日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] 計算科学が拓く宇宙惑星地球科学

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:大淵 済(神戸大学)、牧野 淳一郎(国立大学法人神戸大学)、亀山 真典(国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、堀田 英之(名古屋大学)

17:15 〜 19:15

[MGI30-P04] 多項式外挿による反復解法の初期値推定の高度化: マントル対流3次元シミュレーションの収束性強化に向けて

*水谷 颯人1亀山 真典1 (1.国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

キーワード:反復解法、ラグランジュ補間、マントル対流

反復解法とは、非線形な方程式あるいは (線形でも) 連立一次方程式を解くのに使われる数値計算法の1つである。マントル対流の3次元シミュレーションでは高粘性かつ非圧縮 (あるいは非弾性) 流体の各時刻での流れ場を記述する (大規模) 連立一次方程式の解法として用いられているのだが、この部分にシミュレーション全体の計算時間の9割以上が消費されているのが実状である。本研究では、マントル対流シミュレーションの計算時間の短縮に役立てることを念頭に、簡単な「データ駆動型」手法によって反復解法の計算コストの低減を試みる。

現時刻 t0 におけるデータ f0 (および過去の時刻におけるデータ) が既知とし、1つ未来の時刻 t1 におけるデータ f1 を求める反復解法を考える。もし真の解に近い値 F1 がうまく推定できれば、F1 を初期値としてスタートした反復解法は少ない手間で真の解に到達することが期待される。そこで本研究では、多項式を用いた外挿により F1 を推定することを提案する。具体的には、現時刻 t0 での値 f0 に加えて、いくつかの過去の時刻における値 (f-1,f-2, など) を必要な個数だけ用いたラグランジュ補間多項式を構築し、この多項式を t=t1 まで外挿して得られる値を F1にとる。

本研究で提案する初期値推定法の効果を調べるために、3次元箱型マントル対流シミュレーションを用いて検証実験を行った。その結果、1次関数や2次関数による外挿で初期値を推定した場合では、外挿によらずに初期値を与えた場合と比べて、収束に至るまでの反復回数が半分程度にまで減らせることが分かった。この両者の収束性を細かく比較すると、1次関数外挿の場合には流れ場の時間変化が大きい状況では収束に要する反復回数が増えてしまっているのに対して、2次関数外挿の場合には常にほぼ同じ程度の反復回数で解が得られていた。さらに3次以上の高次の多項式で外挿を行った場合には、収束性はかえって劣化してしまうことも分かった。これは高次の補間多項式では絶対値の大きな係数が登場することで、予測を阻害する成分(エラー)が過度に拡大されてしまったことが原因と考えられる。