日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] ジオパーク

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学大学院理工学研究科)、青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、大野 希一(一般社団法人 鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)、座長:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

10:00 〜 10:15

[MIS10-05] 「Batur UGGp & Toya-Usu UGGp 火山ツーリズム・火山実験合同ワークショップ」の開催

*横山 光1,4、- Nyoman Sukma Arida2、- Wayan Gobang Edi Sucipt3 (1.北翔大学、2.ウダヤナ大学、3.バツールユネスコ世界ジオパーク、4.洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク)

キーワード:ネットワーク活動、ジオツーリズム、サイエンスコミュニケーション、ボトムアップアプローチ

バツールユネスコ世界ジオパーク(以下 Batur UGGp)は、インドネシアのバリ島北域にあるおよそ3万年前と2万年前に形成された2重のバツールカルデラと活火山であるバツール山、そしてそこに暮らす人々の歴史や文化を題材としたジオパークである。一方、洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク(以下 Toya-Usu UGGp)は、北海道にあるおよそ11万年前に形成された洞爺カルデラおよび活火山である有珠山とその周辺における人々の暮らしや自然を題材としたジオパークである。両ジオパークともに、カルデラおよび活火山をメインのサイトとして設定していることや、火山地域での人々の生活(火山との共生)を大きなテーマとしており、さらにユネスコ世界ジオパークとして認定されていることなどの共通点が多い。
周知のように、ユネスコ世界ジオパークはネットワーク活動を通した情報共有や協働が求められている。2019年のAPGN大会後には、Toya-Usu UGGpの事務局スタッフがBatur UGGpを訪問し、今後のネットワーク活動のあり方について意見交換をしている。しかし、諸事情によりこれまで協働する機会を設定することができなかった。その後、CoVid19の影響もあり、Toya-Usu UGGpは海外のジオパークとのネットワーク活動が不十分なままであった。2023年の再認定審査では、ネットワーク活動を積極的に展開し、培った「減災文化」を世界に発信し貢献することが指摘された。また、Batur UGGpにおいても、火山を素材としたツーリズムが盛んになる一方で、ジオパークとしてのガイドの質向上が課題となっており、バツールカルデラ同様に観光地域である洞爺湖有珠山地域の火山を題材としたツーリズムに関心を持っていた。
講演者の一人である横山は、Toya-Usu UGGpにおいて2023年から火山を題材とした「アドベンチャーツアー」のプログラム開発に関わっていたり、ツアーでも活用できるような簡単なアウトリーチ手法である「火山実験」の普及に取り組んでいる。また、Sukmaはバリ島で観光学を中心に研究に取り組んでおり、Barur UGGpの火山ツーリズムについて課題意識を持っている。そこで、我々は両ジオパークに関わる研究者が発起人となって「Batur UGGp & Toya-Usu UGGp 火山ツーリズム・火山実験合同ワークショップ」を企画・開催し、今後の両ジオパークの協力関係を深めるきっかけとしたいと考えた。
合同ワークショップは2025年1月26日(日)に開催した。現地の要望もあり、午前中にカルデラ壁上にあるジオパークミュージアムにて2講演、午後にカルデラ内のジオパーク事務局において1講演と実験ワークショップを実施した。午前中は主にジオパーク運営や火山観光の研究者、大学生を中心とした40名ほど、午後はジオパークで火山観光事業を行っている事業者や、ジオパーク内の住民組織代表が20名ほど参加した。
これらの様子はオンラインでToya-Usu UGGp事務局で放送し、パブリックビューイングとして現地関係者5名程が視聴した。また、ワークショップ最後には事務局員同士で今後も共同事業をなにかしら継続していくことを約束する場面があった。
本事業は、我々ジオパークに関わる研究者が、ジオパーク事務局の企画力を越えて複数のジオパーク間の連携事業を立ち上げることができる事例として非常に価値が高いと考える。全てではないが、日本のジオパークには日本特有の行政的決定手順がある。その様な手続きを踏まずにアクションを起こすことができる外野の研究者が、それぞれの研究の一環として協働ワークショップなどを行い、それがジオパーク間のネットワーク活動を活発化させる可能性を示せたのではないだろうか。

なお、本研究は科研費(課題番号23K02767)の支援を受けて実施している。