日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS06] Evolution and variability of the Tropical Monsoon and Indo-Pacific climate during the Cenozoic Era

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松崎 賢史(東京大学 大気海洋研究所)、佐川 拓也(金沢大学理工研究域)、Ho Sze Ling(Institute of Oceanography, National Taiwan University)、Gallagher Stephen J(University of Melbourne)

17:15 〜 19:15

[MIS06-P09] XRFコアスキャナーデータを活用した中新世テフラの対比:日本海ReCoRDプロジェクトのサイト間対比への活用

*関 有沙1入野 智久2多田 隆治3松崎 賢史4吉岡 純平5 (1.信州大学 理学部、2.北海道大学 大学院地球環境科学研究院、3.千葉工業大学 地球学研究センター、4.東京大学 大気海洋研究所、5.産業技術総合研究所 地質情報研究部門)

キーワード:IODP Exp. 346、ODP Leg 127、リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)、テフラ、年代モデル、日本海

日本海ReCoRDプロジェクト(ReC23-03:中新世日本海の古気候と古海洋)では、地球温暖化後の気候予測に貢献することを目標に、現在よりも暖かい気候であった中新世における短い時間スケールの古気候・古海洋変動を復元することを目的としている。本プロジェクトでは1989年のODP Leg 127で3地点(794地点・795地点・797地点)から、2013年のIODP Exp.346で2地点(U1425地点・U1430地点)から掘削された日本海中新世堆積物コア試料を既存研究よりも高時間解像度で分析し、古海洋・古気候復元を行う。特に、約10.8Maに南シナ海で報告されている温暖化イベント、Tortonian Thermal Maximumや、平行葉理堆積物に記録された数百年〜千年スケールの変動に着目している。日本海堆積物は遠洋性の堆積物と比較して堆積速度が速く、Tortonian Thermal Maximumのような持続期間が20万年以下の気候イベントも記録していると考えられるが、既存研究では数十万年間隔の分析が主であり、短期的なイベントを検出できる解像度の分析は行われてこなかった。同様に、mm以下の層が数m〜十数mに渡って連続的に見られる平行葉理堆積物の層準に関しても詳細な研究は行われてこなかった。
本プロジェクトで対象としている5地点の中新世日本海堆積物の年代モデルは先行研究で公表されているが(Tada, 1994; Kurokawa et al., 2019)、特にODP Leg 127で掘削されたコアの既存の年代モデル(Tada, 1994)では生層序を用いた少ない年代タイポイントしか使用されておらず、Tortonian Thermal Maximumなどの日本海ReCoRDプロジェクトで着目しているイベントの年代の堆積物を特定するには精度が不足していた。さらに、平行葉理堆積物は複数の地点で近い年代に見られているにも関わらず、既存の年代モデルでは同時堆積したものか否かを判断するには精度が不十分であった。
そこで本研究では、広域テフラを用いて日本海ReCoRDプロジェクトで使用している5地点の中新世日本海堆積物の地点間対比を試みた。まず、XRFコアスキャナー(ITRAX)を用いて1cm間隔で対象としたすべての堆積物の化学組成分析を行い、テフラに特徴的な化学組成を用いて異なる地点から報告されているテフラの対比を行った。これにより、より高精度の年代モデルが作成されているU1425地点とU1430地点の年代モデルを794地点、795地点、797地点へ対比することでより高精度の年代推定が行えるようになった。
今後はジルコンが多く含まれているテフラのU-Pb年代測定を行って、年代モデルのタイポイントを増やす予定である。また、日本海ReCoRDプロジェクトでは、年代モデルの高精度化を目的として生層序年代に関する研究も進められているため、本研究の結果と合わせることで高精度年代モデルが構築されることが期待される。