日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI28] 地球掘削科学

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:北村 真奈美(産業技術総合研究所)、岡崎 啓史(広島大学先進理工系科学研究科地球惑星システム学プログラム)、浦本 豪一郎(高知大学)、井尻 暁(神戸大学)

17:15 〜 19:15

[MGI28-P05] 幌満かんらん岩体での掘削と炭素注入プロジェクト計画

*片山 郁夫1石丸 聡子2市原 寛3桑谷 立4纐纈 佑衣3西山 直毅5諸野 祐樹6道林 克禎3森下 知晃7 (1.広島大学、2.熊本大学、3.名古屋大学、4.海洋研究開発機構、5.産業技術総合研究所、6.海洋研究開発機構高知コア研究所、7.金沢大学)

キーワード:幌満かんらん岩体、マントル掘削、炭素注入、炭素循環、炭素地中固定

私たちは,フィールドスケールでのカンラン岩と炭素の反応実験を通じたマントル中の炭素固定プロセスの解明を目的に,幌満かんらん岩体での掘削と炭素注入試験を計画している。本発表では,そのプロジェクト(計画)の概要について紹介させていただく。
海洋底掘削試料やオフィオライトでは,玄武岩ならびにかんらん岩の炭酸塩化が普遍的に見られ,それら岩石に吸収される炭素はグローバルな炭素循環にも影響を及ぼしていると考えられる。また,これら塩基性岩や超塩基性岩は,炭素を鉱物として固定化する能力をもつことから,二酸化炭素の地中処分の面からも注目されている。そこで本プロジェクトでは,幌満かんらん岩体での掘削による連続コアサンプリングと,掘削坑を用いた炭素注入試験を計画する。マントルへの炭素注入試験は,2024年からUAEとカナダで開始されているが,これらは強く変質した蛇紋岩を対象としているのに対し,幌満かんらん岩体は変質を受けていない新鮮な岩石で特徴づけられる。そのため,これらを比較することで,かんらん岩と炭素流体のよる反応プロセスや速度論に対する変質の効果や,フィールドスケールと実験室スケールでの対比が可能となる。
現地での掘削は100m深度の 2本を実施し,炭素流体を注入する注入井と炭素流体の移動や炭酸塩化反応を評価するモニタリング井とする。掘削によって得られるコア試料の解析によって水みちとして働く割れ目系を同定し,その周辺をパッカーによって坑内シールし炭素流体を注入する。ポンプによる注入圧力は1MPa程度とし,この過剰圧が流体移動の駆動力となり,炭素を含んだ流体が注入井から周辺部へ移動すると期待される。炭素流体の注入後は,地震波速度や電気比抵抗を連続的にモニタリングするのに加え,掘削坑から採水する流体組成を連続的に計測する。流体の拡散が進行すると地震波速度や電気比抵抗が低下し,化学反応が進行すると流体のpHや溶存無機炭素量の変化が起こると期待される。これらの地球物理化学マルチデータの時系列変化を,数理・情報科学的なアプローチによって解析し,マントル中での炭素固定反応のモニタリングを実施する。