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[MGI31-P05] CVAとランダムフォレストを用いた斜面崩壊地自動抽出手法の精度評価

キーワード:斜面崩壊、Change Vector Analysis、Random Forest、自動判読、特徴選択
斜面崩壊は,斜面の土砂や岩石がすべり落ちる現象であり,防災・都市計画・土地開発などの地質学的問題の解決を目的に,斜面崩壊地の分布図が作成される.一般的に,崩壊地は航空写真や人工衛星画像を用いて目視により判読される.しかし,目視による判読には多くの時間と労力がかかると共に,判読者の経験や解釈に相違があり客観性や再現性に問題がある.そのため,機械学習を用いた斜面崩壊地自動抽出手法の開発が求められている.従来,地形情報を用いた斜面崩壊地の抽出モデルでは,斜面崩壊の力学的特性に着目し,それらに対応した地形量が学習の入力データとして用いられてきた.しかし,機械学習において,斜面崩壊地を識別するための重要な学習特徴量はわかっていない.また,斜面崩壊の特性を理解するには,位置や規模だけでなく崩壊地の滑落崖や移動体などの形態的特徴を調査する必要がある.そこで,本研究では,Change Vector Analysis (CVA)とランダムフォレスト分類器(RFC)を用いて,斜面崩壊地自動抽出モデルを構築し,斜面崩壊地の滑落崖と移動体を分類して抽出すると共に,モデルの精度検証と学習特徴量の評価を行った.CVAは,2つのペア画像における2時期の変化を算出する手法で,ペア画像をxy座標空間にプロットすることで,2時期の時間変化をベクトルとして表現することができる.RFCは機械学習手法のひとつで,決定木を組み合わせて学習するモデルで,複数の決定木を並列に並べ多数決を取ることで,分類する手法である.本研究では,斜面崩壊前後の数値標高モデル(DEM)とDEMから算出した地形量でペア画像の組を作成し,CVAで解析した.算出された変化ベクトルの強度と角度をRFCの学習特徴量として用いた.RFCで滑落崖,移動体,非崩壊地に分類することにより,滑落崖と移動体を抽出した.
抽出対象崩壊地は,2014年兵庫県丹波市で豪雨により発生した斜面崩壊である.斜面崩壊の前後に実施された航空レーザ測量データから1 m DEMを生成し,地形量を算出した.算出した地形量は,傾斜角,傾斜方位,ラプラシアン,地形面の法線ベクトル,法線ベクトルの分散,地形分類,地形の凹凸,地形収束指数である.航空レーザ測量の結果から目視により判読された斜面崩壊地を教師データとして使用した.
斜面崩壊地をCVAで解析した結果,非崩壊地はベクトルの強度の低い値に集中しており,滑落崖と移動体は強度の強い領域においても分布している傾向があった.また,滑落崖はベクトルの角度が一定の値に集中して存在していた.このことは,崩壊地の有無の識別にはベクトルの強度が有用であり,形態的特徴の識別にはベクトルの角度が有用であることを示唆する.構築したモデルの精度をκ係数により評価したところ,0.75を示し実質的な一致であった.しかし,土石流化した崩壊地において土砂が流下した領域や斜面の中腹部において,誤判読が確認された.
斜面崩壊地を識別する重要な特徴量を確認するために,構築したRFCの抽出モデルにおける各特徴量の寄与率を求めた.その結果,地形面の法線ベクトルとその分散のペア画像におけるベクトルの角度が最も高い値を示した.次に,標高とラプラシアンにおけるベクトルの強度,標高と傾斜角におけるベクトルの角度の順であった.このことから,地形量の内,幾何的情報が抽出において重要であることがわかった.さらに,高い寄与率を示した特徴量とモデルの依存関係を調査した.法線ベクトルとその分散(角度)では,角度が100°未満で学習に寄与しており,100°以上では学習にほとんど寄与しなかった.標高とラプラシアン(強度)では,いずれの値でも一定の寄与率を示した.標高と傾斜角(強度)では,5以下は学習に寄与しておらず,5~10で増加し,10以上で大きく寄与していることがわかった.このことから,法線ベクトルとその分散のペア画像や標高と傾斜角のペア画像など学習特徴量の一部では,特定の情報しか学習モデルに影響を与えていないことがわかった.このことは,重要とされた学習特徴量において,すべての情報が重要ではないことを示している.機械学習モデルの単純化と堅牢性を高めるためには,学習に使用された特徴量のしきい値にも着目して,特徴量の選別を行う必要がある.
今後は,最良な学習特徴量の組み合わせを調査すると共に,他の機械学習手法を用いることで斜面崩壊地の抽出精度向上を検討する必要がある.
抽出対象崩壊地は,2014年兵庫県丹波市で豪雨により発生した斜面崩壊である.斜面崩壊の前後に実施された航空レーザ測量データから1 m DEMを生成し,地形量を算出した.算出した地形量は,傾斜角,傾斜方位,ラプラシアン,地形面の法線ベクトル,法線ベクトルの分散,地形分類,地形の凹凸,地形収束指数である.航空レーザ測量の結果から目視により判読された斜面崩壊地を教師データとして使用した.
斜面崩壊地をCVAで解析した結果,非崩壊地はベクトルの強度の低い値に集中しており,滑落崖と移動体は強度の強い領域においても分布している傾向があった.また,滑落崖はベクトルの角度が一定の値に集中して存在していた.このことは,崩壊地の有無の識別にはベクトルの強度が有用であり,形態的特徴の識別にはベクトルの角度が有用であることを示唆する.構築したモデルの精度をκ係数により評価したところ,0.75を示し実質的な一致であった.しかし,土石流化した崩壊地において土砂が流下した領域や斜面の中腹部において,誤判読が確認された.
斜面崩壊地を識別する重要な特徴量を確認するために,構築したRFCの抽出モデルにおける各特徴量の寄与率を求めた.その結果,地形面の法線ベクトルとその分散のペア画像におけるベクトルの角度が最も高い値を示した.次に,標高とラプラシアンにおけるベクトルの強度,標高と傾斜角におけるベクトルの角度の順であった.このことから,地形量の内,幾何的情報が抽出において重要であることがわかった.さらに,高い寄与率を示した特徴量とモデルの依存関係を調査した.法線ベクトルとその分散(角度)では,角度が100°未満で学習に寄与しており,100°以上では学習にほとんど寄与しなかった.標高とラプラシアン(強度)では,いずれの値でも一定の寄与率を示した.標高と傾斜角(強度)では,5以下は学習に寄与しておらず,5~10で増加し,10以上で大きく寄与していることがわかった.このことから,法線ベクトルとその分散のペア画像や標高と傾斜角のペア画像など学習特徴量の一部では,特定の情報しか学習モデルに影響を与えていないことがわかった.このことは,重要とされた学習特徴量において,すべての情報が重要ではないことを示している.機械学習モデルの単純化と堅牢性を高めるためには,学習に使用された特徴量のしきい値にも着目して,特徴量の選別を行う必要がある.
今後は,最良な学習特徴量の組み合わせを調査すると共に,他の機械学習手法を用いることで斜面崩壊地の抽出精度向上を検討する必要がある.