日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS02] 地球科学としての海洋プラスチック

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:許 浩東(東京大学)、Irfan Tahira(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University)、樋口 千紗(九州大学応用力学研究所)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、座長:許 浩東(東京大学)、Tahira Irfan(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University)、樋口 千紗(九州大学応用力学研究所)


10:15 〜 10:30

[MIS02-06] マイクロプラスチックの長期堆積フラックスの変動要因の解析:沈降モデルによるアプローチ

*笠毛 健生1、江島 雅俊1日向 博文1 (1.愛媛大学大学院理工学研究科)

キーワード:マイクロプラスチック、沈降過程、生物付着、長期変動、一次元粒子沈降モデル

プラスチック廃棄物は、環境中で熱や紫外線によって微細化し、5mm以下となったものはマイクロプラスチック(MP)と呼ばれる。プラスチック廃棄物は主に河川を経由して陸域から海域に流出し、微細化ののちにその多くは沈降し、海底に堆積することが報告されている.この沈降要因の1つとして,バイオフィルム形成による密度増加が近年着目されている。Hinata et al.(2023)は、別府湾海底におけるMPの堆積フラックスに長期的な線形増加成分と20年周期の増減変動が見られることを報告した。MP堆積フラックスとクロロフィルaの堆積フラックスの経年変動の間に正の相関が見られ、植物プランクトンが増殖しやすい環境ではMPの堆積フラックスが増加するという可能性が示された。本研究では、別府湾におけるMP長期堆積フラックスの経年変動を数値モデルにより再現し、変動要因について分析した。
数値シミュレーションには鉛直一次元のMP粒子沈降モデルを用いた、本モデルは、Kooi et al. (2017)の提案した、MP粒子表面に藻類が付着することで粒子全体の密度が増加し、それが海水密度を超えると沈降を開始するモデルをベースにしている。構築したモデルを用いて、1960年~2017年の各年の夏・秋における海水温や栄養塩濃度、クロロフィルa濃度を入力条件として、MP粒子が海底に到達するのに要する時間を算定した。MP粒子の海底到達時間と,別府湾へのプラスチック流入量や湾内滞留時間を基に各年のMP粒子の海底到達数を求めた。
構築したモデルにより、Hinata et al.(2023)が示した別府湾のMP堆積フラックスの経年変動を良好に再現した。また、数値モデルによる感度解析により、20年周期変動には栄養塩濃度と海水の湾内滞留時間が寄与していることを確認した。また、別府湾の栄養塩濃度や滞留時間の変化には太平洋10年周期振動(PDO)が関わっている可能性があり、ローカススケールのMP粒子の沈降に、全球規模の大規模循環が影響していることが示唆された。