17:15 〜 19:15
[MGI31-P01] 大気シミュレーションのPINNs によるサロゲートモデルの評価
大気シミュレーションを行う場合、一般的な手法として有限要素法に代表されるような数値シミュレーション手法が利用されてきた。このような数値的手法を用いて大気シミュレーションを実行し、地球上の大気循環の再現が行われてきた。こうした数値シミュレーション手法を用いて、シミュレーションの精度を向上するためには、空間および時間的な解像度を上げなければならない。そして、これは計算量が大幅に増大し、多大な時間を要することを意味する。近年、シミュレーションを高速に行うために、ニューラルネットなどの機械学習を用いて代理モデル(サロゲートモデル) を作成する試みが行われている。しかしながら、そのような機械学習モデルは物理現象の法則を満たしているという保証がないことや、学習のために必要とする訓練データを確保するコストが高いなどの欠点が指摘されている。
この機械学習モデルを物理シミュレーションに用いる上での課題を克服するモデルとして、Physics-informed Neural Networks (PINNs) が提案されている。PINNs は、一般的なニューラルネットのロス関数に、偏微分方程式や境界条件といった形態で表される物理現象の支配方程式を組み込むことで、物理法則を担保した機械学習の手法の一種である。この手法は、物理法則を担保することや、原理的には物理量の初期分布だけで学習することが可能であるなどの利点を持つ。本研究では、ニューラルネットとPINNs の手法を大気シミュレーションに適用し、比較することでPINNs が大気シミュレーションのサロゲートモデルとなり得るのかを検討する。
PINNs とニューラルネットのモデルを実装として、どちらのモデルも、球座標や日時に関する変数そしてシミュレーション開始からの経過時間を入力として、合計で9 層の隠れ層を経て、4 つの物理量を出力する。出力する物理量は、東西風、南北風、気圧、温度である。ニューラルネットでは正解データとの誤差損失のみを用い、PINNs ではそれに加えて、東西風、南北風、大気密度、そして温度の4 つの物理量に関する物理損失と境界条件損失を損失関数に組み込んだ。物理損失に用いられる偏微分方程式は、一部を変更したものを用いた。そして、訓練時の正解データとして全球大気数値シミュレーションモデルを用いて出力された南北64 グリッド東西128 グリッドの地表面の物理量データを1 時間ごとに2 日分用意し、ニューラルネットで学習した。PINNs ではこれに加えて、正解データを与えていない2 日間での物理損失も用いて学習を進めた。また、PINNs では、学習の途中から物理損失が損失関数に組み込まれる方法を採用した。検証として、訓練データに続く2 日分のデータを出力して正解データと比較した。
訓練では、ニューラルネット、PINNs ともに誤差損失において十分な学習が行われたことが確認できた。また、PINNs での物理損失でも、損失が低下していることが確認できた。その後、検証用のデータを使い評価したが、PINNs がニューラルネットと比べて精度面で優れているとは言えなかった。具体的には、気圧を除く3 つの物理量ではニューラルネットから結果の改善が見られなかった。また、PINNs からの東西風と南北風の出力では、一様な分布に収束していく様子も確認できた。原因として、物理損失に含めていない摩擦の影響や、地表面のみでの学習であるため空間変数での偏微分が不正確であることや、学習において初期分布からの情報が物理損失を通じてうまく時間発展方向に伝達されなかったことなどが挙げられる。
この機械学習モデルを物理シミュレーションに用いる上での課題を克服するモデルとして、Physics-informed Neural Networks (PINNs) が提案されている。PINNs は、一般的なニューラルネットのロス関数に、偏微分方程式や境界条件といった形態で表される物理現象の支配方程式を組み込むことで、物理法則を担保した機械学習の手法の一種である。この手法は、物理法則を担保することや、原理的には物理量の初期分布だけで学習することが可能であるなどの利点を持つ。本研究では、ニューラルネットとPINNs の手法を大気シミュレーションに適用し、比較することでPINNs が大気シミュレーションのサロゲートモデルとなり得るのかを検討する。
PINNs とニューラルネットのモデルを実装として、どちらのモデルも、球座標や日時に関する変数そしてシミュレーション開始からの経過時間を入力として、合計で9 層の隠れ層を経て、4 つの物理量を出力する。出力する物理量は、東西風、南北風、気圧、温度である。ニューラルネットでは正解データとの誤差損失のみを用い、PINNs ではそれに加えて、東西風、南北風、大気密度、そして温度の4 つの物理量に関する物理損失と境界条件損失を損失関数に組み込んだ。物理損失に用いられる偏微分方程式は、一部を変更したものを用いた。そして、訓練時の正解データとして全球大気数値シミュレーションモデルを用いて出力された南北64 グリッド東西128 グリッドの地表面の物理量データを1 時間ごとに2 日分用意し、ニューラルネットで学習した。PINNs ではこれに加えて、正解データを与えていない2 日間での物理損失も用いて学習を進めた。また、PINNs では、学習の途中から物理損失が損失関数に組み込まれる方法を採用した。検証として、訓練データに続く2 日分のデータを出力して正解データと比較した。
訓練では、ニューラルネット、PINNs ともに誤差損失において十分な学習が行われたことが確認できた。また、PINNs での物理損失でも、損失が低下していることが確認できた。その後、検証用のデータを使い評価したが、PINNs がニューラルネットと比べて精度面で優れているとは言えなかった。具体的には、気圧を除く3 つの物理量ではニューラルネットから結果の改善が見られなかった。また、PINNs からの東西風と南北風の出力では、一様な分布に収束していく様子も確認できた。原因として、物理損失に含めていない摩擦の影響や、地表面のみでの学習であるため空間変数での偏微分が不正確であることや、学習において初期分布からの情報が物理損失を通じてうまく時間発展方向に伝達されなかったことなどが挙げられる。