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[MIS10-06] 大地の変動をわかりやすく伝えるために〜地震火山地質こどもサマースクールでの経験とその後の展開〜
キーワード:ジオパーク学習、科学教育、中央構造線、地すべり、地震火山地質こどもサマースクール
1. はじめに
ジオパーク学習は,地球の成り立ちや大地の変動などの要素が盛り込まれているのが特徴である.しかしながら,地球内部や人間の足元で起こっている”目に見えにくい”諸現象であることから,理解がしづらいとい課題がある.そのため,各地域のジオパーク学習では,大地の成り立ちや特徴を「わかりやすく」伝えるための様々な取り組みが行われている.
2. 三好ジオパークの特徴とこれまでのジオパーク学習
三好ジオパークを特徴づける「大地の変動」は大きく2つあり,1)数多くの斜面集落の土台を作った現象である「地すべり」,2)湾曲する吉野川の流路を生み出した「中央構造線の活動」である.この要素を含めたジオパーク学習として,地層・地形などのフィールドワークや断層実験などの手法が用いられてきた.しかしながら,超長期的時間スケールでかつ特有の空間的スケールで語られる大地の変動について,数分〜数時間という短時間で,しかも楽しみながら理解を促すことについては,発展途上段階にある.
3. 地震火山地質こどもサマースクールの実施
三好ジオパークは,大地の変動をよりわかりやすく伝える手法を模索するために,地震火山地質こどもサマースクール事業に参画した.三好地域で開催した「第23回地震火山地質こどもサマースクール吉野川(以下,サマースクール)」は,2024年8月7日〜8日の1泊2日に開催された.参加者は三好地域内外を含む計28名の子ども達で,スタッフは三好地域内のガイドらを含む計44名の第23回地震火山地質こどもサマースクール吉野川実行委員会メンバーであった.テーマは「妖怪と探る吉野川のヒミツ 研究者と一緒に解き明かす2日間」で,「吉野川はどう流れてきた?大地はどうできた?」など3つの謎を提示した.子ども達は謎解きのヒントを得るために,急峻な地形が観察できる大歩危峡や吉野川流路が大きく変わる水際公園(池田町イタノ),そして中央構造線の活動によってできた池田断層断層崖など6箇所のフィールドワークを実施した.さらに吉野川の流路変更や断層崖の形成過程を解くためのヒントとなる実験「侵食実験」「断層実験」「地すべり実験」を行った.サマースクール終盤に開催したフォーラムでは,子ども達が「吉野川の流れや三好地域の大地の成り立ち」,「吉野川の大地で思いっきり楽しむ3日間」などについて考察し,三好地域の特徴的な景観が中央構造線や地すべりなどの大地の変動が深く関係して成り立っていること,地震や地すべりなどの自然災害に対する独創的な対策案などが発表された.
この事業を通して,三好ジオパークでは2つのレベルアップが図れた.一つ目は,三好地域側のスタッフの「三好地域の大地の変動」へのさらなる理解が深まったこと,二つ目は「理解が困難である」大地の変動を,実験やフィールドワークなど,「目に見える形」で「わかりやすく」伝えるための具体的なヒントを多く得られたことである.それは,「限られた時間で,楽しみながら,三好地域の大地の変動・暮らしや備えについて子ども達に考えてもらう最良の方法」という軸のもと,研究者,三好地域側のスタッフ,サマースクール運営委員が2年間にわたる深い計画を立ててきたことが関係している.
4. 地震火山地質こどもサマースクール後のジオパーク学習の展開とその他
現在,三好ジオパークではサマースクールでの経験をもとに,新たな取り組みがいくつか展開されている.サマースクールで作成した実験道具を活用したジオパーク学習が展開されている.さらに2024年秋から開始している人材育成講座では,大地の変動を理解するためのツールとして上記実験道具を活用した.講座受講者からは「実際にイメージしやすく分かりやすかった」などの声が聞かれた.
サマースクールに参加した一部の子ども達にも変化があった.サマースクールで得た知識や考え方をもとにさらに考察を深め,科学経験発表会で発表した参加者もいる.
以上のように,今回のサマースクールを通して三好ジオパークでは,三好地域の大地の変動を「わかりやすく」伝えるための手法や考え方のレベルアップが図れた.
5. 謝辞
第23回地震火山地質こどもサマースクールは,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました.ここに記して感謝いたします.
ジオパーク学習は,地球の成り立ちや大地の変動などの要素が盛り込まれているのが特徴である.しかしながら,地球内部や人間の足元で起こっている”目に見えにくい”諸現象であることから,理解がしづらいとい課題がある.そのため,各地域のジオパーク学習では,大地の成り立ちや特徴を「わかりやすく」伝えるための様々な取り組みが行われている.
2. 三好ジオパークの特徴とこれまでのジオパーク学習
三好ジオパークを特徴づける「大地の変動」は大きく2つあり,1)数多くの斜面集落の土台を作った現象である「地すべり」,2)湾曲する吉野川の流路を生み出した「中央構造線の活動」である.この要素を含めたジオパーク学習として,地層・地形などのフィールドワークや断層実験などの手法が用いられてきた.しかしながら,超長期的時間スケールでかつ特有の空間的スケールで語られる大地の変動について,数分〜数時間という短時間で,しかも楽しみながら理解を促すことについては,発展途上段階にある.
3. 地震火山地質こどもサマースクールの実施
三好ジオパークは,大地の変動をよりわかりやすく伝える手法を模索するために,地震火山地質こどもサマースクール事業に参画した.三好地域で開催した「第23回地震火山地質こどもサマースクール吉野川(以下,サマースクール)」は,2024年8月7日〜8日の1泊2日に開催された.参加者は三好地域内外を含む計28名の子ども達で,スタッフは三好地域内のガイドらを含む計44名の第23回地震火山地質こどもサマースクール吉野川実行委員会メンバーであった.テーマは「妖怪と探る吉野川のヒミツ 研究者と一緒に解き明かす2日間」で,「吉野川はどう流れてきた?大地はどうできた?」など3つの謎を提示した.子ども達は謎解きのヒントを得るために,急峻な地形が観察できる大歩危峡や吉野川流路が大きく変わる水際公園(池田町イタノ),そして中央構造線の活動によってできた池田断層断層崖など6箇所のフィールドワークを実施した.さらに吉野川の流路変更や断層崖の形成過程を解くためのヒントとなる実験「侵食実験」「断層実験」「地すべり実験」を行った.サマースクール終盤に開催したフォーラムでは,子ども達が「吉野川の流れや三好地域の大地の成り立ち」,「吉野川の大地で思いっきり楽しむ3日間」などについて考察し,三好地域の特徴的な景観が中央構造線や地すべりなどの大地の変動が深く関係して成り立っていること,地震や地すべりなどの自然災害に対する独創的な対策案などが発表された.
この事業を通して,三好ジオパークでは2つのレベルアップが図れた.一つ目は,三好地域側のスタッフの「三好地域の大地の変動」へのさらなる理解が深まったこと,二つ目は「理解が困難である」大地の変動を,実験やフィールドワークなど,「目に見える形」で「わかりやすく」伝えるための具体的なヒントを多く得られたことである.それは,「限られた時間で,楽しみながら,三好地域の大地の変動・暮らしや備えについて子ども達に考えてもらう最良の方法」という軸のもと,研究者,三好地域側のスタッフ,サマースクール運営委員が2年間にわたる深い計画を立ててきたことが関係している.
4. 地震火山地質こどもサマースクール後のジオパーク学習の展開とその他
現在,三好ジオパークではサマースクールでの経験をもとに,新たな取り組みがいくつか展開されている.サマースクールで作成した実験道具を活用したジオパーク学習が展開されている.さらに2024年秋から開始している人材育成講座では,大地の変動を理解するためのツールとして上記実験道具を活用した.講座受講者からは「実際にイメージしやすく分かりやすかった」などの声が聞かれた.
サマースクールに参加した一部の子ども達にも変化があった.サマースクールで得た知識や考え方をもとにさらに考察を深め,科学経験発表会で発表した参加者もいる.
以上のように,今回のサマースクールを通して三好ジオパークでは,三好地域の大地の変動を「わかりやすく」伝えるための手法や考え方のレベルアップが図れた.
5. 謝辞
第23回地震火山地質こどもサマースクールは,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました.ここに記して感謝いたします.