日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] 計算科学が拓く宇宙惑星地球科学

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:大淵 済(神戸大学)、牧野 淳一郎(国立大学法人神戸大学)、亀山 真典(国立大学法人愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、堀田 英之(名古屋大学)

17:15 〜 19:15

[MGI30-P06] 巨大衝突段階の惑星形成を予測する機械学習モデルの作成

*石田 侑一郎1,2小久保 英一郎2,1 (1.東京大学、2.国立天文台)


キーワード:惑星形成、N体計算、機械学習

現在の標準的な地球型惑星形成モデルには、主に2つの問題が存在する。1つ目は観測された系外惑星の分布の多様性を十分に説明できていない問題である。2つ目は観測されている系外惑星系のほとんどは進化した惑星系で、進化途中の観測例が数例しかないため、惑星形成モデルの物理過程を検証できない問題である。そのため、これらの問題の解決を目的の一つとする、惑星分布生成モデルが開発されている (e.g., Ida & Lin 2004, Mordasini et al. 2009, Kimura & Ikoma 2020) 。惑星分布生成モデルは高速化のために各惑星形成段階での惑星の進化の経験式を作成し、ダストから巨大衝突段階後までの惑星系の進化を計算するモデルであり、原始惑星系円盤から巨大衝突段階までの惑星形成過程について多様な初期条件から統計的な研究が可能である。

 惑星分布生成モデルの巨大衝突段階は、経験式あるいはN体シミュレーションを利用して計算されてきた。しかし、惑星分布生成モデルの巨大衝突段階は経験式を用いると高速だがパラメータにより正しくない結果となる問題 (Kimura et al. in prep.) 、N体シミュレーションを用いると計算精度が高いが時間がかかる問題がある。一方、近年巨大衝突段階のN体シミュレーションを機械学習で代替する研究がなされている。機械学習はN体シミュレーションに近い精度で、N体シミュレーションより4 桁短い時間で惑星系の最終状態を予測できる (Lammers et al. 2024) 。しかし、機械学習モデルに組み込まれている、衝突する原始惑星の組を予測するモデルの正解率が現状60%程度に留まり、巨大衝突段階を経て形成する惑星系の性質を調べるには不十分である。

 本研究では結果の統計的な正確さを保ちつつ実行時間を短縮することを可能にするため、巨大衝突段階のN体シミュレーションの結果から惑星の軌道進化や質量を予測する機械学習モデルを作成することを目標として、衝突する惑星を予測するニューラルネットワークを作成する。それにより、巨大衝突段階の計算精度を保ったまま惑星分布生成モデルによるパラメータサーベイを可能にし、惑星形成モデルの物理過程の検証および系外惑星の多様性の説明を可能とする。発表では機械学習モデルの予測結果や作成過程について詳しく議論する。