日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS02] 地球科学としての海洋プラスチック

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:許 浩東(東京大学)、Irfan Tahira(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University)、樋口 千紗(九州大学応用力学研究所)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、座長:許 浩東(東京大学)、Tahira Irfan(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University)、樋口 千紗(九州大学応用力学研究所)


09:30 〜 09:45

[MIS02-03] 発泡スチロールの微細化に及ぼす砂の性状の影響

*佐川 奈緒1、市川 恭子1、古川 紘子1日向 博文1 (1.愛媛大学)

キーワード:マイクロプラスチック微細化過程、サイズ分布、形状解析、プロトコルの開発

発泡スチロール(FPS)は、耐摩耗性が低く、特に海岸では小さな破片へと容易に微細化する。プラスチックの室内微細化実験が行われているが、生成粒子の個数と形状の両方を定量的に評価した研究はない。本研究では、FPS破片と親FPS球体のサイズ分布及び形状解析を行い、FPSマイクロプラスチックの微細化モードを解明するためのプロトコルを開発した。さらに、3種類の砂を選定した実験を行い、FPS微細化モードに対する砂の性状の影響を評価した。
微細化実験は基本ケースと比較ケースに分けて実施し、砂,水,新品FPS球体をポットミルにより混合することで、FPSの微細化を促進した。基本ケースでは、2023年に広島湾の厳島前浜で採取した海砂を使用した。ポットミルの回転時間を6時間,12時間,1日,2日,3日,5日,10日とする7ケースで実験を行った。比較ケースでは、2023年に厳島で採取した海砂に加え、同海岸で2024年に採取した海砂と川砂を使用した。砂の特性を把握するため、粒度分布,円形度,安息角を解析した。中央粒径は、2023年に採取した海砂と川砂で同程度(約1.4 mm)であり、2024年に採取した海砂(約0.85 mm)よりも大きかった。川砂は円形度が最も高く、丸みを帯びていた。安息角は大きい順に2023年に採取した海砂,2024年に採取した海砂,川砂であった。比較ケースでは、各種類の砂及び水,新品FPS球体を10日間混合した。
基本ケースでは時間発展を追跡することにより、2つのFPS微細化モードを特定した。1つは大きさが5~100 µmの生成FPS片(サイズクラス 1)が支配的であり、もう1つは大きさが200~1000 µmの生成FPS片(サイズクラス 2)が支配的であった。サイズクラス1は比較ケースにおいても全てのケースで出現したが、サイズクラス2は2023年に採取した海砂以外では見られなかった。ゆえに、微細化モードは砂の性状によって異なることが明らかになった。安息角が大きい海砂はポットミルの回転で凝集し、塊となった状態でFPSと衝突する可能性が高い。また、中央粒径が大きいほどFPS球体の微細化が促進されると考えられる。
砂の性状によって微細化モードが異なることは、マイクロプラスチックが漂着する海岸とその場所(前浜または後浜)により、生成されるマイクロプラスチックの個数やサイズが異なる可能性を示唆している。今後の実験では、砂の性状,プラスチックのポリマータイプや劣化状態,ポットミルの回転速度などを変更する必要がある。