイル画像の分類結果に基づいてスライドレベルでの岩相判別精度を検証したところ,教師データに使用したU1430 Hole Aのスミアスライド106枚の岩相判別に100%成功した.また,未学習のU1430 Hole Bのスミアスライド152枚でも検証を行い,正答率は90%に達した.さらに,U1430の2ホールでのAI自動判別結果を深度方向に描画することで,このAIモデルがスミアスライドを用いたホール間岩相対比を可能にする水準に達していることが確認された.今後,他のサイト(U1425,794,797)で作成したスミアスライドに対しても検証を行い,このAIモデルを用いたサイト間岩相対比の可能性についても検討していく.
また,本研究では日本海の深海堆積物の岩相判別に特化したAI自動判別モデルを作成したが,様々な岩相を網羅した教師データを揃えることで,将来的には全世界の海洋性堆積物を対象としたより網羅的なAI自動岩相判別モデルの作成も可能になるだろう.
本研究ではさらなるAIの可能性を拓くべく,ある程度決まった形態を有する“粒子”に対してではなく,より不確かさの大きな“粒子の集合体”に対して,AIによる自動分類技術の適用を目指した.対象としたのは,スミアスライドを用いた堆積物の岩相判別である.これは,特に細粒な未固結堆積物の岩相記載を行う上で必要不可欠な作業工程であるにもかかわらず,多大な人的リソースが必要であり,判別基準にも少なからず個人差が生じ得る.このスミアスライドの岩相判別をAIによって自動化することで,判別にかかる人的リソースの削減やより統一的な判別基準の実現が期待される.
AIによる自動岩相判別モデルの作成にあたっては,中新世の日本海深海堆積物コアから作成したスミアスライドを使用した.これは,堆積物の岩相変化が珪藻軟泥~粘土と比較的単純であり,AIモデルの検証に最適であると判断したためである.スミアスライドは,2024年7月に実施されたリポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)ReC23-03「中新世日本海の古気候と古海洋」にて,国際深海科学掘削計画(IODP)および国際深海掘削計画(ODP)サイトU1430,U1425,794,797の日本海深海堆積物コアから,計536枚を本研究用に作成した.スミアスライドはバーチャルスライドスキャナーNanoZoomer S360(浜松ホトニクス)を用いて画像化し,約0.9 mm四方のタイル画像に切り分けたものをAI自動岩相判別の対象物とした.このうちU1430 Hole Aから作成された106枚のスライド(38,288枚のタイル画像)を教師データとし,AI分類モデル作成ソフトウェアGSJ Particle Analyzer(宮川ほか, 2024)を用いて,clay,diatomaceous clay,clayey diatom ooze,diatom ooze,tephraの5つの岩相を判別するAIモデルの構築を行った.
完成したAI自動岩相判別モデルは,学習に使用していない検証用教師データでの正答率が90%を超えた.また,1枚のスミアスライドから分割した全タイル画像の分類結果に基づいてスライドレベルでの岩相判別精度を検証したところ,教師データに使用したU1430 Hole Aのスミアスライド106枚の岩相判別に100%成功した.また,未学習のU1430 Hole Bのスミアスライド152枚でも検証を行い,正答率は90%に達した.さらに,U1430の2ホールでのAI自動判別結果を深度方向に描画することで,このAIモデルがスミアスライドを用いたホール間岩相対比を可能にする水準に達していることが確認された.今後,他のサイト(U1425,794,797)で作成したスミアスライドに対しても検証を行い,このAIモデルを用いたサイト間岩相対比の可能性についても検討していく.
また,本研究では日本海の深海堆積物の岩相判別に特化したAI自動判別モデルを作成したが,様々な岩相を網羅した教師データを揃えることで,将来的には全世界の海洋性堆積物を対象としたより網羅的なAI自動岩相判別モデルの作成も可能になるだろう.