日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS03] Wetland ecosystems under pressure, impacts on the environment and social activities

2025年5月28日(水) 09:00 〜 10:30 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Payandi-Rolland Dahedrey(Tokyo Metropolitan University)、川東 正幸(東京都立大学)、Myangan Orgilbold Myangan、座長:川東 正幸(東京都立大学)、Orgilbold Myangan MyanganDahedrey Payandi-Rolland(Tokyo Metropolitan University)


10:00 〜 10:15

[MIS03-05] Lake and drained lake basin system in central Yakutia of Eastern Siberia

*飯島 慈裕1阿部 隆博2齋藤 仁3、朴 昊澤4檜山 哲哉3 (1.東京都立大学都市環境学部地理環境学科、2.三重大学大学院生物資源学研究科、3.名古屋大、4.海洋研究開発機構)

キーワード:永久凍土、サーモカルスト、水文変化、流路化

北極圏の永久凍土帯では、気候変動に伴う地表付近の永久凍土層の融解による地形沈降現象(サーモカルスト)が顕著に現れている。近年、この地形変化が、ツンドラにおいてサーモカルストの多角形(ポリゴン)の微地形の谷に沿って水路網を発達させ、水文学的プロセスを大きく変化させる可能性が指摘されている。また、沈降が進んだ凹地内には湿地や小湖沼が形成される(サーモカルスト湖)。この水域が水平方向に成長していくと、お互いに近接した湖同士が側方侵食によって崩壊・結合し、最終的には谷となって排水される。これらの湖沼化、水路化、排水にいたる過程は、永久凍土帯の水資源、生態系に大きな変化をもたらすものとして、「Lake and drained lake basin system」 として近年注目されている。本研究は、この流路化プロセスが生じようとしている永久凍土地域の事例として、東シベリアのレナ川中流域での地形解析を行った。
サーモカルスト湖が密集する地域において、可視画像からは、直径100m以下の小さい水域が形成されているが、側方侵食による湖の結合は現状では小規模に留まっていた。一方、地形解析からは、凹地形が数珠状にならび、谷が流路状に結合しうる関係で発達している様子が確認された。可視画像のみでは水域の繋がる方向や将来の流路方向は判別できないため、地形解析を組合わせることで、将来の流路の方向が推定可能となることが示唆される。
2000年以降、東シベリアでは気候変化影響が顕著になり、多くの場所でサーモカルスト湖が成長・拡大している。すなわち現在は地表面に水域が拡大するフェーズといえる。今後、融解の進行でサーモカルスト湖がさらに拡大し、結合と流路化が進展すると、この地域でも流出と乾燥化を引き起こすと予想される。これは生態学的・水文学的プロセスの不可逆的な進化と関連する可能性が高いため、時空間変動の評価が必要である。