日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS02] 地球科学としての海洋プラスチック

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:許 浩東(東京大学)、Irfan Tahira(Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University)、樋口 千紗(九州大学応用力学研究所)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)


17:15 〜 19:15

[MIS02-P08] 海岸漂着ごみ検出AIのためのデジタルツインを用いた学習データ自動作成システム

*桑田 想大1加古 真一郎1,2杉山 大祐2,1日髙 弥子1,2松岡 大祐2,1 (1.鹿児島大学大学院理工学研究科、2.海洋研究開発機構)


キーワード:海岸漂着ごみ、深層学習、物体検出、デジタルツイン、ドローン、ゲームエンジン

海岸漂着ごみ問題に対して有効な対策を講じるには、海ごみを効率的に観測・定量化する手法の確立が必要である。Hidaka et al. (2022) は、深層学習手法の一つであるセマンティック・セグメンテーションを用いて、海岸漂着ごみを検出・定量化可能なモデルを構築した。しかし、この手法では、海岸画像の各ピクセルを手作業で事前に指定したクラスの色に塗り分けることで学習データを作成しており、3,500枚の学習データの作成に約4か月を要した。そこで我々は、ドローンで取得した点群データとゲームエンジンを活用し、学習データを自動生成する新たな手法を提案し、その有用性と課題を検証した (桑田ら, JpGU2024)。その結果、学習データの自動生成により作成時間が大幅に削減され、人工ごみの検出性能の高さは示すことができたものの、自然ごみや植生といった特定のクラスの検出性能が極端に低いという課題が残った。そこで本研究ではその課題を解決するために、学習データの自動作成手法を「検出対象のクラス」と「仮想モデルの配置」の観点から再検討した。従来の我々の手法では、Hidaka et al. (2022) と同様に、人工ごみ、自然ごみ、砂浜、海、空、植生、構造物、背景の8クラスを検出対象としていた。人工ごみについては一定の検出性能を示したが、自然ごみや植生などのクラスでは十分な検出性能が得られなかった。そこで本研究では、検出が困難なクラスを他のクラスへ統合し、最適なクラスの組み合わせを検討することで、検出性能の向上を試みた。これに加えて、ゲームエンジン上に展開する仮想海岸について再検討を行った。従来の我々の手法では、ドローンで取得した点群データに面を付与し、ゲームエンジン上に仮想海岸として配置していた。しかし、面を付与する過程で元の点群データとの間に誤差が生じていた。そこで本研究では、点群データを直接取り込み、モデルの検出性能への影響を検証した。さらに、仮想海岸上に配置する仮想ごみについても、Carmen et al. (2021) の結果を基に、より実際の環境に即した仮想ごみを作成し、検出性能の向上を図った。これらの改良を加えた検出モデルとHidaka et al. (2022) の検出モデルを比較するため、富山県六渡寺海岸の画像を用いて、IoU、recall、precision による性能評価を行った。さらに、六渡寺海岸とは異なる環境である島根県三津海岸にも適用し、本手法の汎用性を検証した。その結果、六渡寺海岸に加えて三津海岸についても、人工ごみに対して一定の検出性能を示すことができた。